新入生にすすめる家畜人ヤプー2016
私が愛した新入生たちへ
沼正三を愛しすぎた最後の大学生の最期の祝詞 「文学」が愛さなかった文盲どもに捧ぐ
『家畜人ヤプー』
沼正三著(幻冬舎アウトロー文庫)
まず、ストーリーを説明しよう。麟一郎とクララのカップルが二千年後の世界にタイムスリップしてしまう。その世界は、日本人が「ヤプー」とよばれ、白人の家畜にされ、生体家具・人間便器・自慰道具などさまざまな用途に使われていたのだった。
ここまでで嫌になった読者は読まなくていい。だって、これは君たちのために書いているのではないのだから。もし、『家畜人ヤプー』がなかったら、僕はここにいなかったし、これを書くこともありませんでした。新入生の僕を救ってくれたのは『家畜人ヤプー』だけでした。希望に満ち溢れていた新入生の僕は「大学生」になれませんでした。そのときは『家畜人ヤプー』を読むことだけが僕の人生にとって意味あるものでした。虚構のなかで僕は生きていました。新入生よ、生きろ。僕は死ぬ。そして、私は大学生になる。ここにはいない憐れなる文盲ども、大学生の歌を聴け。さらば、文盲ども。ヤプーよ、永遠に。