りかさとりか短文妄想(2021/9/1)
お題『はじめて中学の制服に袖を通したさとりか』
※質問箱にて頂いたお題になります。ありがとうございました!
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「いやぁ、二人もいよいよ中学生か~。おじさん、感慨深いよ」
しみじみとそう話しながら、試着用のセーラー服を色々と見て回る魅音。
今日は梨花と沙都子が中学に進学した時のための制服を選びに興宮まで来ていた。園崎家の伝でお古の制服であれば譲ってくれるということで、二人はそれに甘えることにした。
「さて、二人とも、ここにあるのはどれでもいいらしいから好きなの選びな
」
「ありがとうなのですよ」
「ありがとうですわ、魅音さん」
ハンガーラックにかけられた様々な種類の制服を二人で見ていく。
小学生までは私服だったため、中学に進学し、制服を身につけるという新鮮な体験が二人の気持ちを高まらせていた。楽しそうにする二人を見て、魅音もまた嬉しそうに微笑む。
「二人とも、あっちに試着室もあるから、色々着てみたらいいよ」
魅音の言葉を合図に二人の制服ファッションショーが始まった。
「むぅ…これは…スケバンみたいですわね…」
「スケバン刑事なのですよ、にぱー☆」
スケバン風な長いスカートのセーラー服。最近めきめき身長が伸びつつある沙都子にはちょうどよかったが、あまり身長は伸びていない梨花には少し大きすぎたようで足が完全に隠れてしまっている。
「…梨花にそのスカートは長すぎましたわね」
「みぃ…沙都子は悔しいくらい似合っているのです…」
「そう?私はどうも長いスカートは暑苦しくて疲れますわ」
次の候補の制服へ。
「ブレザーなのです!」
「これなら多少は動きやすいですわね。梨花にもぴったりのサイズがあって良かったですわ」
「ぴったりしかないのが悩ましいところなのです」
ブレザーは梨花にも沙都子にもぴったりのサイズがちょうどあった。沙都子はこれでもいいのではないかと思ったが梨花は何やら不満そうで。
「ぴったりが一番じゃありませんこと?」
「ボクは…この先絶対成長するのです!だから、今ぴったりだと大きくなってからまた大変になってしまうのですよ」
「はぁ…まぁ確かに私も最近伸びてきてますし今の身長にぴったりなのは、後々入らなくなってしまうかもしれませんわね」
沙都子の『最近伸びてきてますし』という一言をきいて、沙都子の方を恨めしそうに見る梨花。
沙都子はそんな視線に気付くと、「梨花は今のままでも可愛らしいですわよ」と褒めてみるが、今の梨花にとってそれは逆に煽られているようで、ますます沙都子を見る目が厳しくなる。
「さ、さぁ、気を取りなおして、次の服選びますわよ~!」
「……みぃ、そうしますです… 」
なんとか話題を切り替えて、次の制服を選び始める二人。
「「あっ、これ」」
二人とも同じタイミングでハンガーラックから取り出したその制服はセーラー服。
偶然にもどちらも同じようなデザインのものであり、沙都子が取り出したものは長袖タイプ、梨花が取り出したものは半袖タイプのセーラー服だった。
サイズを見てみると、長袖は梨花、半袖は沙都子の方が合いそうだったため、お互いに交換して試着することに。
「うん、セーラー服、動きやすさもあっていいですわ!」
「沙都子、ボクの方はどうですか?」
「あら、梨花も可愛い。梨花の要望通り、少し大きめのサイズですし、よろしいのではなくて?」
「沙都子、ありがとう!沙都子もすごく似合っているのですよ」
二人はお互いを褒め合うとふふふ、と笑いあって、遠くで座って待っている魅音を呼び、このセーラー服に決めた旨を伝える。
「いよいよ中学生。新しい生活が始まると思うとわくわくするのですよ」
「といっても雛見沢分校で今までと変わらない教室で勉強するだけですが」
「…それでも前にすすんでいるのですよ。私も沙都子も、これからも一緒に大きくなっていきましょう」
「梨花…そうですわね。これからも二人で一緒に前に進んでいきますわよ」
魅音が制服を譲ってくれるという人のもとに話をつけに言っている間、二人はそっと手を繋いで未来を見つめていた。
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