
悪魔の手毬唄
#悪魔の手毬唄
市川崑監督の横溝正史シリーズ最高傑作。映画は20年前のシーンが一瞬流されたあと、ひとりの刑事が金田一探偵を呼び20年前の殺人事件の謎解きを依頼するところから始まる。その最中、東京から帰郷した千恵と呼応するように連続殺人事件が始まる。物語は横溝文学の神髄に触れる耽美を見事に描き出す。どのシーンも一幅の絵となり、テンポの良さ、短いカットの心憎い切り替えと相まって複雑怪奇に進んで行く。登場人物それぞれの絡み合った愛憎関係、殺人現場さえも芸術に昇華させる美学。どの視点から見ても完璧な作品。

市川崑監督の横溝正史シリーズは、以下の5本制作されている。どれも他の監督作品と比較すると頭一つ飛び抜けているが、なかでも「悪魔の手毬唄」は、その頂点とも言えるできばえとなっている。
映画の色彩が素晴らしいのに、なかなかそれを再現したメディアがないのが非常に残念だ。オリジナルフィルムからのデジタルマスタリングを望みたい作品である。
『犬神家の一族』
『悪魔の手毬唄』
『獄門島』
『女王蜂』
横溝正史の原作が素晴らしいから、私の心に刺さる作品が立て続けに生まれたのだと思っていたら、とんでもない間違いだった。
横溝正史の最高傑作「八つ墓村」の映画化を期待していたら、私にとっては全然期待外れで、胸に響かなかった。感性の違いなのかもしれないが、市川崑監督の作風が私にぴったりはまっていたようだ。
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