「書きたい」は、どこから来るのだろう。
先日、「ことばみらい会議」というイベントに行ってきた。
TCC(東京コピーライターズクラブ)が主催する【コピーライターと異業種のプロフェッショナルたちが「ことば」を軸に語り合う】イベントだ。
LUMINEのコピーでお馴染みの尾形さんや、旭化成やポカリスエットのコピーを書いた磯島さん。著書がかなり話題になっている田中泰延さんなど、登壇するコピーライターの方々が豪華なこともあり、通し券を買って、半日ぐらいどっぷりとイベントに浸かってきた。
対談形式だったので、いつもは考えない角度からの発見が色々あってそれも面白かったのだが、一番記憶に残っているのは最後のセッションで田中泰延さんが仰っていたこの言葉。
「何も書きたいことがないっていう人いるじゃないですか。それなら書かなければいいんです」
正確にメモをとっていた訳ではないので、厳密にこの言い方だったのかは定かではない(ごめんなさい)。でも、何か書かなきゃという焦りではなく、「どうしても言葉にしたいものができたときだけ書けばいい」という内容がドスッと自分の中に刺さったのが印象的だった。
事象と心象が交わるところに生まれるのが「随筆」と言うんです。
併せて話していたこの言葉。何かの事象に触れて、自分の中に心象が生まれたからこそ、人は書いているのだと。対談相手の川田十夢さんもそれに共感するように、「"〜感"が好きじゃないんですよね」と言っていた。
自分が実感したものを書く。想像ではなく、イメージでもなく、どこかで見たような何かをまるっと真似した〇〇感でもなく。自分が実感して、心が動いたものを、書きたいという気持ちを持って、書く。
「普段からもっと書く機会をつくらないとなぁ」と反省をしていた自分は、たぶん少し違う方向に反省をしていた。
必要なのは書く機会というよりも、「あー書きたい!」と思うほど心が動く瞬間、事象と心象が交わる瞬間をもっとつくることだったのだろう。
書くためのネタを探すのではなく、自分の心を動かしてくれるものを探す。
そうすれば、「書きたい」は自然とこちらに向かってくるような気がしている。
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