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日本機械学会2022年度年次大会技術ロードマップ委員会特別企画ワークショップ(2022.9.12)
はじめに
日本機械学会年次大会が富山大学で開催され、初日に技術ロードマップ委員会が企画した特別企画「持続可能な未来の実現のための技術ロードマップ」の開催が早くから決まっていました。
技術ロードマップ委員会の面々との再会を楽しみに早くから準備を進めていたが、会期間際に別の用件が割り込んできて、年次大会は最終日のみしか参加できなくなってしまいました。
本稿では、発表スライドをもとに、ワークショップの内容をまとめました
2022年度年次大会技術ロードマップ委員会特別企画ワークショップ(2022.9.12)
本ワークショップは、日本機械学会22部門のうち、エネルギー関連部門から、2050年に向けたロードマップについて講演していただいた。
なお、私は別件と重なったため不参加だった。
日本機械学会年次大会会場(富山大)で
— YANO Tomoaki@IEEJLD研究会2日目LD23-012 (@yanotomoaki) August 5, 2022
持続可能な未来の実現のための技術ロードマップ
が開催されます(年次大会参加登録費が必要です)https://t.co/JQI47noFtVhttps://t.co/dVx6T8WURL pic.twitter.com/IPJeRmJ85R
日本機械学会の正式な報告書はこちら↓
環境とエネルギーの相互補完的共存の未来
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環境とエネルギーの未来のイメージを水素フロー、電力フロー、資源環境フローを用いて、環境被害を最小にできる最適化された水素軸のエネルギーネットワークと資源循環により生き生きとした人々の生活を支援できる循環型経済の未来が提示された。
また、これからの環境とエネルギーは対立ではなく、「相互補完的」という発想の大転換が必要であることが指摘された。
さらに、カーボンニュートラル推進の理由、カーボンニュートラル推進がもたらすチャンス、持続可能な環境と経済の両立について説明がなされた。
水素社会関連情報
2022年12月26日(NEW!)
水素を1/1000以下に圧縮し、漏洩の危険性も低い水素吸蔵合金が開発された。
— ひつじさん@明るいニュース (@hitsuji_bright) December 24, 2022
日立金属はチタンと鉄でこの合金を作成。ニッケルやコバルト等の希少金属を使う従来品よりも安価に調達が可能で、水素吸収量は最大30%も上昇。今後国内で量産される。
水素の重要性が高まる昨今、世界で注目される発明だ。 pic.twitter.com/joH7vJD7FC
計算力学分野における環境とエネルギー関連の取り組み紹介
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21世紀を生きる我々が持つべき時代認識として「Society5.0 ×カーボンニュートラル×レジリエンス」の実現のための技術基盤について説明がなされた。また、日本学術会議におけるカーボンニュートラル連絡会議の活動と日立東大ラボにおけるSociety5.0を支えるエネルギーシステムの活動などを通じて,カーボンニュートラルに向けた総合的・俯瞰的議論を進めることの重要性について説明がなされた。
流体工学分野における環境とエネルギー関連の取り組み紹介
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カーボンニュートラル政策により、大きな変化に直面していることや、特に火力は燃料の調達コストを吸収するために、これまで以上の高効率化のための技術開発の必要性が指摘された。また、電力設備保守・環境分野におけるイーブイトール/ ドローンに関する研究について紹介がなされた。今後、流体工学分野は、流れ・熱の物理を基礎として、新たな技術を取り込み、生活を支える重要な電力・環境分野の基盤技術としての活動拡大への期待について説明がなされた。
環境工学分野における環境とエネルギー関連の取り組み紹介
東京電力エナジーパートナーの佐々木委員より、環境工学部門が過去に作成した技術ロードマップ(ヒートポンプ給湯機、電動カーエアコン)について、現状を踏まえたレビューがなされた。また、エネルギー関連トレンドとして、非電力分野における熱分野・運輸分野の電化によるCO2削減や、再エネ電源比率増と系統安定化の両立のための需要側のバーチャルパワープラントの拡大について説明がなされた。特にエネルギーに関連する様々な技術開発が世界各国で進められている中で、どのような技術ロードマップが今後の技術発展に貢献できるかを議論していく必要性が指摘された。
パネルディスカッション
持続可能な環境とエネルギー戦略に機械学会はどのように貢献できるかを考える
「持続可能な環境とエネルギー戦略に機械学会はどのように貢献できるかを考える」ことを論点とし、第1部の招待講演の講師4名がパネリストとなって、参加者との討議を実施した。
今後、科学技術の対象がより複雑化し、高度化する中で研究者が答えを一人で出すことは極めて難しいことや,異なるディシプリンを背景に持つ研究者が議論をしながら、 技術を融合・複合させてイノベーションを創出するためのコミュニケーションが必要であることから、各専門、部門、学会を超えた連携の仕組み作りに対する機械学会の役割について議論が交わされた。
おわりに
今回のセミナーは不参加になってしまったが、スライドが公開されているので講演内容はある程度理解することができた。
セミナーは、日本機械学会の主立った部門が順番にロードマップ作成の取り組みを報告することになっている。
山崎美稀委員長が常日頃おっしゃっている「機械学会の部門を巻き込んだロードマップ作り」の一環として大変有意義なセミナーとなったと信じている
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