りかさとりか短文妄想(2021/8/26)

お題『噛み癖のある沙都子と歯型だらけになって困ってるけどちょっと嬉しいちゃま』

※質問箱にて頂いたお題になります。ありがとうございました!

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「皆さん集合してください。これで本日の体育の授業は終わります」

先生のその合図に、全員が「ありがとうございました」という挨拶をして授業が終了する。

「あら、梨花様、更衣室行かないんですか?」
「今日は少し先生の片付けのお手伝いをしてから教室に戻るから、先に戻っててちょうだい」
「それなら私達も手伝いますわ」
「いえ、一人でもすぐ終わるからお気持ちだけ受け取っておくわ。ありがとう」

梨花の言葉を受けて、すんなり引き下がる取り巻きの生徒たち。流石梨花様ですわ、見習わないといけませんわね、といった話をしながら先に更衣室に戻っていった。

(さすがにみんなの前で着替えはできないわよね…)

梨花は小さくため息をつき、授業で使用した用具の片付けに入り始めた。

「誰もいないわね…」

梨花は片付けを終えて更衣室に入ると、まず室内に誰もいないことを確認する。
そして、自身の着替えが入っているロッカーを開いて、体操着を脱ぎ始める。

「それにしても沙都子ったら、痕つけすぎよ…」

ロッカーに備え付けられている鏡に映る自分の上半身を見て、顔を赤くする梨花。その上半身は首元、肩、鎖骨、胸元…鏡には写っていないがくびれやへそ、そして梨花自身は見えないがきっと背中まで…赤い歯型が散りばめられている。
それは昨晩、沙都子とたっぷり愛し合った証拠。どうやら沙都子には噛み癖があるようで、梨花が沙都子を求める時も、沙都子が梨花を求める時も、沙都子はいつだって、梨花の身体中に噛み付く。まるで、マーキングでもするかのように、徹底的に。
身体を重ねるようになった当初は、その遠慮のない噛みつきに痛みしか感じなかった梨花だが、いつの間にかその痛みは快楽になり、梨花を満たしてくれる大事な要素となっていた。

梨花は沙都子への文句を呟きながらも、その表情はどこか満足気で。一通り鏡にうつる自分の身体を見て、制服のYシャツに袖を通そうとしたその時だった。

「忘れ物してしまいましたわ、あ、梨花様、片付け終わった…ん、です…ね…!?」

急いで更衣室に入ってきたのは、梨花の取り巻きの一人であるおさげの生徒だった。どうやら忘れ物をしたようだが、ギリギリのところで梨花はその身体を隠すのが間に合わなかった。

「り、梨花様…その赤い痕は…」
「い、いえ、これは…その…さと…あ、いえ…」
「さと…まさか、北条さんですの!?あの方、梨花様にどんな暴力を奮って…!?」
「ま、待って!違うの!!!」

気が動転して今にも先生を呼び出すのではないかという勢いの彼女を、梨花の今できる限りの大きな声で静止する。この学園に入ってから大声など出していないため、あまりいい声ではなかったが、いつになく、大きな声だったため、彼女をいったん落ち着かせるには十分だった。

「ち、違うって…でもその痕は…」

梨花は大きく深呼吸して、この学園に入ってからは見せたことのないような冷たい表情で薄く笑みを浮かべる。

「ふふ、あなたには分からないわ。これは私と沙都子を繋ぐ大切な痕。誰にも切れない絆の証よ。だから…」

梨花はジリジリと彼女に迫る。梨花の普段とは異なる雰囲気に押され、後ずさりする彼女だが、すぐそこには壁があり、これ以上下がることができない。
言いようのない恐怖に顔を歪ませる彼女の唇に、梨花は人差し指を持っていく。

「このことは誰にも言っては駄目よ?分かった?」

彼女はこくこくと頷くことしかできない。梨花はその様子をみて、彼女を解放してやると、彼女は忘れ物を急いで取ると、逃げるように更衣室から出て行った。

「やりすぎちゃったかしら…」

梨花は今後の自身の学園生活を少しばかり心配したが、それよりも自分も沙都子の関係性を間接的にとはいえ、人に見せつけることができた優越感が勝っており、これからどうなろうと沙都子がいればいいや、そう思ったのであった。


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