見返りを求めない愛
今思えば、高校生のとき、とある友人に対して「見返りを求めない愛」というものを注いでいたと思う。
貢いでいたわけではない、尽くしすぎ、お世話しすぎというわけでもなかった気がする。ただその子のことが大好きで幸せを願っていた。
私は見返りを求める愛は存在する派の人間だ。ただ同時に、そんな人を身近に置くと危険かもしれない、とも思う。
例えば、おじいちゃんおばあちゃんが遠方に住む孫のことを溺愛している感じ、私はそれが「見返りを求めない愛情」の理想形だと思う。一年に数回会うような距離感で成り立つもの。
見返りを求めない相手に近づきすぎると、思いがエスカレートして、いつのまにか自分を犠牲にしてしまう。不健康なものだ。
「見返りを求めない愛」なんて、さぞ「愛の最上級」みたいな名前をしておいて、実に厄介なものだね。
先述した私が大好きな友人とは、この前2年ぶりに電話をした。そのくらいの関係がちょうどいいのかもしれない。近づきすぎるといつか自分を犠牲にしてしまいそうな気がした。