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電気学会 回転機/リニアドライブ/家電・民生合同研究会(2022年8月8日)

はじめに

電気学会産業応用部門リニアドライブ技術委員会は、毎年5回の研究会を担当している。
私が委員長を務めている「アクチュエータの将来動向予測調査専門委員会」は、回転機委員会、家電・民生委員会と持ち回りで夏の研究会を担当している。
2022年は、私の所属する専門委員会が幹事を務める年回りだ。

実施形態

コロナ禍でオンライン開催が続いていたが、私は対面を強く希望し、電気学会会議室でのハイブリッド開催になった。
電気学会会議室を選択したのは、電気学会会議室で多くのオンライン会議が開催されていて、不安要素が少ないからである。

日 時2022年8月8日(月) 10:00〜16:30
場 所電気学会会議室およびWEB (発表20分、質疑応答5分)

プログラム

多質点型リニア振動アクチュエータの質点数切り替えによる周波数応答のワイドバンド化

◎加藤雅之(茨城大学)
振動アクチュエータの質量とばねを複数個に増やし、複数存在する質量間の距離のうちいくつかを固定することにより、共振周波数を離散的に可変とする研究。
5個の質量を直列にばねで接続したシミュレーション実験で、共振周波数が可変になることを実証した

横磁束形リニア波力発電機システムの評価用水槽実験結果

◎労 凱宇,古関隆章,大西 亘(東京大学),梅田 隼,谷口友基,藤原敏文(海上・港湾・航空技術研究所海上技術安全研究所),後藤博樹(宇都宮大学)

波力発電システムの効率測定実験。発表者によると、波力発電のエネルギーが自然エネルギーの中で最も多くのエネルギーを取り出せるとのことだった。

永久磁石-HTSハイブリッド磁気浮上搬送システムの制動特性及び減速特性

◎前田 晃,滝浪アレックス 仁,佐伯 僚,阿部佳影,大橋俊介(関西大学)
 
磁気浮上搬送システムの制動特性と減衰特性の評価をおこない、磁気レール上に設置されたコイルに流す電流を変化させることで、搬送車の制御を行えた

ネオジム磁石を用いたコアレスリニアモータに代わるレアアースフリーリニアモータ

◎秋山輝和,今盛 聡(富士電機株式会社)

鉄道車両のドア開閉用レアアースフリーリニアモータを開発した。これにより、特定のドアをほんのわずか開けるなど、駆け込み乗車対策を行えるようになる。

電磁界シミュレータを用いたアクチュエータの最適設計のための優良解集合探索手法

○土屋淳一,安田恵一郎(東京都立大学)

アクチュエータの最適設計に優良解集合探索手法を用い、従来の方法と同等の結果を得た

SFプロトタイピングとアクチュエータの将来

○矢野智昭(岡山大学)
委員会の趣旨と内容を述べる予定だったが、原稿をアップする時に、「提出」ボタンを押し忘れ、「未受理」「欠番」扱いになってしまった。

発表をあきらめていたら、
もう1件欠番扱いになった先生がいて、その先生から「実績にならなくてもいいから発表だけしたい」と申し出があったので、私と2件、発表だけすることができた。

したがって、原稿は未公開である。
時間が押していたので、私の発表は10分程早口で終了した。

内容は、すでに提出済みの「電気学会産業応用部門大会シンポジウム」とかぶらない内容を心掛けた。

SFプロトタイピングの未来予測の箇所は、産業応用部門大会と棲み分けて講演し、「2050年のアクチュエータ」予測はどちらもほぼ同じ内容にまとめた。(2050年のアクチュエータの部分は電気学会技術報告書の刊行後にnoteに登場する予定です)

2層IPMSMにおけるロータ構造による 不可逆減磁抑制と高トルク化の検討

◎中田篤志(大阪府立大学),真田雅之,森本茂雄,井上征則(大阪公立大学)

遺伝的アルゴリズムを用いて、タイトル内容の検討を行い、良好な結果を得た

Dyフリー希土類磁石を用いた2層IPMSMの耐減磁ロータ自動設計

◎満保佑太朗(大阪府立大学),真田雅之,森本茂雄,井上征則(大阪公立大学)

ジスプロシウムを用いない希土類磁石でロータを設計し、同等の性能を得る事ができた

交流銅損低減のために磁性テープを巻線に貼付したドローン用アウターロータモータ

◎吉田 亮,北島 純,栄 隆志,佐藤光秀,水野 勉(信州大学),下田勇気,久保田晃弘,和田章吾(多摩川精機),吉地輝朗,熊谷秀夫(多摩川精機株式会社)

磁性テープを巻き付けることにより磁気漏れを防ぎ、鉄損を大幅に減らすことに成功した。

直接駆動方式に基づく生物模倣型水中ロボットの特性解析

◎井口慶祐,新竹 純(電気通信大学)

尾びれを振ることにより、水中を前進するロボットを開発した。実機のビデオは迫力があった。
原稿提出が間に合わず、欠番になった発表

サービスロボットのバックドライバビリティ向上に向けたモータ特性評価の基礎検討

奥松美宏,○高梨宏修(トヨタ自動車)

サービスロボット用モータのバックドライバビリティを改善する、逆方向にも動力を伝達できる減速機を組み込んだモータの提案と基礎データの報告

サービスロボット用モータの要求項目の定量的な定義に関する一考察

○奥松美宏(トヨタ自動車)

サービスロボット用モータに要求される性能をまとめた報告

おわりに

電気学会の研究会は、学生さんの練習の場にはちょうど良い機会になっています。

私が学生の頃は1件の時間が30分で、発表20分、討論10分で、討議で研究内容をブラッシュアップしてもらう特徴がありました。

いつしか件数を追求するようになり、1件の時間が短縮され、通常の研究講演会と変わらない時間配分(発表10分、質疑応答5分)となっていました。

今回は、件数が少なかったので1件25分としましたが、質疑応答時間は5分で、私が学生だった45年前の、「討議を十分に行う」趣旨には少し物足りなかったかもしれません。

不手際はありましたが、無事に終わることができて良かったです。

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