ともに呑む
夜、自宅で呑むためのお酒をどこか近くで買おうと考えた。
どうせなら、ちょっといいお酒をと調べると大仏のある江南市に「勲碧酒造」(くんぺきしゅぞう)さんを見つけた。
車でさっと着いてお店に入ると誰もいなかった。
しかし、すぐに年配の女性の方と、僧侶2人もやってきた。
自分は何を選んだらいいのか分からないので後の方たちが選ぶものを参考にしようと選んでいるふりをして、どうぞどうぞと後ずさり。
僧侶の2人のうち、ご住職だろうと思われる人は、さすがお店の女性とも知人のようで、一通りの挨拶を済ませ、さっと棚を指差し
「棚の左から3番目の渾身の酒を2つ」
と言った。
ご住職、まだ何か話をしたいようで話を続ける。
「最近、お寺見たでしょ?」
「しばらくお店から出てなくて、何かありました?」
「工事を始めてましてね、それでちょっとばかり・・・一瓦から・・」
お布施のお願いだったw
「社長に伝えておきますね!」
どちらも歴史のあるもの同士のお付き合い。
持ちつ持たれつですね。
***
次にもう一人いた年配の女性の方は、お酒に詳しくなくお店の方とも知り合いの常連さんのよう。
誰かに贈るためのお酒を選んでいるようだ。3本ほど選びたいらしい。
オススメを聞かれ、お店の方が
「オススメはやっぱり最近、優等賞を取ったあの左から3番目の渾身の酒かな。こちらは2本にしておきましょうか?」
あとの1本は以前こちらのを飲んだらずっしりとした感じだったのが評判が良かったということで、旨味ある吟醸好みの方が選ぶ無濾過原酒を選んでいた。
どうやら旨味のあるお酒が好評な酒蔵のようだ。
ちなみに優等賞は名古屋国税局の方が審査して与えているとのこと。
赤ら顔で「いや、これは仕事ですから!」と普段お固い方々が仕事をしている姿を想像してしまった。
***
さて自分も選ばなきゃいけないのだが、どうしよう。
というか、完全に決められた感がある。悩むことはなかった。
「棚の左から3番目、渾身の酒を1本」
「今夜、1人で呑むんです。オンライン飲み会ですよ」
「え?そうなんですか?オンラインってどんな感じになるんでしょう?」
「私も始めてなのでよく分からないですね!でも楽しみですけど」
「ぜひ、優等賞を取ったお酒で、中日新聞にも取り上げられたと宣伝してください」
「ははっ、分かりました。しっかり宣伝しますね!」
待っている間に眺めていた御酒印帳・・・
すごく欲しいけど全国の酒蔵まわるような才能はないぞ。まわりたいけど。
***
オンライン飲み会は19時から始まった。
アイコンに自分の名前と顔写真を設定し、自己紹介に「社外のひと」と入力。
自分で買ってきた食材を机に並べ、まずは缶ビールでモニタの前で乾杯。
自分のアイコンを他人のアイコンの近くに移動すると音声が聞こえ、ミーティングを開始すると動画が共有できる。
自分はパソコンだったが、スマホなどで接続している人もいる。
席も最初は決まっていたが、あっという間に散り散りに。
いろんな人に、赤ら顔を見せて昔の思い出とかを語ることができた。
途中でお酒もモニタに映るように置いて、優等賞を取ったお酒だよとしっかり宣伝した。
多くの人から、また一緒に山に、雪山に、麻雀もしましょうと言ってもらえた。
リアルなふれあいが何もなく寂しい1年だったが、モニタ越しでも大勢の顔が見られるのはいいものだと感じた。
***
年末には別の連中と志賀高原に行く予定だが、何かを持ち寄る暗黙のルールがある。。。
もう1本買ってこなきゃダメかな・・・
うーん、節約しないと本当にダメだwww
終わり