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ここだけの2人
バーのカウンターでグラスを傾ける男女。
「美容整形が1番嫌いだ。古臭いが親からもらった身体だろう。そこまでしたいものかね。」
「女性は美しく見せたいのですよ。特に好きな男の人にはね。それに美容整形することで、コンプレックスが解消されるなら、それはその人にとって、素晴らしいことじゃないかな。最近じゃ整形もお手軽になってるし、それだけ社会に受け入れられているのは悪いことではないと思うわ。」
「なるほどね。そういうケースなら理解できるね。しかしだの手軽に整形をするというのは、如何なものか…」
「美容整形だけでなく、永久脱毛も、手軽に安くできるようになってるから有難いわ。」
「なんだそれは?脱毛??そのような女性は見たことがない。いや毛むくじゃらの女性は存在しているのか?」
「女性は男性の知らないところで、ムダ毛を剃ったり抜いたりして、ケアしてるんですよ。男性は知らないだけ。
そもそも毛むくじゃらの女性と腕をスリスリしてみたい?すね毛ボウボウの足と足を絡ませたいですか?
生まれたままの、ナチュラル主義の女性は如何かしら?意外と気に入るかもしれませんね(笑)」
「・・・・それは・・・うーん・・・」
「わかってないですね。女性は非常に面倒くさいし、痛いし、お金をかけてケアしてるんですよ。男性の前に出る時は、髪を染めてカットして、ネイルもお肌も手入れして、洋服、靴、バック、アクセサリーにも気を使っているの。そんなコストをかけた上で、あなた方の前にいるんですよ。」
「君もそうなのか?」
「はい、整形してますし、ヒアルロン酸、ボトックスで常日頃から、ケアをしています。審美歯科、全身脱毛は完了してますし、日頃からエステもしておりますよ。もちろんサプリも多数愛飲しております。メンテナンスを含めて、どれだけのコストがかかっているのか、あなたは考えもしたことないですよね。
あなたその鼻毛のケアぐらいしてくださいよ。私が鼻毛出していたら、どんな気分になりますか?『そんな女性はいない、見たことない。』と仰るかしら。それはね、常に鏡を見て、鼻毛が見えないように気をつけているからですよ。
そもそも男女に拘らず身だしなみは大切じゃありませんか。女性だから、男性だからって、区別するのって、ほんとバカですね(笑)」
「おおおおおおおおおおおおお」
「親からもらった身体を徹底して、さらにより美しくケアしてる私を、ご理解していただけないのなら致し方ありませんね。ではこれにて失礼致します。さようなら。」
「うぐぐぐぐぐぐぐぐぐ・・・」
女は静かにバーから立ち去った。振り返ることもなく、扉が閉じられた。