丁寧な暮らしをめざす話
母の口癖だった 丁寧な暮らし
僕の母は「丁寧に暮らそう」とよく言っていた。これは僕たち家族に対する提案であった。要するに僕たち家族は母の求める丁寧な暮らしが苦手だった。いま思えば家事はほとんど母がやっていて、僕たちはお手伝いをする程度だった。それでも自分の部屋は自分で片付けていて、自分を美化するようで恐縮ではあるが、衣替えとか模様替えが好きな僕は、比較的丁寧な暮らしをしているつもりだった。まあ当時好きだったAKBのグッズやポスターを中心に彩られた僕の部屋は、ある意味コンセプトがしっかりしていて管理されていたから、母とは違うベクトルの丁寧さがあったかもしれない。その後母も韓国アイドルにハマって今でいう推し活部屋を作っていたのでコンセプトの逆輸入をしたということで許してもらいたい。
社会人になって初めての一人暮らし。男の一人部屋なんて荒れるもんだと思っていたが、やはりどこかに「丁寧な暮らし」が染み付いていたせいか、わりかしこざっぱりした部屋に住んでいた。近所にホームセンターや雑貨屋があったのも幸いして、家具やインテリアには多少こだわりを持って選んでいた。テーブルにランチョンマットを敷いて箸置きとコースターも揃えてひとりでご飯を食べていた。何してんだろう22歳の俺(笑)
引越ししたい嫁と、めんどくさい僕
時はすぎ、僕も結婚して子どもが産まれ、3人暮らしも2年が経過した。
好奇心旺盛な息子くんがベビーゲートを越えようとするということで、もっと広い家に引っ越しをしたいという嫁。
気持ちはわかる。
わかるが、こればっかりは二つ返事でYESと言えない。全国転勤がある会社に属しているので、引越しには慣れている。かれこれ今の住居には結婚前から6年住んでいる。2人で暮らす想定で決めた家だったから、正直3人で暮らすには2DKは少々手狭である。
手狭だと分かっていながら、なぜ引っ越しを決断できないのか。
僕からすれば、手狭以外のデメリットがないのと、手狭だと感じてもいないことが決断できない大いなる理由である。
育児参加していないからそういうこと言えるのだという意見があるかもしれない。これは認める。育児の大部分を嫁に頼っている。だからこそ嫁の意見も尊重したい気持ちはもちろんある。
僕も休みの日は息子と時間を共にしている。いたずら好きな性格なので、油断するとおしり拭きが散らかっていたり、いつの間にか部屋を大移動していたりされる。されるたびに「やられたー!」って思う。
けどまあその程度だ。これは大ピンチだ!引っ越しをせねば!とまでの危機感は感じていない。ごめんよ嫁。僕はEasy Come Easy Goな性格なのである。
代替案としての丁寧な暮らし
ここで僕が提案したいのが「丁寧な暮らし」だ。
引っ越ししない代わりに丁寧な暮らし。
俗っぽくいうと物を整理して、可動可能領域を増やそう大作戦である。
結果から言うと家中のあらゆるものを片付けて45Lのゴミ袋が8つ分片付いた。押入れの中、洋服類、キッチン周り、脱衣所周り、思い出の品などなど。。。
片付けは得意だと思っていたが、これを機に世間で片付けの主流は何かを学ぼうと思った。
皆さんもご存知の『こんまりメソッド』をちゃんと学習して臨んだので、
めちゃくちゃ片付けが楽しかった。
片付けるって捨てることだけだと思ってた。いらないものを捨てて、箱にしまって、綺麗になって、はいおしまい。これで完成だった。
本で読んだだけのミーハーが語るのも申し訳ないですが、一言で魔翻訳すると「ときめくものを際立たせるための片付け」とでも言いましょうか。
好きなもの、ときめくものに対しては、とことん好きでいていいんだ!っていう自信が湧いてワクワクする未来が見える片付けだった。
ほら、片付けるってネガティブに捉えやすくないですか?捨てるとか、整理するとかも。でも片付けることで見えてくるキラキラした未来があるっていうのが、『こんまりメソッド』の僕なりの解釈だ。
まだ片付け始めて5日も経っていないが、今のところ僕自身はととおのった環境と丁寧な暮らしを実現しつつある。お盆で仕事も休みで落ち着いているのもあるかもしれない。
それに、自分のデスク周りと、嫁・子ども用品にまだ手がつけられていない。
自分の城とも言える。デスク周りをどうときめかせていくか。今から考えるだけでもワクワクする。そして、このワクワクをいかに嫁にも伝えられるかが腕の見せ所かもしれない。うまく同意してくれれば少し引越ししたいよくが和らいで(ごまかせて)くれたらいいな。
終わり