7年で約3000店減。逆境の時代に生まれた、街の小さな文具店。
街の文具店が姿を消している。
経産省の商業統計速報(卸・小売業)によると、2007年に1万1806店だった文具店は、2014年に7269店にまで減少した。
その中でも従業員1人~2人規模の、いわゆる街の文具店は、7000店から4173店と、大幅な減少をみせている。
通販サイトの台頭や、大型スーパーなど量販店の進出。最近では、書店やドラッグストア、ホームセンターでも容易に文具を買うことができる。
買う場所が圧倒的に増えたことに加え、少子化によって学校近くの文具店がなくなったり、後継者が見つからず閉める決断をする店主も少なくはない。
そんな中、今年の4月。岐阜県高山市に小さな文具店がオープンした。
「Pen Shop IMAI」
高山で60年以上続く、いまい文具店の三代目である今井康貴さんが新たに始めた筆記用具とデザイン文具のお店である。
悠々と流れる宮川沿いの小さな裏道に入ると、店へと続く階段が現れる。
看板を横目に階段を上がってドアを開ければ、綺麗にディスプレイされたオシャレな文房具たちのお出迎えだ。
Pen Shopと名がついている通り、お店の中央には色んな種類の筆記具が並んでいる。店主の今井さん曰く、輸入ものや限定ものも置いているそうだ。
店内には試し書きをするスペースや、手紙を書けるカウンターもあり、買う場所としてだけでなく、文房具と「触れ合える」場所になっている。
どこでも買える商品なら通販で買う。
知っている商品なら自分で調達する。
“このお店だからこそ”の文房具との出会いが、訪れた人に提供できる価値となっているのだろう。
(昔懐かしいクレパスをモチーフにしたラムネ。お味は駄菓子風。)
(看板娘?の文具クッションたち。一緒に記念撮影可。)
でも、なぜこの時代に文具店なのだろうか。今井さんに尋ねてみると、少し考えながらもこう答えてくれた。
「時代と歴史を活かすなら文具店しかないかなと思って」
60年以上愛され続けてきた、いまい文具店の3代目としての想い。そして、今も昔も変わらず、人々の生活を彩り続ける文房具。
単純な儲けだけで言えば、もっといい方法があるかもしれない。それでも、今井さんは文具店を始めることを選んだ。
観光客で賑わう高山は、海外からの旅行者も多く、日本文化の発信場所としてもPen Shop IMAIは重宝されている。
日本製の万年筆はクオリティも高く、海外のお客様にも好評だそうだ。
SNSを中心としたネットでの発信を続けることで、遠方から文具好きのお客さんが来てくれることもあるんです、と今井さんは話す。
TwitterやFacebookを使えば無料で告知ができる分、「誰かに知ってもらうこと」に関しては、昔よりも今の方が恵まれているのかもしれない。
最近では「初めての万年筆講座」を開催したりと、精力的に活動を続ける姿は、今後もますます多くのファンを増やしていくだろう。
街の文具店に、今何ができるのか。
何を求められ、どう答えていきたいのか。
試行錯誤して生み出した「こだわり」は、店内の随所に散りばめられているはずだ。
あなたがふらっと立ち寄った街の文具店にも、きっと。
Pen Shop IMAI ペンショップイマイ 鍛治橋こみちの文具屋さん
〒506-0011 岐阜県高山市本町3丁目 本町3−5 いまい文具店2階
http://penshopimai.com
Twitter:@PenShopImai
Facebook:https://www.facebook.com/penshopimai/
【SPECIAL THANKS】
・今井康貴さん
・Pen Shop IMAIを紹介してくれた大学時代の先輩
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