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あまやどり
小学校低学年のころ。
学校からの帰り道、土砂降りの雨に当たり、全身がぐっしょり濡れた。
家にたどり着くまで、まだまだ距離があったので、友だちとビルの軒先であまやどりした。雨がやむ様子はなかった。
ビルの中から着物の姿の女のひとが出てきて、建物の中に招き入れられた。
廊下を歩く間、すれ違う背広を着た男の人たちや綺麗な服の女の人たちに「あら、まあ」と微笑まれたことを覚えている。
小さな部屋に案内され、バスタオルを渡された。
若いお姉さんが、ドライヤーで髪の毛を乾かしてくれた。
バスタオルは、ふかふかで、あったかくて、せっけんのにおいがした。
あの感触は今でも、目の前にあるみたいに、思い出せる。
雨が降ると思い出す。
古川麦さんのライブを初めて企画した日、東北大の植物園で撮影した写真。
あの日も雨で、土砂降りの中、麦さんに車の誘導をしてもらい、慌てながらも、「教えるのが上手なひとだな」と思った。
あの日のライブは、出演者も、音楽も、場所も、お客さんも、すべて、本当にすばらしかった。
あの日を思い出すと、ぼんやりしてしまう。
先日、1回目のワクチン接種に行って来た。
針が押し込まれた後、ひんやりとした液体が体に入ってくる感覚があった。
接種から12時間後、腕が痛くて動かせなくなった。なんとか眠った。
24時間後、痛みが軽くなり、その後は接種したことも忘れた。
この先、この体はどうなっていくのだろう。