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第33回電磁現象及び電磁力に関するコンファレンスMAGDA2024受賞記念講演(2024年11月18日)

はじめに

第33回電磁現象及び電磁力に関するコンファレンスMAGDA2024が東京科学大学大岡山キャンパス蔵前会館で開催された。

11月18日

日本AEM学会は、主催のMAGDAコンファレンスで
受賞者が受賞論文の内容に関して講演するのが特徴だ。

今回の受賞講演は、以下の3件

授賞記念講演

『永久磁石ウレタンエラストマーの速度センサーへの応用』

日本AEM学会誌 2024 32 1 p. 213-218
ワイヤレスセンサの電源として磁性エラストマーを用いた振動発電がある。
著者らは、シリコーンを母材とした永久磁石エラストマーの「高負荷がかかる場合に使用できない」欠点をなくす、柔らかく大変形を起こす発泡ウレタンに磁性粉を混ぜた発泡ウレタン永久磁石エラストマーを用いて、高荷重環境下で振動発電を行うことが可能な素子を開発した。
また。本素子が発電量から速度を推定する速度センサーとして利用できることを実験結果から示す。

(感想)
振動発電は大電力を供給できる素子として注目されていて、金沢大学の上野敏幸教授が磁歪発電で事業化を目指していた。

大電力振動発電の震動源はあらゆるところに存在しているため、ほとんどのワイヤレス機器から電池をなくすことができ、半永久的に駆動可能になる。
したがって、世の中の産業構造を大きく変革する潜在力を有している。
本論文の受賞は当然だろう

『永電磁石を用いた自由度切り替え型振動アクチュエータの実験的検証』

日本AEM学会誌 2024 32 1 p. 207-212

不勉強で、永電磁石は茨城大学日立キャンパスの北山文矢先生の研究室見学で初めて知った。

永電磁石はネオジム磁石とアルニコ磁石の保持力の差を利用して、瞬時に大電流をコイルに流してアルニコ磁石の極性のみ反転させるところがポイントになっている。

普段は永久磁石の吸着力のみで吸着するため、
電力消費は吸着と脱着時のみになる。

いくつかの質量を
ばねとダンパを介して直列に接続し、
それらを個別に永電磁石で着脱すると共振周波数が変化する

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsaem/32/1/32_207/_pdf/-char/jaより

この現象を利用して、幅広い周波数帯で共振可能なメカニズムを構築する。
(感想)
本メカニズムは、幅広い周波数で共振することができるため、
エネルギーハーベストをはじめとするさまざまな用途に使える技術。
本論文の受賞も納得

『楕円型チャンバによる食品のマイクロ波加熱装置の開発』

日本AEM学会誌 2024 32 2 p. 352-357

https://kitnet.jp/laboratories/labo0250/index.html

家庭用の箱形電子レンジの効率は25%。
本論文では、チャンバーを楕円形にしてその各焦点にマイクロ波源と被加熱物を配置することにより、90%以上の加熱効率を達成している。

さらにいくつかの工夫(秘密)を施せば効率は100%に限りなく近づく。

本装置は、楕円の焦点にパイプを通すことにより、被加熱物の連続加熱が可能になる。

(感想)これはすごい発明だ!
省エネへの貢献度も高く、素晴らしい研究だと思う

おわりに

優秀論文の内容を直に受賞者から聞くことができるのは素晴らしいと思っている。他の学会も日本AEM学会に倣えばいいのに


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YANO Tomoaki@
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