『人を動かす』1/2
はじめに
皆さんは普段の学校や職場で同期や先輩、後輩とコミュニケーションを取ることは多々あるだろう。
しかし、組織の中では必ずコミュニケーションを取らないといけない場面があるわけで、そこには「苦手」な人がいないだろうか。恐らくだが、自分の言ったことをやってくれない、言ったことを理解してくれないなど「自分の思い通りに動いてくれない人」に対して、苦手という感情を抱いてしまいがちだと考える。
そんな方に向けて、D・カーネギーの著書『人を動かす』を紹介する。この本は、どうすれば他人が自分の意見を聞いてくれるようになるか、対立中の両者が和解するにはどうしたらよいかなどが具体的に書かれている。
そこそこ古い著書ではあるが、今なお現代人にも通用するテクニックが様々書かれているので、このnoteで紹介することを読み、ぜひ生活の中で活かしていただきたい。
1. 人を動かす三原則
① 相手に批判, 非難, 苦情を言わない。
② 率直で、誠実な評価を与える。
③ 強い欲求を起こさせる。
①であるが、相手を批判や非難することはすなわち、相手の反抗心を起こさせてしまう。自尊心を傷つけられた相手は、反抗心を起こし、防御態勢を取った結果、批判した人を襲ってしまう危険性がある。
では、なぜこのような行動を取ってしまうのか。それは、自分を正当化しようとするからである。暗黒街の王者として有名なアル・カポネも全米からは極悪人と思われていたが、本人は慈善家で大真面目だと言っていたそうだ。果たして、これはアル・カポネのナルシシジムから来ているのだろうか。そうではなく、アル・カポネ自身は本当に正義感を持っていたのではないかと考えられる。
②は、人間の欲求に働きかけることである。人間は金銭的欲求や性的欲求、睡眠欲など様々な「欲」持っている。その欲求の中に「自己の重要感」というものがある。フロイトやデューイの言うところの「偉くなりたい」ことである。相手を心から、嘘偽りなく賞賛を与えることで相手は気分が良くなり褒めてくれた相手の為に頑張ろうとする。
③は、相手の立場を理解し、相手が好むものの入手方法を教えてあげることである。更に言えば、相手が好むものを上手く手に入れることができていない場合には絶大な効果を発揮すると考えられる。これもある意味では、人間の欲求に働きかけるものである。
2. 人に好かれる六原則
① 誠実な関心を寄せる。
② 笑顔を忘れない。
③ 名前を覚える。
④ 聞き手に回る。
⑤ 関心のありかを見抜く。
⑥ 心からほめる。
①の誠実な関心を寄せる、これは相手に好かれる上では非常に重要なことである。相手に関心を寄せることで、相手は自分に興味を持ってもらえていることを嬉しく感じる。言い換えれば、存在を認めてもらえているということである。社会的にも、現在の世代は皆、「存在意義」を求めていることも相まって、より相手を動かす原動力になり得る。
②は、相手への第一印象でその後に与える影響に大きく関わる。これは、心理学的にも証明されており、「初頭効果」と言う。初頭効果とは、人間は最初に与えられた情報を強く印象に残してしまう傾向にある、というもので、この初頭効果を上手く活用することで相手に好かれる確率が格段に上がると考えられる。
③は、なかなか難しいが、それ故にできるようになれば相手に好印象を与える非常に強い武器となる。例えば、会社の受付の方や清掃のおばさんに毎日名前を呼びながら挨拶をしてみたらどうだろうか。受付の方や清掃のおばさんの名前を覚えているその会社の社員はほとんどいないのではないかと思う。そのような方たちだからこそ、挨拶をしてくれるのもそうだが、名前を覚えてくれることは非常に嬉しいことであると考えられる。
④について、普段の自分の振り返ってみてほしい。相手と「会話」をしているのに自分の「話したいことだけ」を一方的に話してしまっていないだろうか。そういう人は一度、相手の話も聞くように心がけてみてほしい。すると、相手からの印象も変わり、以前よりも好かれるはずである。
⑤は、相手がどこに関心を持っているかを見抜き、それを話題にすることで相手にも利益を与え、自分も利益を得る。正に「Win-Win」である。
⑥は、『人を動かす三原則』の②と内容としては同じである。心からの賞賛は、相手を動かすものであると同時に相手から好かれるものでもあることを覚えておいてほしい。