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凍える冬に。

長い夏、短い秋を経て気温が一気に低下した頃、高齢の友人、知人がバタバタと体調不良になっていきました。

 友だちのご主人もあっという間に体調が悪くなりました。トイレに行くのもやっとこさです。地域包括センターに相談すると同時に介護保険の必要書類を準備しました。おそらく最速で介護認定を受けることになりましたが、体調不良は留まってはくれません。友だちから施設に入所になりそうだと連絡がきました。

 高齢のご近所さんの体調も気になっていました。ある日スーパーでバッタリ会うと「歩けないからタクシーで帰ろう。一緒に乗って欲しい。」と声をかけられました。タクシーに同乗し買い物の荷物を部屋まで運んでおきました。私が出来ることはそれくらいです。いつものように遠慮なく電話をしてねと別れました。

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先日、私は胸に違和感を覚えました。2年に1度、乳がん子宮がん検診を受けていますが、ちょうど検診と検診の間の年度に当たりました。すぐさま検診センターに検診の予約をしましたが、心配するだろうと母や娘に検診に行くことは言えませんでした。親しい友人3人には伝えておきました。

ちょうど検診の日に病院の前で「どうしてるの?」友だちから電話が入りました。検診日は伝えてあったし、不安を感じていることも話していたのに「なになに?どこにいるの?」とすっかり忘れているようでした。

普段なら些細なこんなこと聞き流せるのに、「どうして肝心なことを忘れてマイペースなの?無神経で能天気なの?信じられない!!」と八つ当たりをしてしまいました。それだけ何でも話せる貴重な友だちでした。「ごめんね、ごめんね」と謝るのに私はしつこく毒付き電話を切りました。

検査結果は異常なしでした。

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その日から友だちと連絡が途絶えました。

後悔しても遅いですがその友だちは私よりかなり年上の人です。物忘れの激しさも年相応だし、普段ならそのあっけらかんとした人柄が大好きなのに、友だちの大好きな長所にひどく絡んでしまったのです。

メッセージはいつまで経っても既読にならないし電話も応答がありません。しかし家族がいるので大事には至ってはいないだろうと自分に言い聞かせています。

私は激しく後悔しています。肉親には言えないことを受け止めてくれた大切な友だちなのに、なんてことをしてしまったのだろう。

寒さが厳しくなって、体調不良に陥っている人もたくさんいることを知ってたのに、自分のことでいっぱいいっぱいになっていたのです。

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全ては身から出た錆です。こんな感情にも私は立ち向かっていくしかありません。

無事を祈りながら、周囲の人たちに心を配ります。それが私に出来ることです。

人はいつ会えなくなるかもしれないのに、私は酷いことをしてしまったのです。

とにかく無事を祈ります。



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