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ロボティクス・メカトロニクス講演会2022シンポジウム『 “いいかげん”を科学して未来を創るソフトロボット学3』
はじめに
今回のROBOMECH2022参加の目的の一つは、「ソフトロボット学」の進捗状況を聴講すること。5時間の長丁場だが、気合いを入れて会場入りした。
科研費新学術領域「ソフトロボット学」のホームページはこちら
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PVはこちら
新学術領域「ソフトロボット学」のPV。インタビュー形式で進むかっこいいビデオ。 https://t.co/gR2NMrSUNO
— ソフロボ太郎 (@robouchi) January 9, 2021
ソフトロボットの研究は世界中で開発競争が行われており、こんな研究も
新学術領域ソフトロボット学
— YANO Tomoaki@JSMEーTRCビジョン2050WS12月23日 (@yanotomoaki) April 25, 2022
A03-1:やわらかいダイナミクスとフレキシブルセンサー技術の融合による情報処理限界の突破
のタコと思ったら違った。 https://t.co/rLDdebLJMy pic.twitter.com/oCgseeyr6I
構造的にはおもしろい。ソフトロボット学チームのご意見をお伺いしたいところ https://t.co/4oZmdzqnqq
— S. Makita🍥 (@twmaks) July 21, 2022
プログラム
"いいかげん”を科学して未来を創るソフトロボット学3
主催:科研費新学術領域研究「ソフトロボット学」
共催:日本ロボット学会ソフトロボティクス研究専門委員会
コーディネータ:望山 洋(筑波大学)
概要:
やわらかい電子回路や機械、やわらかい材料、やわらかな情報処理など、“やわらかさ”に関連した色々な研究をうまく結び付けて、新しいロボットを目指していく「ソフトロボット学」(通称:ソフロボ)が,世界中でとても流行っています。
この学問の最大のポイントは、異なる分野の専門家が集まり,協働する“異分野融合”によって、これまでのロボットにはなかった融通・適応・好い加減さ,といった新しい価値を作り出していくことです。
このシンポジウムでは,ふだんはロボティクスと異なる分野で“やわらかさ”の研究に突き進んでいる研究者を交えながら、ソフトロボット学のめざす“いいかがんさ”の科学を、やわらかく解説します。また、若手ソフロボ研究者にも,未来のやわらかいロボットを大いに語ってもらいます。
ロボットの専門家でない方の参加も大歓迎です。一昨年からの引き続き第3弾です。
参加費:無料
プログラム:
13:00~13:05 趣旨説明
13:05~13:20 【ソフロボそもそも講演】
「いいかげんなロボット:ソフトロボットが創るしなやかな未来」
鈴森 康一(東京工業大学、ソフロボ新学術領域代表)
13:20~14:05 【異分野チュートリアル講演1】
「ソフトロボットの手綱を求めて:制御理論からの挑戦」
石川将人(大阪大学)
14:05~14:50 【異分野チュートリアル講演2】
「ソフトロボティクスの視点から紐解く動物解剖学の今と未来」
郡司芽久(東洋大学)
(10分休憩)
15:00~15:30 【ソフロボ若手未来を語る講演1】
「動物の好い加減な振る舞いから切り拓くやわらかいロボット」
福原 洸(東北大学)
15:30~16:00 【ソフロボ若手未来を語る講演2】
「分子ロボット特有の通信システムの解析」
小塚 太資(慶應義塾大学)
16:00~16:30 【ソフロボ若手未来を語る講演3】
「人に寄り添うソフトロボットのインタラクションデザイン」
ソン ヨンア(法政大学)
(10分休憩)
16:40~17:00 講演者によるパネルディスカッション+Q&A講演内容
以下、長文の備忘録
— YANO Tomoaki@JSMEーTRCビジョン2050WS12月23日 (@yanotomoaki) June 1, 2022
ロボティクス・メカトロニクス講演会2022シンポジウム『 “いいかげん”を科学して未来を創るソフトロボット学3』
13:05~13:20「いいかげんなロボット:ソフトロボットが創るしなやかな未来」
鈴森 康一(東京工業大学、ソフロボ新学術領域代表)
鈴森康一領域代表による、ソフトロボット学の概念説明
従来のロボット:固い、精密な制御、要素を分解して各要素の干渉を避ける
ソフトロボット:柔らかい、良い加減の制御、全体を融合して取り扱う
ソフトロボットの考え方が、生物に近く、環境に適用し、制御量が少なく、動きが融合する
(矢野の感想:これで肉体は生物を模倣できた。あとはセンサと知能を統合する形にソフトロボット学の哲学を拡張すればいいな)
「#ソフトロボット学」鈴森康一先生は、人工筋を編み機で編む
— YANO Tomoaki@JSMEーTRCビジョン2050WS12月23日 (@yanotomoaki) October 25, 2022
日本に、もうこれしかないと年代物の編み機を見せてくれた
最新型の編み機が蘇っている!(感想)
福原精機製作所、欧米・アジアに丸編み機:日本経済新聞 https://t.co/xSci2zl8Vf pic.twitter.com/YQw4LM29Uv
13:20~14:05「ソフトロボットの手綱を求めて:制御理論からの挑戦」
石川将人(大阪大学)
(矢野の感想)
産総研の荒井裕彦先生が、「非駆動自由度」を提唱し、「アンダーアクチュエーテッドロボット」として世界中の研究者が取り組んだ。
荒井裕彦先生は、「学問的にはおもしろかったが、自由度とアクチュエータ数は同じ方が制御が簡単に決まっていて、実用的には失敗だった」と反省しておられたが、ソフトロボットの概念の登場で、いよいよ出番が回ってきた感があり、感慨深い
「ソフトロボットの手綱を求めて:制御理論からの挑戦」石川将人(大阪大学)
— YANO Tomoaki@JSMEーTRCビジョン2050WS12月23日 (@yanotomoaki) June 1, 2022
質点とリンクの竹ひごモデルを卒業し
超多自由度のソフトロボットを劣駆動する話
荒井裕彦先生提唱の制御が更に整理され発展している
劣駆動の本質と周期性を利用した積分手法など紹介
積分は未来予測である
14:05~14:50「ソフトロボティクスの視点から紐解く動物解剖学の今と未来」
郡司芽久(東洋大学)
キリンの研究で超有名な先生。最初にキリンの解剖の話をされたあと、解剖学の見地から設計したダチョウの首ロボットや四脚馬ロボット設計の話があった。
解剖学では、動物の肩関節は固定ではなく、関節中心が円弧状に回転する(肩をぐりぐりする感じ?)この機構を取り入れるとスムーズな歩行が実現した!
(矢野の感想:鈴森康一領域長も、人体模型に空気圧人工筋を組み合わせた時、股関節は転がって可動範囲を広げているとおっしゃっていた)
「ソフトロボティクスの視点から紐解く動物解剖学の今と未来」郡司芽久(東洋大学)
— YANO Tomoaki@JSMEーTRCビジョン2050WS12月23日 (@yanotomoaki) June 1, 2022
脊椎動物解剖によるダチョウの首の動きの謎解明とロボットによる再現と検証
脊椎動物は耐乾燥、ミネラル保持、抗重力構造、骨の硬さはピンキリ、象の足の接地面はコラーゲン
Vertabrate
馬脚ロボットの歩行VTRに感動
先週、東北大学工学部にて「キリンはいかにして長い首を支え、動かすか?ー動物の体の構造と動きの仕組みー」という講演をしてきました。(分担者として加わっている新学術領域研究「ソフトロボット学」関連)
— 郡司芽久(キリン研究者) (@AnatomyGiraffe) February 25, 2019
これまで全く接点がなかった分野の方々と出会え、とても楽しく有意義な時間でした!
本稿ではキリンにしか触れられていないが
— YANO Tomoaki@JSMEーTRCビジョン2050WS12月23日 (@yanotomoaki) October 14, 2022
「ソフトロボット学」でおなじみ郡司先生!
キリンのひづめ、ヒトの指 郡司芽久氏:日本経済新聞 https://t.co/BzA3oIjihi https://t.co/1xI6ADIHyP pic.twitter.com/lGlVYWPf2M
15:00~15:30「動物の好い加減な振る舞いから切り拓くやわらかいロボット」
福原 洸(東北大学)
郡司先生の研究とかぶるが、ソフトロボット学の哲学「全を制御する」を地で行く研究
ソフトロボット学のJRM特集号が公開になりましたね!(すごいボリューム)https://t.co/oLbhZVS9ov
— A. Fukuhara (@fukufuku_7) April 22, 2022
肩甲骨ロボットの最近の取り組みを紹介してます〜興味のある方は是非!https://t.co/pEplfaBM9o pic.twitter.com/VMs81E4SD0
(矢野の感想:書籍「量子力学で生物の謎を解く」では、「生物はリズムにより常温で量子効果を利用可能としている」と述べている。
まさしく、「リズム」を活用してロボットの全体を制御する研究)
「動物の好い加減な振る舞いから切り拓くやわらかいロボット」福原 洸(東北大学)
— YANO Tomoaki@JSMEーTRCビジョン2050WS12月23日 (@yanotomoaki) June 1, 2022
動物の歩行/走行VTRを分類、跳躍の重要性を解明し、肩筋肉追加ロボットに位相振動子制御を実装して歩行/走行を再現。
「モジュール化と非干渉化」から「文脈により制御が変わる関係性の科学」へ
尾、体幹、頭も重要
15:30~16:00「分子ロボット特有の通信システムの解析」
小塚 太資(慶應義塾大学)
(矢野の感想)NHK「人体」で、生体は情報伝達分子を血流に送り込んで情報交換している話が出てくるが、本発表は、同じことを分子ロボットで実現するための拡散モデルに関する研究。
「分子ロボット特有の通信システムの解析」小塚 太資(慶應義塾大学)
— YANO Tomoaki@JSMEーTRCビジョン2050WS12月23日 (@yanotomoaki) June 1, 2022
分子ロボットの設計製作方法と分子ロボット例の紹介
(驚くほど進んでいた)
分子の拡散と分散による通信と電子通信の比較
分子拡散通信を見慣れた微分方程式に落とし込み、分子拡散の全帯域情報伝達可能距離を解明
16:00~16:30「人に寄り添うソフトロボットのインタラクションデザイン」
ソン ヨンア(法政大学)
ソン先生の口から「ホイポイカプセルは、SFプロトタイピングを用いて考えました」と発せられた時、「おおっ」と叫びそうになった。講演終了後、すぐソン先生に、SFプロトタイピングの講演をお願いできないか伺った。
「私はSFプロトタイピングの専門家ではないので、専門家を紹介できる」とのお返事だった。
その後、日本機械学会技術ロードマップ委員長の山崎先生が所属する日立でも「SFプロトタイピング」の普及に尽力されている方がいることが判明し、セミナー講師の一人目は、その方に決まった。
(矢野の感想)
ホイポイカプセルを作る発想と、作ってしまうパワーがすごい先生。
ホイポイカプセルの普及活動も積極的にされておられる。
「人に寄り添うソフトロボットのインタラクションデザイン」ソン ヨンア(法政大学)
— YANO Tomoaki@JSMEーTRCビジョン2050WS12月23日 (@yanotomoaki) June 1, 2022
心に働きかける、香りなどを含めた環境デザインデザインの一環として研究
ソフトロボット作成キットの提供と普及
ホイポイカプセルを作ったhttps://t.co/70VBRzZUOF pic.twitter.com/fJP0uRPpiE
16:40~17:00 講演者によるパネルディスカッション+Q&A
(矢野の感想)ソフトロボットのその先は、当然液体と気体の制御だろう。宇宙空間に超音波の膜を作成し、膜内に気体を閉じ込められたりするといいな
フリーディスカッション「ソフトロボットのその先へ」
— YANO Tomoaki@JSMEーTRCビジョン2050WS12月23日 (@yanotomoaki) June 1, 2022
固体の次は、液体と気体
T-1000や、宇宙空間で形を保つ気体空間などに発展するのではと、妄想が拡がる
おわりに
ロボティクス・メカトロニクス講演会2022シンポジウム『 “いいかげん”を科学して未来を創るソフトロボット学3』現地参加
— YANO Tomoaki@JSMEーTRCビジョン2050WS12月23日 (@yanotomoaki) June 1, 2022
楽しくてあっという間の5時間だった。https://t.co/mRsezF0Kyi
本シンポジウムを企画された鈴森康一領域代表に感謝!
— YANO Tomoaki@JSMEーTRCビジョン2050WS12月23日 (@yanotomoaki) June 1, 2022
私の気持ちは、当日つぶやいたとおりです。
「ソフトロボット学」は、2022年度で終了し、鈴森康一先生は、現在「ムーンショット目標3」に取りくんでおられます。
ソフトロボット学は、研究内容もそうですが、その理念が素晴らしく、明るい未来社会構築に欠かせない考え方だと信じています
ソフトロボット学の動向は、引き続きウォッチしていくつもりです
ソフトロボット学な方々が古生物学に関心を持たれているようです。脳、身体、環境といかに良設定にして振る舞いを調べるか、そこでロボット、現存生物の理解を活かすか、どっちも関わってきますね! https://t.co/JoCq0xitY3
— Katsushi Kagaya (@katzkagaya) August 24, 2022
(おまけ)
日本ロボット学会2022より
ソフトロボット学からの期待 pic.twitter.com/e22KO83F09
— Ryuma NIIYAMA (ニウム) (@4_d) September 5, 2022
ROBOMECH2020の発表動画
ソフトロボット学のシンポジウム in ROBOMECH2020https://t.co/6BfUAvQ7ML
— Ken'ichi Koyanagi (@moto_josyu_K) May 27, 2020
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