ばってん少女隊『ふぁん』



 九州を中心に活動をするばってん少女隊が自主レーベルから2020年に発売したアルバム『ふぁん』。
 このアルバムを初めて聞いたときには驚いた。曲がどれもこれも良い。しかも、テイストの違う曲が揃えられていながらも、コース料理のように一枚のアルバムが物語を紡いでいく。6曲目のOisaが流れた時には、もう『ふぁん』という作品に夢中になっていて12曲目のOverを聞き終わる頃には胸に温かい感動が流れている。
 
 
 簡単に全曲の紹介を書いてみる。


1.ふぁんtasy
 導入曲はアルバムの世界に引き込んでくれるインストロメンタル。電子的な音が響いて重なり合う不思議な一分間。

2.スウィンギタイ
 管楽器が鳴り響き二曲目が始まる。ファンクな楽曲にのせて力強く前向きな歌詞が歌われる。サビの少し切なさの混じったメロディがばっしょーの若い歌声で歌われ胸を震わせる。

3.MILLION SUMMERS
 歌詞の世界観が独特なギターロック。印象的な歌詞とばっしょーの歌声の不思議なミスマッチが心地良い楽曲。

4.OTOMEdeshite
 アップテンポなスカコアの楽曲。歌詞遊び心が入ったトリッキーなアイドルソング。サビのフレーズは記憶に残って頭でループする。

5.でぃすたんす
 王道ファンクサウンドにのせてメンバーがシャウトにも挑戦している楽曲。歌詞の内容とも相まってサビで胸が温かくなる。

6.Oisa
 電子的な音で構成されていながらも、和の旋律で日本の宵闇を感じさせる。そして、五曲目までとのギャップもあり強烈なインパクトを感じた。また、繰返し聞きたくなる中毒性の高い楽曲。

7.Dancer in the night
 印象的なギターリフで始まるポップス。夜の街の風景が目に浮かぶ様な楽曲とばっしょーのギャップが面白い。

8.ジャン!ジャン!ジャン!
 爽やかな朝の空気で一日の始まりを感じさせる。前曲とは打って変わってばっしょーのポジティブな明るさを全面に押し出している楽曲。

9.ありがとーと
 アイドルソングの定番といえばサンキューソング。メンバーのアンコールパートで歌われたりするとコールアンドレスポンスが楽しそうな一曲。

10.Dear My Blues
 明日への一歩を踏み出す背中を押してくれるメッセージソング。明るい旋律、ばっしょーの明るい歌声に元気付けられる。

11.Just mean it!
 楽曲の空気も歌詞の世界観も、大人っぽく作って、敢えてばっしょーに少し背伸びさせているのが印象的。メンバーの成長と一緒にパフォーマンスが変わっていくのが楽しみ。

12.Over
 アルバム『ふぁん』のエンドロール。シンプルな楽曲にのせたばっしょーのハーモニーが聴きどころ。ライブでみんなでハンドクラップしたら楽しそう。


 アルバムとして曲順まで考えられている作品なので、少しでも興味を持ったなら一聴の価値ありです。一人でも多くの方に、このアルバムが届きますように。


                   おしまい

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