今月の短歌 24年1月1日~1月15日
人混みでシープレザーのジャケットの左肘部にできた裂け傷
僕の手はいない君へと伸びなくて風を切る身が痛く感じて
翠色のフーデッド着て 売れてないダッドも履いて 氷雨を浴びて
水面など気にせず泳ぐカナヅチの自分を越えて追いつく夕陽
幸せ歌う龍の音楽 ガーベラは雫で愛でて赤三輪
ひとときを待ち診察を終えてふたとき待ちぼうけ子連れの嵐
冬が好き。しずけき塵とかじかむ手グラブは苦手だから恋する
共感疲労 揺れと乾きと吹雪舞う有限に咲くヒヤシンス
炎がさ、過去現在の手と足と心(しん)を何度も温めるのさ
龍の髭はためく春よ集めるは祈りの球に願う安寧
山の詳細よりも知るべきその漫画のWikipediaよ、そちらじゃないよ
ないないと休みだらけの君が言う ワインの匂い 不快な臭い
深夜帯 販売員の整形をみつけて遊ぶ退屈な傷
ここにいた僕のすべてを残すから新しい日よ美しくあれ
人と財 健やかな時 心身で足る分だけがちょうど良い
ドーム型の闇で見えなくなろうとも朝の河原で靄とともに咲く
一瞬で上がる電圧その先の袋小路を跳ねつつ遊べ
止まらない鼻血を流したのは去年 刻々変わる心身の色
マドリーの10番として帰還する日本の至宝を待ちわびている
許してはいけないことがあるならば心の死さえ笑うルピナス
2-1 まだ心にはくすぶってハーフラインに礫がひとつ
優位性 僕のカタチを誤魔化して「してやっている」のあさましさよ
水仙の花言葉へと眉潜め それが僕へのアンサーだから
ハイカットの煩わしさ 君だけのかわいいところ更に見つけて