8月31日の謎
8月31日は、毎年、父親に怒鳴られ、泣きながら宿題をしている日でした。私は、イライラして真っ白に近い宿題のドリル「夏のとも」に八つ当たりして壁に投げつけたり、ふんずけてみたりします。けれど事態は収拾しないので、また泣きながら取りに行き、宿題の続きをするのです。毎年同じような行動をする子どもでした。要するに私はまったく計画性のない子どもだったのです。
宿題の絵と習字は母が担当し、父は作文を担当してくれましたが、作文で危うく賞を取りそうになり、子ども心に、これはヤバいと自分で作文を書くようになりました。だから父は怒るだけの担当になりました。
ある夏の8月31日、母は、私と弟を市民プールに連れて行ってくれました。夏休みの最終日のプールは、空いていました。弟と私は人のいないプールで、伸び伸びと泳ぎました。
「なぜ私はここで泳いでいるんだろう。宿題はたんまりと残っているのに。何かおかしい。」いつものように水遊びに没頭できません。そんなことを考えながら浮き輪につかまって漂っていました。
その夜、やはり私は父親に怒られながら、子どもが寝る時間をすぎて宿題をしていました。
「お母ちゃんは、こんなに日に、どうしてプールに連れて行ったのだろう・・・」
今でもその謎は解明されていません。