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電気学会産業応用部門リニアドライブ技術委員会第4回アクチュエータの未来予測調査専門委員会(2024年10月24日)
はじめに
電気学会産業応用部門リニアドライブ技術委員会アクチュエータの未来予測調査専門委員会(2023年7月~2027年6月)の第4回研究会
今回は、岐阜大学の八田禎之先生の研究室を訪問する。
プログラム
日時:2024年10月24日(木) 14:00~17:00
場所:岐阜大学 工学部A330室
1.報告事項
2.講演「力制御を主体としたロボットのためのアクチュエータ開発」
岐阜大学 工学部機械工学科 八田禎之先生
3.ディスカッション
4.研究室見学(八田禎之先生の研究室)
14:00-14:05 報告事項
直近の担当行事である
電気学会全国大会フォーラムについて
委員長未到着のため懇親会で討議する
14:05-15:10 講演「力制御を主体としたロボットのためのアクチュエータ開発」
八田禎之先生の研究内容の紹介
1)反力推定オブザーバ
一般的な産業用ロボットにハンドドリルを持たせて
穴開けを行うと、どうしても穴の直径が大きくなってしまう。
この問題の解決に取り組んだ。
力制御を行うことにより解決しようと考えて
力覚センサとトルクセンサを組み込んでみたが。精度が悪い
そこで、高精度のエンコーダ信号から力とトルクを推定することを考えた
反力推定オブザーバを用いたが、
反力推定オブザーバにはモデル同定が必須になる。
ところが、ロボットハンドにドリルを組み込んだシステムは、
外乱・自重・ケーブル・転がり摩擦・クーロン摩擦など
同定するべき要素がいくつもある。
これら一つ一つを測定し、モデルに組み込んでいった。
かなり正確なモデルができあがったけれど
・実機は反力と水力が同一直線上にないため捻れトルクが発生し、この捻れトルクにより摩擦力が変動する
・実機は多剛体モデルで、共振点がいくつも生じるなど非常に複雑
など、新たな問題が発生し、穴の直径誤差はかなり小さくなったけれどさらに正確に穴をあけるのは困難な状況になった。
2)クロスカップル型2自由度モータ
そこで、直動軸と回転軸が同軸になる「回転リニア同軸機構」を
用いることにした。
リニアと回転の
「クロスカップル型2自由度モータ」
を開発した。
シャフトに永久磁石、2つのステータに
45度の角度で三相巻線を配置する。
それぞれのステータ巻線が直交関係にあるように巻くと
各ステータに流す電流が
同相の場合:リニア
逆相の場合:回転
になり、ドリルにピッタリの機構ができた。
ただし、ダイレクトドライブなので
低出力になるという問題が残った。
3)磁気ねじ型2自由度モータ
そこで、「磁気ねじ型2自由度モータ」を開発した。
磁気ねじの左ねじ駆動機構と右ねじ駆動機構を用意し、
両方でシャフトを駆動すると、両方が同一回転の時は回転駆動
両方が逆回転の時はリニア駆動になる。
この機構は、磁気ねじのピッチを変えることで
推力と回転力を変化させることもできる。
高推力かつ摩擦レスの、
穴開けにピッタリの機構ができた。
4)コントローラ
磁気ねじ型2自由度モータの制御モデルは、
直動(電流の和)と回転(電流の差)に分離すると
それぞれが2慣性系の制御系となり
従来のモータドライバを流用することができる。
15:10-16:10 質疑応答
質疑応答は1時間におよんだ。
質疑応答の中で、今回は時間がなくて触れなかった
ハルバッハ配列を用いた最新の2自由度モータの話もなされた。
16:10-17:10 研究室見学
見学させていただいた
2自由度機構は、メーカに外注したのかと見まがうほど
洗練されたできばえだった
わたし:これは、外注ですか?
八田先生:いえ、毎日ほぼ徹夜して作り上げた手作りです
某先生:これ、外注したらうん百万円、1000万円超えもありますよ。
大学では、こんな金はなかなかもらえないです
最後に「航空宇宙生産技術開発センター」
これはすごかった!
18:00-20:40 懇親会
バスで岐阜駅前の懇親会会場に移動した
おわりに
若くて元気のある先生方は
本当にアクティブですごいなと
改めて感心した
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