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カタチにできない悲しみ。

独身時代、実家で猫を飼っていました。チンチラとヒマラヤンのハーフでとても大人しい猫でした。この猫は長毛種なのでよく毛玉が出来ました。ブラッシングをしましたが、追いつかないので散髪をしました。お腹に丸くピンクの地肌のハゲがいくつもできました。でもスッキリしたので夏用にさらに長い毛を切っていきました。ちょっと角刈りっぽくなりましたが、どんな姿も可愛い猫でした。

そんな私も嫁に行き、猫と離れる日が来ました。しばらくして里帰りの時に、久しぶりに散髪をしようと準備をしていました。すると父が恐ろしい形相で止められ「おまえが出て行ってから、近所の人から、最近猫ちゃんの皮膚病が治ったみたいですねって言われたぞ!」と怒られました。私が実家からいなくなり、猫の毛が伸びてハゲが復旧し、皮膚病が完治したと思われていたようです。それから散髪ハサミを触ることはありませんでした。

娘が1歳のなるとき、前髪が三角に伸びて気になりました。工作ハサミで切ったら味付のりみたいな前髪になりました。夫にむちゃくちゃ怒られて、散髪禁止を言い渡されました。次の日が保育園のクリスマス会だったので、娘の味のりヘアスタイルの写真が残っています。私はその写真があることを娘には黙っています。

出来上がりを想像する上では、猫も娘も素敵ななるはずでしたが、想像を実現する技術才能がないようです。

・・・

母が言うには私は子どもの頃から、手先が不器用で、絵を描かせたら全てがお化けのQ太郎に見えたそうです。。縦笛もハーモニカも苦手です。裁縫をしたら指を針で刺すので、いつも布に血が付きました。折り紙もリリアンもビーズで遊びませんでした。工作の作品は完成するとゴミみたいでした。

そうなんです。


私は手先が異様に不器用なのです。


哀しいことに想像したものをカタチにできないのです。


ある時、そんな私に友人が言いました。

「自分が苦手なことは、得意な人に任せたらいいのよ。そしてあなたは得意なことをやればいいのよ。」

なるほど、人生は短い。苦手なことを克服するより、得意なことを頑張ればいいのです。私はその言葉に救われました。

好奇心があるので、一応試してみてからダメかどうかを判断するようにしています。ダメなら深追いはしません。そんなスタンスで生きています。

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