権利情報をトラッキングできる新しい画像生成AI「Generight」の開発経緯と展望について

近年、画像生成AIの技術は目覚ましい発展を遂げ、誰もが簡単に高品質な画像を生成できるようになりました。しかし、その一方で、AIが学習に使用したデータの権利関係や、生成された画像の利用における法的問題など、企業にとって悩ましい課題も浮上しています。

こうした中、私たち株式会社リワイアは、画像生成AIの可能性を信じつつも、権利問題によって創作活動の制限やAI関連市場の成長が阻害されることを懸念し、この課題解決へ取り組みをはじめました。その第一歩として画像生成AIの健全な発展とクリエイティブ産業の持続可能な成長を目指す新サービス「Generight（ジェネライト）」の提供を開始いたしました。

本記事では、Generightが解決しようとしている課題や、サービスの特徴、開発の経緯、そして今後の展望について詳しく解説します。画像生成AIに興味を持つ企業の皆様に、ぜひご一読いただければ幸いです。

新サービス「Generight」の提供を開始

株式会社リワイアは、このたび、画像生成AIの権利問題を解決し、健全な発展を支援する新サービス「Generight」の提供を開始しました。

「Generight」は、"Generative AI"（生成AI）と"Right"（権利）を掛け合わせた造語です。その名の通り、本サービスは、画像生成AIの利用において課題となっている著作権や肖像権などの権利問題を解決し、企業が安心して生成AIを活用できる環境を整備することを目的としています。

近年、画像生成AIは、その利便性と創造性から、写真素材や広告、ゲーム、映像など、幅広い分野で活用されるようになりました。しかし、AIが学習に使用するデータの権利に関する法的な問題が浮上し、生成AIの社会実装の障壁となっています。

Generightは、こうした課題を解決するために、以下の2つのアプローチを取ります。

1.  AIの追加学習に使用する画像データの権利処理を適切に行い、権利者への公正な対価の分配を実現する。
    
2.  生成された画像から追加学習に用いられた学習データに関する権利関係を明確にするトレーサビリティを確保する。
    

これにより、Generightは、権利者の権利を保護しつつ、企業による生成AIの活用を後押しします。

Generightの特徴 - 画像生成AIの権利問題へのアプローチ

Generightは、画像生成AIの追加学習に使用される画像データの権利状況を追跡し、管理するトレーサビリティシステムを提供します。これにより、生成された画像が権利処理済みのデータに基づいていることを証明できるようになります。また、Generightは追加学習用画像データの提供者に対する公正な対価分配システムを導入し、権利者の権利保護と継続的な創作活動の支援に取り組んでいます。さらに、最新の画像生成AIの仕組みを採用することで、高品質な画像生成を実現しています。

Generightの開発経緯 - 追加学習モデルの権利問題に着目

近年、Stable Diffusionなどの画像生成AIの登場により、誰もが高品質な画像を生成できるようになりました。これらのAIは、大量の画像データを学習したベースモデルを搭載しており、ユーザーは自前の画像を追加学習させることでオリジナルのモデルを作成できます。

しかし、追加学習に使用される画像データの権利処理状況が不透明であるため、生成された画像を商用利用する際に、意図せず著作権や肖像権を侵害するリスクがあります。

文化省の「AIと著作権に関する考え方について」(第7回)によると、生成AIには学習フェーズと生成フェーズの2つのステップがあり、それぞれにおいて著作権の扱いが異なります。学習フェーズでは、著作物であっても許諾なく学習できる一方（例外あり）、生成フェーズでは、生成物が既存の著作物に類似し、依拠性が認められる場合、著作権侵害の可能性があるとされています。

また、肖像権についても、生成された人物像と実在の人物の結びつきが認められる場合、関連性が重要となります。つまり、どの画像データを学習に使用したかを厳密に把握する必要があるのです。

こうした問題は日本国内だけでなく、国際的にも懸念されています。欧州連合（EU）では現在、AI Actの策定が進められていますが、その中でも学習データの概要に関する透明性確保が重要な論点の一つとなっています。

現在公開されている画像生成AIモデルの多くは、より多様なクリエイティブを生成できる一方で、追加学習に使用した画像データの詳細が不明であるため、企業が安全に画像生成AIを活用するには、権利処理済みのデータセットを用いたモデルの開発が不可欠です。

Generightは、こうした追加学習モデルの権利問題に着目し、学習用画像データの権利処理状況を追跡・管理するシステムを提供することで、画像生成AIの健全な発展を支援したいと考えています。

Generightの今後の展望

Generightは現在、追加学習に使用した画像データの権利管理に注力していますが、今後は基盤モデル自体の権利管理問題にも取り組む予定です。現在Stable Diffusionのような基盤モデルが学習データの権利に関して様々な物議を醸しています。このような課題に対してもアプローチするべく、Generightでは画像生成AIを学習するためのすべての学習データを段階的に安全なものに置き換えていく必要性があると考えています。つまり、AIモデルの学習に使用された全てのデータの権利関係を明確にし、より透明性の高い画像生成サービスを提供することを目指します。

さらに、Generightの権利管理システムは、画像生成AIに限らず、動画生成などの他の生成AIにも応用可能です。将来的には、あらゆる生成AIにおける権利問題の解決に取り組むことで、AIを活用した創作活動の健全な発展を支援してまいります。

Generightは、企業が権利を侵害することなく生成AIの可能性を最大限に引き出すことができる環境を整備することを目指しています。権利問題の解決を通じて、生成AIの健全かつ持続可能な成長を支援し、クリエイティブ産業の発展に貢献してまいります。