第33回電磁現象及び電磁力に関するコンファレンスMAGDA2024特別講演(2024年11月18日)
はじめに
第33回電磁現象及び電磁力に関するコンファレンスMAGDA2024が東京科学大学大岡山キャンパス蔵前会館で開催された。
特別講演は、蔵前ホールで行われた
特別講演 16:45~17:45
非接触磁気支持を実現するベアリングレスモータに関する研究
東京科学大学 千葉 明教授
千葉明先生は、磁気高調波型減速機や永久磁石レスモータなど幅広い研究をされており、TechnoFrontierにも毎回ブースを出してさまざまな機器の展示をしている。
これらの研究内容もお話しされるのかと思っていたら、
がっつりとベアリングレスモータのお話をされた。
磁気浮上が流行った時期に磁気浮上とモータを一体化したベアリングレスモータができるのではないかと思い研究を開始した。
モーター回転子の永久磁石に働く力はほとんどが回転と直交方向で、回転力はわずか。
これはいかにももったいないので、磁気浮上と回転の両方をステータ巻線で行うことに取り組んだ。
だが、なかなかうまくいかない。
他の研究者はどんどんいなくなり、孤軍奮闘の状況になった。
資金も集まらない。
苦戦しているうち、海外でベアリングレスモータの開発に成功したというニュースが飛び込んできた。
不思議なもので、海外で成功すると「日本でもやれ」という話になる。
世界最高出力のベアリングモータの開発に成功し、テスラ賞をいただいた。
テスラ賞受賞メダルとベアリングレスモータの原理モデルが回覧される
わたしは、若い頃にメダルを見せられて「さわってもいい。このメダルを触って、きみがメダルを取れるようにがんばってくれれば」といわれたことがあります。
そこで、本日は、わたしのメダルを回覧します。触っても、裏を見ていただいても構いません。みなさんが後に続いてメダルを受賞されることを期待しています
MAGDA2024の主催団体である日本AEM学会にはお世話になりました。
日本AEM学会は、電気と機械の両方の先生が在籍しています。
機械の先生は「磁気支持も支持なのだから、ベアリングレスというネーミングはおかしい。磁気ベアリングモータというべきだ」とおっしゃる。
電気のわたし(千葉先生)からすれば、ベアリングがないからベアリングレスなんですけどね
ベアリングレスモータには、回転の三相巻線の他に支持の2相巻線がいる。
巻線の組み合わせは他にもあるが、回転巻線±2相が必要で、巻線が増えるほど特性は良くないことがわかっている。
なお、軸方向だけは制御することができなかったので、軸は押さえる必要がある。
おわりに
あっという間の1時間だった。
千葉先生も、日の目を見ずに苦しい時代があったのだ。
それでも研究を継続することが大事なのだとひしひしと感じた。
「選択と集中」に突き進んでいる日本、ヤバいな