小規模のオンラインイベントの質を上げるためにおさえたい10のこと
はじめに
こんにちは、年間100本以上のイベントに参加し、自身でも20回くらいはイベント主催するイベントデザイナーのやのしんです。
さて、最近ステイホームの影響で急速にオンラインイベントが増えていますが、正直まだまだ主催側があっぷあっぷで、オフラインのときに比べたらイベント全体の質がガクッと落ちてしまっていますね。
基本的にはオンラインイベントとオフラインイベントは別物、と認識しなければいけないのに、そのまま移植して失敗しているケースをよく見かけます。
というわけで、小規模のオンラインイベントを良いものにするために、おさえておきたいポイントを10こ提案しておきます。
「小規模の」と限定しているのは僕が参加したり主催するイベントが多くても20人くらいのものがほとんどだからです。中規模以上はよくわかりませんので、あしからず。
①タイムスケジュールを綿密に作る
「オンラインイベントは事前の計画が6割」と言っても言い過ぎじゃなくらい、前準備が超超超大切です。
その中でもどのように時間を配分するかが肝になります。
オフラインの時が10分単位でスケジューリングすれば良いとしたら、オンラインは5分単位でのスケジューリングが必要になります。
なんでかというと、オフラインよりも参加者の負担が増えるので、それをケアする必要があるからです。参加者の気持ちに寄り添いましょう、と。
これなら参加者の負担を軽くして楽しんでもらえるだろうな、というシミュレーションを踏まえて時間配分をしていきましょう。
②参加者の集中力に配慮する
主催者目線と参加者目線で一番違うのは、時間の経ち方の感じ方かなと思います。
主催者からしたらあっという間だけど、参加者からしたらどちらかと言うと時間が経つのが遅い。
それは消費する集中力の差に起因すると思います。
オンラインだと、参加者は画面を見て音声を読み取るのに意識を集中させるので、かなり神経をすり減らします。
故に、登壇者が30分とか話しっぱなしというのは結構キツいんです。
聞く側にとっては、1つのテーマについて15~20分くらいが限界だと思います。
20分話したら質疑応答タイムにするなどして、気持ちの切り替えを促すのも良いですね。
1時間くらい経ったら5分休憩を取っても良いと思います。
また、喋りのスピードが速いと情報が追い付かなくなるので、ゆったりめではっきりとした活舌で話してあげるとより聞く側の負担は軽減されます。
③ファシリテーションをオフライン以上に頑張る
先ほどオンラインイベントは事前の計画が6割と言いましたが、残りの4割はファシリテーションです。
ちなみにオフラインの場合は事前の計画が8割、ファシリテーションが2割くらいだと思っています。
そう、オンラインはオフラインに比べて確実に「ファシリテーターの技量」がイベントの成否に影響を与えます。
ファシリテーターがうまくタイムキープをしたり、参加者の主体性を高めたり、参加者をストレスなく誘導したり、トラブルシューティングしたりしなければいけないわけです。
なぜファシリテーションがオフライン時よりも重要になってくるかは、おそらく温度感の伝わりにくさにあると思います。
どうしても画面越しに対面すると、無機質っぽさを感じてしまうんですよね。スタートの時点でちょっと冷めてるわけです。それをどうやって温めていくか。
オフラインなら極論ファシリテーターの熱量だけで何とか場を盛り上げることも出来なくはないのですが、オンラインだとそれだとだめなんです。
ちょっと乱暴に例えると、オフラインが重量挙げだとするならば、オンラインは神輿かつぎですかね。
ファシリテーターが参加者をうまく刺激して、「みんなでイベントを作り上げていく」ように仕向ける必要があるんです。
なので、「オンラインにおけるファシリテーションとは?」ということについて、いま一度向き合って試行錯誤してください。
④事前アナウンスを丁寧にしておく
オンライン上のリテラシーはかなりバラつきがあります。それをコントロールして、参加者みんなが気持ちよく過ごせるように、イベント紹介文などで事前アナウンスが色々と必要になってきます。
例えば、ビデオチャットツールの基本的な使い方についてがあります。
オンラインに強い人とそうでない人や、ツールに親しい人とそうでない人によって対応度は様々なので、オンライン弱めでツールに親しみも無い人でも最低限の使い方ができるように、事前に資料を配布するとか、参考記事を紹介するとかしておくと良いですね。
他にも、ビデオチャットツール上でのマナーについてもアナウンスが必要です。
悪気がなくても、ゲストが喋っている途中にカットインして質問をしてしまう人とか、喋りだしたら2分も3分も語り過ぎてしまう人とか、環境音をそのまま垂れ流している人とか、そういうことをしてしまう人はまだまだ沢山います。
その予防として、「ゲストのトーク中はマイクをミュートにさせて頂きます」とか、「1しゃべり30秒を心がけてください」とか、「イベントの進行の妨げとならないよう、静かな場所での参加をお願いします」などとあらかじめ注意書きしておきたいですね。
⑤なるべくカメラオンにしてもらうよう促す
参加者さんにはカメラオンで参加してもらった方が、みなさんのリアクションがわかって、話の展開を盛り上がる方向に持っていきやすいので、結果的に良い内容のものを提供できるようになります。
あと単純に、リアクションがわからないと喋る側はめっちゃ不安、というのもありますね。
それによってスピーカーのテンションが上がらないのも、もったいないです。
また、参加者さんのことを考えても、カメラオンにした方がイベントに没入できるようになります。
カメラオンを促す手法として、イベント説明文に「カメラオンで参加してくれると嬉しいです」と書いたり、イベントのはじめにそれを言ったり、サクラでひとりふたりカメラオンにしてくれる友だちを仕込ませておくなどの方法があります。
僕はもはや主催するイベントでは「必ずカメラオンにしてください」と、いわばオンラインにおけるドレスコードにしてしまっていますけど。
⑥リハーサルをやっておく
これ、めちゃめちゃ大事なのですが、意外とぶっつけ本番でやってトラブっている人が多いですね。
ゲストを呼ぶときなんかがそうですが、電波状況とか音声の具合とか、画面共有がうまくできるかとか、当日その辺でもたつくと場の空気がスッと冷めてしまいます。
なので、前日までに10分でも良いのでリハはしておきましょう。
⑦交流の仕掛けをたくさん用意する
イベントに何を求めるかは人それぞれではありますが、多くの人が「あわよくば人脈が広がれば」と思っています。
しかしそれはあくまで「あわよくば」で、積極的に行動する人はごく少数です。
なので、主催側は色々と「交流するいいわけ」を作ってあげると良いです。「主催者が交流しろっていうからまぁしょうがないか」といって参加者が交流を始めてくれるいいわけを。
例を挙げると、「自己紹介」「グループワーク」「懇親会」あたりが定番です。
自己紹介でアイスブレイクして、グループワークで打ち解けて、懇親会で和気あいあいとなる。そんな風にグラデーションを作ってあげると交流は円滑になります。
自己紹介の工夫としては、冗長にならないように各人1分程度と時間設定をすることとか、自己紹介の順番に何かしら雑談につながるルール(例:起床時間順、通勤所要時間順、髪の長さ順など)を設けるとか。
グループワークは、意見を否定しないこと、なるべく1しゃべり30秒程度にまとめてショートパスを回し合うこと、などをルールとして設定してあげると良い時間になりやすいです。
懇親会については、「後は雑談してくださーい」と放り投げてしまうと最初のきっかけづくりに悩む人が出てくるので、「最初の声掛けのルール」を提示してあげると良いですね。「今日のイベントの良かったところを話すところからはじめて下さい」みたいな。
⑧温かみのある画面映りにする
これも割と軽視されがちですが、めっちゃ大事なことです。
シンプルに言うと、画面映りが暗いとめっちゃ損します。
どれだけ明るく振る舞っても、どよーんとした印象がついてしまうので。
逆に適切な明るさであれば、それだけで参加者の気持ちはそこそこ和らぎます。
ほら、よく「人は見た目が9割」とか言うじゃないですか。要はそういうことです。
オンライン上での見た目には気を遣いましょうね、と。
で、オンライン上での見た目において一番大事なのが明るさ具合というわけです。
暗いのがダメなら明るくすれば良いやと、昼光色をバーンと当ててしまっても、それはそれで青白く映ってしまい見ている方が疲れます。
そういったことを踏まえて、目にも優しく、温かみを醸しだせる電球色とか昼白色くらいに照明を設定すると良いです。
あ、でも、いくら部屋の照明をいじってもPCと照明の位置関係によっては意図した明るさにならないことがあるので、自撮りライトを使うことを推奨します。
通販で3000円程度で売っていますので。
ライト当てると目が疲れるから嫌だという方は、フィルターをかけたら良いかと思います。
⑨イベント後アンケートを行う
とにかく今は、主催側も参加者側もオンラインイベントについては手探り状態です。
なので、アンケートを書いてもらってフィードバックを頂くことがとても大切になってきます。
満足度について星いくつ、みたいな抽象的なものではなく、「どんなところが良かったか」「工夫が必要だなと思ったところはどこか」など、良かったところも改善点も具体的に書いてもらうようにすると良いです。
それなりにうまく行ったから良し、ではなく、「どうしたらより良いイベントを共に作り上げていけるか」ということを忘れずにいると、イベントの質はどんどん良くなっていくはずです。
⑩ネット回線は予備を用意しておく
これは必須というよりは、備えていた方が安心だよ、ということですが、ネットは時として回線がつながらなくなるトラブルが起きてしまいます。
それが家の環境のせいだったり、ネットサービスを提供する会社のせいだったり理由はいくつかありますが。
とはいえ、参加者さんからしたらそんなの関係ないですよね。「なんで備えておかなかったの?」と突っ込まれたら返す言葉が無いでしょう。
なので、メインの回線に加えて、ポケットwi-fiなどを契約しておくことを推奨します。
おわりに
さて、こんなことを偉そうに書いた僕ですが、僕自身まだまだオンラインイベントの主催については日々研究中です。
どうやったらイベントがより良いものになるのかをめっちゃ考えているわけですが、なんでそんなことを考えるのかというと、「自分が外れイベントに参加する確率を減らしたいから」です。
外れイベントに参加することほど時間の無駄はないですし、自分自身が外れイベントを開催してしまうことほど参加者さんに申し訳ないことはないでしょう。
ちなみに、そんな僕が「ここのイベント構成とファシリテーションはレベルが違う!」と一目置いているオンラインのイベンターが2つ存在します。
ひとつはオンラインサロンの議論メシ。(黒田さんのファシリ)
もうひとつはグリーンズ。(兼松さんのファシリ)
議論メシについてはサロンに入らなければイベントには参加できませんが、月初に入会すると初月無料になるはずなのでそれでお試し参加してみてください。(無料かどうかはwebサイトでちゃんと確認してください)
グリーンズについては定期的にセミナーをやったり、たまに一般の人でも参加できるイベントがあるみたいです。(最近知ったところのなのであまり詳しく知らないのです、すみません)
ぜひ機会があればそれぞれのイベンターのものに参加してみて、どういうデザインや仕掛けが施されているか意識してみてください。
僕のこの記事なんかよりめっちゃ勉強になりますよ。
では。