野球の審判とロボット審判
ロボット審判と生身の審判は対立するものなのか
前回書いた投稿で「審判の動きはプログラミングされている」という話をしたのですが、アマチュアの審判さん達から好評でここまで反響があるとは思わなかったのでびっくりしています。ありがとうございます。そんなことを書いていたらメジャーリーグでロボット審判が導入されるというニュースが舞い込んできたではありませんか。賛否両論色々ありましたが審判をしている方達からの意見は若干「否」に傾いているかなという印象を受けます。「技術が向上してこうなるのは仕方ないけど…」と、苦虫を噛み潰したような発言をする方が多い。
でも、私はそんなに否定的に捉える必要があるのかなと思っています。
AIと野球界
ロボット審判反対派の方の意見には「人間が野球をしているのだから人間が裁かなくては」「間違いも野球を面白くするために必要だ」「100%正しい判定の野球なんて面白くない」という様なことを主張する方が多いように見受けられます。数年前まで私もそう思っていましたが、『人工知能は人間を超えるのか ディープラーニングの先にあるもの(著:松尾豊)』を読んでから考えが180度変わりました。松尾さんは日本のAI研究の第一人者ですが、著書の中でAIについて
「脳の機能やアルゴリズムを冷静に研究していけばコンピューターでも人間の知能は原理的には再現出来るはずで、それを目指している分野がAIである」と定義してしいます。
https://www.amazon.co.jp/dp/B00UAAK07S/ref=cm_sw_r_other_apa_i_45vcEbC5CDJSR
また、「あえてミスを犯すように設定できるし、感情や協調性を持たせることも可能である(それが本質的かどうかはさておき)。」とも書かれているので、いずれ研究が進めばロボット審判であっても人間の審判と同じような判定を下せるようになるのではないでしょうか。さすれば、ロボット審判反対派の方々が指摘している点はそれがよいか悪いかは一先ず置いておいても、技術的に解決可能だということです。少し未来の話とお思いになられるかもしれませんが、メジャーリーグがロボット審判を採用すると決めたのもチャレンジ制度が出来てわずか数年しか経っていない訳ですから。現行のリクエスト制度にはまだまだ至らない点もありますが、これから安価で高画質なカメラが出来たら映像の精度は上がっていくはずです。
生身の審判の役割
ただ、とはいえまだまだ現在、人間が判定していることを全てロボットできるようにはなっていません。だからといって、そんな先の話では無いことを自覚していなければいけないと思います。また、人間の審判がやることはなくなってしまうのかと言われたらそんなことはないですし、『チャーリーとチョコレート工場』に出てくる主人公のお父さんは歯磨き粉を製造している工場で働いていましたが、機械に取って代わられ失業してしまいます。しかし、その機械をメンテナンスする仕事が出来てまた工場で働くことが出来ました。それと同じように現在の審判の仕事が変化していく可能性はありますし、炎天下の下で長時間審判をする必要が無くなり、身体的な苦痛を減らしより一層正確な判定を下せるようになる可能性があります。
よく相対するものとして語られますが、技術だって人間が作り出したもので、それは人間の生活をより向上せんとするために長い間研究されて今日までに発展してきたもののはずです。ルールひとつとってもこれまで長い月日をかけて改良されてきた訳で、審判の形も変わっていって当たり前なはずでは無いでしょうか。
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