『7つの習慣』まとめ 2/4
本題に入る前に
前回投稿した、『7つの習慣』まとめ1/4は読んで頂けただろうか。
先ずは全体を把握するだけでも、まとめ1/4を先に読んで頂けると今回の内容がより理解しやすくなると考えられる。
まとめ1/4では、第1~第7の習慣の考えの基になる部分が書かれているためである。何度も念を推すようであるが、先ずはそちらから読んでから本記事を読んで頂けると幸いである。
1. 第1の習慣「主体的である」
「意図的に努力すれば必ず人生を高められるという事実ほど、人を勇気づけるものが他にあるだろうか。ーヘンリー・デイヴィッド・ソロー」
① パーソナル・ビジョンの原則
動物には備わっておらず、人間のみが持つ能力、それが「自覚」である。自覚は自分自身の思考プロセスを考えることのできる能力であり、自分の経験だけでなく他社の経験からも学ぶことが出来る。また、習慣を身につけるも断ち切るも自覚のなせるわざである。
② 社会通念の鏡
現代の社会通念や世論、周りの人たちが持っているパラダイムには3つの要素で人間の本質を説明している。
・ 遺伝子決定論:ある特性を持つDNAが何世代にもわたって受け継がれているという理論。
・ 心理的決定論:育ちや子供時代の体験が性格や人格を形成しているという理論。
・ 環境的決定論:取り巻く環境の中にいる誰か、何かによって今の状態が形成されたと考える理論。
コヴィー先生が問題視しているのは、これらは刺激/反応論に基づいているものであり、人間の本質は説明できないのではないかと考えている。
③ 刺激と反応の間
人間には4つの能力(自覚・創造・良心・意思)があり、これらは、刺激に対する影響を自分自身の中で選択することができる。つまり、人間には刺激と反応の間に選択の自由が存在する、とコヴィー先生は述べている。
刺激と反応の間に存在する選択の自由こそが人間に内在する可能性を最大に引き出すことができる。しかし、これに気づかず、動物の様に本能や条件づけ、置かれた状況だけに反応して生きていたら、可能性を引き出すことはできない。
④ 「主体性」の定義
主体性とは、自発的に率先して行動するだけを指すのではなく、人間として、自分の人生の責任を引き受けることも意味する。
ヴィクトール・フランクル(オーストリアの精神科医・心理学者)によると、人生には3つの中心となる価値観が存在し、「経験」, 「創造」, 「姿勢」であるという。 これらの中で、最も大切なのは「姿勢」であり、人生で体験することにどう反応するか、が最も大切と述べている。
上記にある、自分の人生の責任を引き受けること=自分の人生で体験することにどう反応するか、が「主体性」であると述べている。
⑤ 率先力を発揮する
率先力を発揮することは、進んで行動を起こす責任を自覚することである。コヴィー先生の家庭では、問題にぶつかると「I(Initiative 率先力)」と「R(resourcefulness) 知恵」を使いなさいと教えているらしい。
良い仕事に就けるのは、自分から主体的に動く人だとコヴィー先生は述べているが、人に責任を持たせることはその人を突き放すのではなく、寧ろ、その人の成熟度に関わらず、その人の主体性を認めることであるということも述べている。
⑥ 自分から動くのか、動かされるのか
人生の中で効果性の原則であるP/PCバランスを生み出すこと、『7つの習慣』を身につけるには率先力が必要不可欠である。自ら責任を受けて行動することと、周りから動かされるのでは成長や成功の機会も大きく変わる。
あらゆる組織が主体的(現状や将来の予測に対して前向きな反応を選択できる)であり、組織として率先力を発揮すれば、組織を構成する全員が同じ価値観と目的を共有できる。
⑦ 言葉に耳を傾ける
反応的な人は、自分には責任がない、自分の反応を選ぶことは出来ないと責任転嫁してしまう。自分の不幸を他者や状況のせいにしがちで、被害者意識が増していき、感情をコントロールできず、自分の人生や運命を切り開くことができなくなる。
一方で、主体的な人は、気分を価値観に従わせるので、自分の人生や運命を切り開くことができる。
⑧ 関心の輪/影響の輪
自分の時間とエネルギーを何にかけているかに目を向けることで、自分がどのくらい主体的な人間かを自覚することができる。
関心を持っている部分を「関心の輪」, 関心の輪の中には自分でコントロールでき、影響を与えられる「影響の輪」がある。
主体的な人は、この影響の輪を押し広げられるエネルギーを持っている。
しかし、一方で反応的な人は、他者のせいにする態度、反応的な言葉、被害者意識が強くなってしまい、ネガティブなエネルギーもそれに応じて増えてしまい、結果として影響の輪を小さくしてしまう。
地位や財力、人脈などで影響の輪が関心の輪よりも大きくなる場合がある。これは、関心の輪だけにしか注目しない自己中心的で反応的な人に見られる。一方で、主体的な人は、自分の影響力を効果的に使う責任を自覚しているので、影響の輪が関心の輪よりも大きくなることは決してない。
⑧ 直接的、間接的にコントロールできること、そしてコントロールできないこと
直接的にコントロールできる問題:習慣を改めれば解決できる。
間接的にコントロールできる問題:影響を及ぼす方法を考えれば解決できる。
自分ではコントロールできない問題:問題に対する態度を根本から改める。
⑨ 影響の輪を広げる
主体的な人は、賢く、価値観に従って行動し、現実を直視し、何が必要かを理解する。
⑩ 「持つ」と「ある」
自分の意識が関心の輪、影響の輪のどちらに向いているのかを判断するには「持つ(have)」と「ある(be)」を考える。
・関心の輪 = 持つ(have)
・影響の輪 = ある(be)
問題は自分の外にあると考えるならば、その考えこそが問題である。自分にコントロールできない問題は受け入れ、直接的か間接的にコントロールできることに努力を傾ける。
⑪ 棒の反対側
関心の輪には、結果と過ちの2つの要素が存在する。反応を選択することは、つまり、結果を選択することと同義である。
主体的であるためには、過去の間違いは影響の外にあることに気づくことである。更に、重要なのは過ちを犯した時にどういう反応を選択するかである。
⑫ 決意を守る
影響の輪の最も中心にあるのは、決意し、約束をしてそれを守る能力である。自分自身に約束し、それを守る能力は、人の効果性を高める基本の習慣を身につけるために不可欠である。知識・スキル・意欲は、私たち自身が直接コントロールでき、この3つの重なる部分が大きくなると、習慣の土台となっている原則を自分の内面に深く根付かせ、バランスの取れた効果的な生き方ができるような強い人格を築くことが出来る。
⑬ 主体性:30日間テスト
30日間、毎日影響の輪の中ことだけに取り組んでみる(小さい約束をし、それを守る)。
自分は責任ある人間であると自覚することが、自分自身の効果性の土台となる。また、習慣の土台となる。
2. 第2の習慣 「終わりを思い描くことから始める」
「我々の後ろにあるもの(過去)と我々の前にあるもの(未来)は、我々の内にあるものに比べればとるに足らないものである。-オリバー・ウェンデル・ホームズ」
① 「終わりを思い描くことから始める」とは?
「終わりを思い描くことから始める」とは、人生におけるすべての行動を測る尺度、基準として、自分の人生の最後を思い描き、それを念頭に置いて今日という一日を始めることである。つまり、ゴールを設定することで、そこに対して正しい方向に進むことができる。これこそが、成功の定義であるとコヴィー先生は述べている。
② すべてのものは二度つくられる
「終わりを思い描くことから始める」習慣は、すべてのものは二度つくられるという原則に基づいている。第一の創造は知的創造、第二の創造は物的創造である。
この習慣の原則を理解し、第二の創造だけでなく第一の創造にも責任を果たすことによって、私たちは影響の輪の中で行動し、影響の輪を広げていくことができる。
一方で、これを怠ると、影響の輪は縮んでしまう。
③ 描くか委ねるか
第一の創造によって自分の人生を自分の手で描くことができれば、第二の創造で主体的な自分ができる。しかし、第一の創造を他人に委ねてしまったら、自分とは他者によってつくられてしまう。
④ リーダーシップとマネジメント:二つの創造
第2の習慣は、パーソナル・リーダーシップの原則に基づいている。リーダーシップは第一の創造であり、マネジメントは第二の創造である。
成功の梯子を効率的にうまく登れるようにするのがマネジメントであり、梯子が正しい壁に掛かっているかどうかを判断するのがリーダーシップである。私の言葉で言い換えるならば、マネジメント=戦術であり、リーダーシップ=戦略であると考えた。
まず必要とされるのはリーダーシップであり、マネジメントはその次である。それは、マネジメントが完璧であっても、リーダーシップの欠如を補うことはできないからである。
⑤ 脚本を書き直す:あなた自身の第一創造者となる
主体性を広げ、自分を導くリーダーシップを発揮できるようにするのが、想像と良心である。想像力を働かせれば、眠っている潜在能力を開花させられ、良心を働かせれば、普遍の法則や原則理解し、それらを身につけ実践するための自分自身のガイドラインを引くことができる。
効果的な脚本とは、正しい原則から生まれる自分自身の価値観と一致する脚本であり、今自分が持っている脚本に効果がないとわかれば、想像と良心を働かせ自分から主体的に書き直すことができる。
⑥ 個人のミッション・ステートメント
ミッション・ステートメントとは、信条あるいは理念を表明したものであり、第2の習慣を身につけるには、個人のミッション・ステートメントを書くのが最も効果的である。これもまた、正しい原則を土台としていれば、その人の憲法となり、人生の重要な決断を下す時の基礎となる。
人生におけるミッションを見出し、意識できれば、内面に主体性の本質ができる。また、ミッション・ステートメントに照らすことで、自分の時間、才能、労力を効果的に活用できているかを判断することができる。
⑦ 内面の中心にあるもの
内面の中心にあるものは、自分の最も基本的なパラダイムである。自分の中心に置くものが何であれ、安定、指針、知恵、力の源になる。
・安定:存在価値、アイデンティティなど
・指針:人生の方向性を決める根源
・知恵:人生観、生活を送るうえでのバランス感覚
・力:行動する力、物事を成し遂げる強みと潜在的な能力
この4つが一つにまとまり、調和がとれ、個々の要素が互いを高める状態になっていれば、気高く、バランスがとれ、揺るぎない見事な人格ができる。
⑧ さまざまな中心
人は誰でも自分の中心を持っている。普段はその中心を意識していないし、その中心が人生の全ての側面に影響を及ぼしていることにも気づいていない。以下に様々な中心を抜き出す。
・お金中心, ・仕事中心, ・所有物中心, ・娯楽中心など
⑨ あなたの中心を明らかにする
明確な中心を一つ持ち、そこから常に高いレベルの安定、指針、知恵、力を得られることが理想である。そうすれば人生のすべての部分がよく調和し、主体性を発揮できる人間になれる。
⑩ 原則中心
人生の中心正しい原則を据えれば、人生を支える4つの要素を伸ばしていく賢固な土台ができ、それを理解していると人生は安定する。
原則は、人類共通の根本的な真理であり、原則中心の生き方から生まれる知恵と指針は、物事の現在、過去、未来を正しくとらえた地図に基づいている。それによって、正しいデータに基づいて決断し、決めたことを確実に有意義に実行できる。
第一に、自分が一番良いと思う事を主体的に選択する。第二に、長期的な結果を予測できる原則に従って決めるのだから、自分の決断は最も効果的だと確信できる。第三に、自分が選択したことは、人生において自分が最も大切にしている価値観をさらに深める利点もある。第四に、相互依存の人間関係の中で培ってきた強いネットワークにおいて、奥さんや上司とコミュニケーションがとることができることだ。
原則中心の人は、揺るぎない普遍の中心から生まれる心の安定、指針、知恵、力を持っているから、主体性にあふれ、きわめて効果的な人生の土台ができるのである。
⑪ 個人のミッション・ステートメントを記し活用する
私たちは、主体性を持つことによって初めて、どんな人間になりたいのか、人生で何をしたいのかを表現できるようになる。したがって、個人のミッション・ステートメントを記し活用することで、主体的な人間になることができる。
⑫ 脳全体を使う
人間には自覚の能力があるから、自分の考えていることを客観的に観察することが出来る。想像と良心は主に右脳による働きであり、人生のミッション・ステートメントを書くときには、活用方法を知っていれば、第一の創造のレベルが格段に上がるので、この能力がとても役立つ。
基本的に、左脳は論理や言語の領域を専門にし、右脳は直感的、創造的な領域に強い。脳に眠っている様々な可能性に気づけば、それを意識的に活用し、その時々のニーズに適した効果的な方法で対応することが出来るようになる。
⑬ 右脳を活用する2つの方法
右脳の能力を上手く使えば、何をしたいのか、どうありたいのかという、人間が望む人生の全体像を鮮明に思い描けるようになる。
(1) 視野を広げる
視野の広げ方は様々あり、例えるならば、想像力を活かして自分の葬儀の場面を思い描く。
(2) イメージ化と自己宣誓書
自分の日々の生活で大切な価値観に沿って行動できるように、自己宣誓書を書く(コヴィー先生)
想像力は良心を伴った時にこそ高い次元で効果を生むのであって、自らの目的に適い、相互依存の現実を支配する正しい原則に従うことで、自分を超えて広い社会に貢献できる人生を送れる。
⑭ 役割と目標を特定する
右脳でとらえたイメージや感情、映像を言葉にする、書くことによって自分の考えの無駄な部分が削ぎ落とされ、明確になる。
人生をもっと効果的に生きる努力をするときに陥りがちな問題の一つは、思考の幅が狭くなってしまうことである。自分の人生での大切な役割を念頭に置いてミッションを書くと、生活にバランスと調和が生まれる。
自分の役割を全部書き出したら、次はそれぞれの役割で達成したい長期的な目標を立ててみる。効果的な目標は、行為よりも結果に重点を置く。役割と目標は、人生のミッション・ステートメントに枠組みや指針を与える。
⑮ 家族のミッション・ステートメント
企業などの組織も、「終わりを描くことから始める」習慣によって、効果的に運営することができる。ミッション・ステートメントを書くことによって、組織のスタンダードとなり、物事を評価するときや意思決定の判断基準となる。
⑯ 組織のミッション・ステートメント
ミッション・ステートメントは、組織の成功にとっても重要なものになる。あらゆる組織に共通する根本的な問題の一つは、自分の働き方、あるいは生き方を他の人から決められるとしたら、本気で取り組むのは無理であるということ。
組織の全員が本心から共感できるビジョンと価値観を反映したミッション・ステートメントは、組織の結束と決意を生み出す。それは、組織が最も大切とする不変の中心を、全員が自分のものとしているため、アメとムチを使わずとも、全員が自発的に行動する。
3. 第3の習慣「最優先事項を優先する」
「大事を東海林の犠牲にしてはならない。ーゲーテ」
先ず、この先を読み進める前に皆さんに考えてほしい質問が2つある。
(1) 現在はしていないが、もし日頃から行っていれば、あなたの私生活に大きくポジティブな結果をもたらすと思う事を一つ挙げるとしたら、それは何だろうか。
(2) 同様に、あなたの仕事や専門分野で、ポジティブな結果をもたらすと思うことを一つ挙げるとしたら、それは何だろうか。
この質問に対する答えをどこかにメモをして、この後の内容を読んでもらいたい。
第3の習慣とは、第1の習慣及び第2の習慣で身につけたことを実践し、個人的な結果を得る習慣である。また、この習慣を身につけるには、自分の主体性を意識し、それを育てていかなければ、原則中心の生き方はできないため、第1と第2の習慣の土台が不可欠となる。
① 意思の力
セルフ・マネジメントに真の効果性をもたらすには、意思を活用することである。意思とは、決断し、選択する能力であり、決めたことに従って行動する能力である。日々のあらゆる決断と意思によって、自分をマネジメントする力が徐々についてくるのである。
効果的なマネジメントとは、最優先事項を優先することである。リーダーシップとは、「優先すべきこと」は何かを決めることであり、マネジメントは、その大切にすべきことを日々の生活の中で優先して行えるようにすることである。つまり、自分を律して実行することがマネジメントである。
② 時間管理の4つの世代
時間管理の本質とは、「優先順位をつけ、それを実行する」に尽きる、とコヴィー先生は述べている。
時間管理の第一世代とは、メモやチェックリストが特徴であり、第二世代とは、予定表やカレンダーが特徴である。第三世代は今の世代であり、第一・第二の世代に「優先順位づけ」と「価値観の明確化」が加わっている。
第四世代では、モノや時間には重点を置かず、人間関係を維持し、強くしながら結果を出すことである。端的に言うと、P/PCバランスを維持することである。
③ 第Ⅱ領域
第四世代の時間管理の中心をなす考え方を、緊急度と重要度の2つの要素で図示した。私たちは基本的に、これらの四つの領域のどれかに時間を使っている。
重要な用事は、自分のミッション、価値観、優先度の高い目標の実現につながるものである。
私たちは、緊急の用事には受動的に反応するが、緊急ではない重要なことをするには率先力と主体性が要る。機会をとらえたり、物事を実現させたりするには、能動的に動くことが必要である。
次々に押し寄せる問題に打ちのめされている人は、時間の9割が第Ⅰ領域に費やされ、残りの1割は第Ⅳ領域に入ってしまう。
緊急だが重要ではない第Ⅲ領域の用事を第Ⅰ領域と思い込み、多くの時間を費やす人もいる。緊急の用事のすべてに反応し、ほとんどの時間を使ってしまう。
第Ⅲ領域と第Ⅳ領域だけに時間を使っている人は、根本的に無責任な生き方をしている。
第Ⅱ領域は、効果的なパーソナル・マネジメントの鍵を握る領域であり、効果的な生き方が出来る人は、この領域に入る活動に時間をかけている。冒頭で2つの質問があったと思うが、その答えは上の図に照らし合わせてみると、第Ⅱ領域に入るのではないかと思う。つまり、それを実行することで、私たちの生き方ははるかに効果的になる。
先を見て考え、問題の根っこに働きかけることで、即時に問題を解決することを時間管理の世界では、パレートの法則と言い、活動の2割が結果の8割を生み出す。
④ 「ノー」と言うためには
第Ⅱ領域に使える時間をつくるには、第Ⅲ領域と第Ⅳ領域の時間を削るしかない。第Ⅱ領域の重要な最優先事項に「イエス」と言うためには、他の用事がいくら緊急に見えても、「ノー」と言うことを学ばなければならない。
自分が持っているプログラムを見つめる自覚があれば、想像力を働かせ、良心に従って、原則中心の新しい、自分だけのプログラムを書くことができる。そのプログラムこそが、自分にとっての「イエス」となり、それ以外の大切ではない要件に「ノー」と言える意思を持つことになる。
⑤ 第Ⅱ領域に入るには
第一世代は、そもそも優先順位という概念がない。第二世代は、優先順位がなく、深い価値観や目標を意識して計画を立てているわけでもない。第三世代は、視野が限られ、人生における個々の役割をバランスよく管理する視点が欠けている。それらに対し、第四世代は全く新しい次元であり、原則中心の生き方ができ、第Ⅱ領域に入って、自分にとって最も重要なことを自分自身で管理するパラダイムと実行を与えてくれる。
⑥ 第Ⅱ領域ツール
第Ⅱ領域活動のための時間ツールは、次の6つの基準を満たしていなければならない。
(1) 一貫性:調和と結束、誠実さがあること。
(2) バランス:生活のバランスを確立し、維持するための工夫が必要である。
(3) 第Ⅱ領域へのフォーカス:スケジュールに優先順位をつけることではなく、優先するべきことをスケジュールにすること。
(4) 人間関係重視:スケジュールを曲げても人間関係を優先しなければならないことがある。
(5) 柔軟性:自分がツールを使うのであって、ツールに使われてはならない。
(6) 携帯性:ツールは持ち運びできるものにし、大切なデータをいつでも手の届くところに置いておく。
⑦ 第Ⅱ領域をセルフ・マネジメントする
(1) 役割を明確にする:例 1. 個人 2.会社員 3. クラブチームのメンバー
(2) 目標設定:それぞれの役割について、これからの一週間で達成したい重要な成果を一つか二つ考え、それを目標として書き込む。
(3) スケジューリング:(2)で決めた目標を念頭に置いて、それらを達成するために必要な時間を一週間のスケジュールに組み込んでいく。
第Ⅱ領域の活動を中心に一週間のスケジュールを立てれば、最優先事項を優先するだけでなく、予期していなかったことが起こっても対応でき、必要があればスケジュールを変更できる。
(4) 一日単位の調整
自分の人生のミッションや生活のバランスにどのように影響を与えるのか考えずに、ただやみくもに優先順位をつけていては、効果性を期待できない。その為、一週間単位の計画を活用して、日々第三世代の優先順位づけ手法を用いて、日々フォーカスすることで効果性をもたらす。
⑧ 第Ⅱ領域に生きる
自分が書いたプログラムの通りに生きるには、意思、自制心、誠実さ、決意が必要であり、更に、短期的な目標をスケジュールだけでなく、自分の目標やスケジュール、生き方そのものに意味とつながりを与える正しい原則、自分のもっとも深い価値観に従って生きる覚悟も必要である。
⑨ 第四世代の利点
第三世代のツールに多くの人が抵抗感を覚える一つに、自主性が奪われてしまうためである。時間管理の第三世代のパラダイムは「効率重視」であり、人はモノよりも大切であるという原則に反しているからだ。
一方で、第四世代のツールには、この原則が取り入れられ、自分自身を効率よく動かすのではなく、自分自身が効果的に生きることが何よりも重要であるという認識に立っている。また、第四世代のツールは、ロードマップではなくコンパスである。
第四世代のセルフ・マネジメントは、次の5つの点で第三世代よりも優れている。
(1) 原則中心であること。
(2) 良心に導かれていること。
(3) 価値観や長期的な目標を含めて、自分だけに与えられたミッションを明確に出来ること。
(4) 人生における自分の役割が明確になることで、バランスの取れた生き方ができるようになること。
(5) 一週間単位のスケジューリングによって視野が広がること。
これらに共通しているのは、人間関係と結果を第一に重視しているということである。
⑩ デリゲーション:PとPCを高めるために
※デリゲーション = 責任
自分の時間を使うときは効率性を考え、人に任せるときは効果性を考えることである。
効果的なマネジメントの鍵を握っているのは、デリゲーションなのである。それこそが、個人であれ組織であれ、成長をもたらす。
⑪ 使い走りのデリゲーション
デリゲーションには基本的に2種類あり、「使い走りのデリゲーション」と「全面的なデリゲーション」である。
※使い走りのデリゲーション:ただ指示を出すだけのこと。
使い走りのデリゲーションでは、社員が昇進してもそのパラダイムから抜け出せず、それしかできない。
他者にデリゲーションするならば、相手の自覚、創造、良心、意思を尊重してデリゲーションすることが大切である。
⑫ 全面的なデリゲーション
全面的なデリゲーションは、手段ではなく結果を重視する。これを行うには、次の5つを明確にし、何が期待されているのかをお互いに理解し、納得しなければならない。
(1) 望む成果:何を達成するかであって、どのように達成するのかではない。手段ではなく、結果について納得するまで話し合う。
(2) ガイドライン:守るべき基準やルールがあれば、明確にしておく。失敗しそうなところ、してはいけないことを指摘するのであって、すべきことを指示するのは控える。
(3) リソース:望む結果を達成するために使える人員、資金、技術、組織、リソースを明確にしておく。
(4) アカウンタビリティ:成果を評価する基準を定め、仕事の進捗の報告を求める時期、評価を行う時期を具体的に決めておく。
(5) 評価の結果:評価の結果として、良いことも悪いことも具体的に話しておく。金銭的、精神的報酬が期待できるか、仕事が拡大するチャンスがあるのか、組織全体のミッションに影響する結果なのかどうかを明確にする。
効率ではなく、効果を考えることで、デリゲーションの新しいパラダイムとなり、任された人は自分が自分のボスになり、お互いに合意した「望む成果」を達成するために決意し、良心に従って行動する。また、正しい原則に調和しながら、成果を出すために必要なことをいろいろと工夫する想像力も引き出される。
効果的なデリゲーションは、効果的なマネジメントのもっとも適切な先行指標となり、それは個人または組織の成長に欠かすことのできない基礎となるものである。
⑬ 第Ⅱ領域のパラダイム
第Ⅱ領域のパラダイムを理解し、自分の内面に根付かせれば、緊急度ではなく重要度のレンズを通して物事を見られるようになる。
4. ティーブレイク
私がこの本を読んで、最も印象に残ったのが、第3の習慣の図である。元々、直感的に第Ⅰ領域と第Ⅳ領域の存在を意識できていたため、第Ⅳ領域にいてはマズいと思い、今年から読書を始めた。結果として、この本と出会い、自分の行っていたことが正しかったとわかると何となく安堵した。
私は現在サラリーマンであるが、この本でも記載している通り、第Ⅰ領域と第Ⅳ領域に滞在している人がほとんどである。なので、私は自分の成長の為にも、今後も第Ⅱ領域の活動に勤しんでいく。
次回はいよいよ、公的成功に入っていく。是非とも、一読して評価して頂けたら幸いである。
やんまー
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