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たぬきをお迎え
散歩コースに、古い町並みの残る地域があって、
そこでは“信楽焼のたぬき”に出会える。
某番組で、「滋賀県の家には一家に一体いる」と見た記憶があったのだけど、案外本当なのかもしれない。
軒先にいるたぬき、玄関の中にいるだろうたぬき、お店の前にいるたぬき、、、
それぞれ違う表情と体型のたぬきに挨拶をしながら、その散歩道を抜ける。
何十年と、街の様子を見てきたかもしれぬたぬき。
ちょっと、ただの置き物に思えない威厳と風情があるのだ。
滋賀県民になったら、是非とも我が家にもお迎えしたいと思っていた。
運命の一体との出会い。
きっと一目で「うちの子!」と感じるたぬきがいるはずなのだ。
そう期待しつつ、信楽へ向かった。
信楽にはたくさんのお店があり、それぞれの店頭には、これでもか!という数のたぬきがいる。
車で通りながら、少し怯む。
この数の中から、見つけ出せるだろうか…
と、1件目に入ってすぐ。
おりました。
目が合いました。
いや、でも。
もっと見てからの方がいいかも…
と、悪あがきの数軒を巡って、
結局、最初に見つけた子を、お迎えすることになりました。
顔の角度、目線。フォルム。色合い。
あぁ なんとも愛くるしい。
これから、数十年、よろしくお願いしますよ。
親切な店主さんがくださった「信楽狸八相縁喜」
「笠」
思わざる悪事災難を避けるため
用心常に身をまもる笠
「目」
何事も前後左右に気を配り
正しく目つむることな忘れめ
「顔」
世は広く互に愛想よく暮し
真を以って務めはげまん
「徳利」
恵まれし飲食のみにこと足利て
徳はひそかに我につけん
「通」
世渡りは先ず信用が第一ぞ
活動常に四道八達
「腹」
もの事は常に落ちつきさりながら
決断力の大胆をもて
「金袋」
金銭の宝は自由自在なる
運用をなせ運用をなせ
「尾」
なに事も終わりは大きくしっかりと
身を立てるこそ真の幸福