宇宙飛行士
砂漠の中にいつの日か落ちていた機械のガラクタ
直径3メートルほどの物体
それを中央アジアで発見したのはイギリスの探検隊だった
現地の人々もいつからそこにあったのかはわからないと言う
それを天から遺物として崇拝していた
この地を支配していたイスラム教徒達は
偶像崇拝を否定する理由からそれを破壊しようとしたが
完全に破壊できなかった
イギリスの探検隊はそれを持ち帰り博物館に展示した
第二次大戦後考古学者がその物体の調査を行った
放射性炭素測定で1500年から2000年前のものと測定された
この時代の鉄製の機械のガラクタということで
宇宙物理学者も興味を持ち中の調査を行った
中には狭い空間があり その空間を埋めるかのように
人間型のロボットのようなものがあることがわかった
分解してそれを取り出すことになった
分解する中その物体は姿を現した
それはロボットというより鉄の潜水服のようなものとわかった
それを取り出してみて考古学者は考えた
この機械のガラクタのようなものは棺で
この潜水服のようなものの中にはミイラがあると考えた
この潜水服のようなものを取り出しその中を調べてみた
中に入っていたのはかなり腐敗がなくかなり新しいものを思われる
木の人形だった
しかしその顔のところには欧米人と思われる男性の顔写真が張ってあった
顔写真はまさに顔の部分だけで
人形にはそれをお面のように張ってあった
機械のガラクタをさらに調べてみると
一枚の手紙と一枚の美しい女性の写真があった
手紙は英語で書かれ女性から恋人への手紙のようであった
カーネギーホールでの出会い
ダンスパーティーでの楽しい思い出が書き連ねられていた
写真の女性は遠くを眺めていた
結局これが何なのかわからず
考古学者は悪態をつきながら去っていき
宇宙物理学者の下で宇宙科学博物館に展示された
時は経ちその宇宙物理学者も亡くなった冷戦後
その女性の身元がみつかった
しかも今も生きていることがわかった
写真では美しかった女性も当然のことながら年老いていた
老女は写真の男性についての楽しい思い出について語った
その男性は実はロシア人でロシア革命後亡命してきたのだという
ある時ニューヨークでソ連のスパイと思われる男達に拉致され
今も行方知れずだと言う
ソ連で処刑されたというのが通説だった
展示されている機械のガラクタや木の人形については
見に行きたいか聞いたら
もう見には行きたくないと言う
全ては思い出の中
夢の中だと言った