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【再掲】「粉雪」よりも、思い出は「ether」~レミオロメンの話

(画像)15年前のJK達はこんな風にレミオロメンを聴いていた。

やっちまった。


最近で一番完成度を気に入っていた記事を、マガジンを整理するつもりでうっかり消してしまったのだ。
そんなレミオロメン・etherを紹介する記事を、装いも新たにお届けしようと思う。「やっちまった」時の心境は、改めてnoteに書く。


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ある発作にかかり、処方薬を得るためにTSUTAYAに走った。
突然懐かしい歌が聴きたくなったのだ。
昭和ソングではなく、私がまだ学生だったころ、「リアタイ」で聴いた曲だ。
今回の処方薬は、レミオロメンのアルバム、「ether」だった。

とはいえ、実は私がこのアルバムを体感したのはリアタイではない。
友人たちがレミオロメンに傾倒し始めた一方、私はマイナーかつポップ傾向なバンドにのめり込んでいた。
私がそのetherにお世話になったのは、次のアルバムであるHORIZON発売から数年後だ。

あの頃、私は浮世離れした自分を装って軽音サークルに入り、空気の違いやマウント女たちに説教ばかりされ、とげとげになって曖昧なまま辞めてしまった。

そのときに私を救ったのは、皮肉にも邦楽ロックの名曲や名盤たちだった。そのうちの一枚になったのが、このetherだ。

etherは世の中の30歳たちに「思い出の名盤といえば」と聞いて回れば、必ず人気ベスト10に入るのではないだろうか。あくまでetherだ。おそらくレミオロメンで最も有名な粉雪の入っているHORIZONは選外になる可能性が高い。etherは、それだけ私達の世代に「アルバムとして愛され」、私達の人生にとって特別な意味を持った別格で特別な一枚なのだ。

あの名曲・南風が他の曲に比べていまいち名曲だと語り継がれていないのは、etherそのもののインパクトが絶大だからだろう。

じゃあ3月9日は何なんだと言われたら口ごもるしかない。私は3月9日にハマれていないのだから。レミオロメンはその他にも「SAKURAや蛍がいまいち評価されない問題」も抱えている。あと「雨上がり世間に見つかってない問題」もだ。有名になってしまったが故の弊害の多いバンドでもあると思う。

さて、ここからは主観で語るetherの時間だ。
このアルバムには全12曲が収録されている。驚くべきことに、その12曲に捨て曲やスキップしたくなる曲は一曲もない。3月9日は世間の評価する神曲だと思わないだけであって、「普通に良い曲だよね」と感じている。結婚式の余興は3月9日を弾き語りするならHORIZONに収録された1-2love foreverを歌ってもらいたい。問題は弾き語りができる友人がいないことだしそもそも結婚式ができる見通しは特にない。おそらく年老いてボケたときにうわごとのように呟いていることだろう。

etherが発売されたのは私が中学生か高校生の頃だ。自意識がむくむくと育っていき、この世界はちっぽけで自分という存在の定義に悩まされる頃だろう。(私はある事情から感性が育つのが非常に遅い子供だったため、etherを摂取したのがあの時期で適切だとは思っている。)

そんな中で、私達の世代はこのアルバムに出会っている。それはもう、ひとたまりもないだろう。
etherの描くものは、ジャケットのように様々な鮮やかかつ暖かな色で溢れ、朝の水面のようにキラキラとしており、そして何より、そのほとんどが現実の世界だ。

このアルバムを通しで聴くと、私達は生きる希望と活力に満ちていき、明日は必ず輝くものだと信じて疑わずにいられなかった。

そんな珠玉の12曲に助けられた同年代はきっと少なくないだろう。
etherは私達の世代にとっては人生の止まり木のような存在である。
手放してもたまに聞きたくなって、衝動的にもういちど手に入れてしまう。

そして私もいつか3月9日を素直に受け入れられる日が来るのだろうか。
その時、私のCDラックにetherのジャケットがありますように。

記事が気に入ったらスキ(♡)を頂くととっても嬉しいですが、レミオロメンのアルバム・etherをぜひ聞いてみてください。

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