中国歴史アニメ映画『長安三万里』で学ぶ唐詩【李白『静夜思』】
中国の2023年夏休みシーズン(6月1日~8月31日)の映画興行収入は206億1700万元(約4100億円)を突破し、過去最高を記録したようです。
2023年夏の中国映画大ヒットの牽引役となったのが唐代の詩人たちの生涯を描いた歴史アニメ映画『長安三万里』です。
『長安三万里』では48もの唐詩が使われていますが、アニメの映像により詩が作成された場面が現代人にもイメージしやすくなるように工夫されています。
今回は『長安三万里』の1シーンに使われ、「中国では誰でも知っている」とも言われる李白の代表詩『静夜思(せいやし)』をご紹介します。
原文の「床」はベッド、寝台の意味です。「看」とその後の「望」はいずれも「見る」という意味になります。「疑」は「~のようだ」。
「頭を垂れて故郷を思う」とありますが、李白の故郷は蜀(四川省)と言われていますがはっきりはしません。李白は官職につき中央政界で出世するために、20代の半ばすぎに故郷を離れ江南へ向かいましたが、『静夜思』はこの頃書かれた作品と推測されています。
『長安三万里』では李白が『静夜思』を詠みながら望郷の念から感極まって涙を流す下のようなシーンが描かれています。
連絡手段や交通手段が発達した現代ではたとえ故郷を離れ、家族と別れたとしても、好きなときにいつでも帰郷したり、連絡を取りあったりできますが、李白の生きた当時はそれが決して容易ではありませんでした。
『長安三万里』は李白の『静夜思』をかりて、彼の望郷の念をよく表現しています。