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“私立高校のキラキラDK”に死ぬほどなりたかった話
時は遡り、中学時代。毎日学校で友達に会えるのが楽しかった、あの頃。放課後は部活に明け暮れることもなく、友達と公園でリプトン飲みながら喋るか、再放送のドラマを観ることしかしていなかった脱力系帰宅部だった。
そんな脱力系帰宅部中学生だった自分にも夢があった。
それは、、、
“私立高校のキラキラDK” になりたい!!!
当時、男らしさに嫌悪感MAXだった自分は学ランが大嫌いだった。なんか “THE 男” って感じだし、真っ黒で鮮やかじゃないし。なにより自分に全然似合ってなかったから好きじゃなかった。
だから高校は私立高校に進学して、可愛いブレザーの制服が絶対に着たかった。公立高校でも可愛いブレザーの学校はあるけど、私立高校のキラキラさに憧れがあった。
自分の第一志望は名古屋市東部にある某私立高校。ネクタイもシャツも2パターンで、バリエーションが豊富。カラーも柄も可愛くて、理想の制服だった。
「この高校に絶対行く!」と決めたけど、自分の学力では少し厳しかった。当時の自分なりに頑張ってはいたけど、本気では頑張っていなかったと思う。普通に遊んでいたし、言うほど勉強もしてなかったから。
自分は私立高校にどうしても行きたかったから、私立高校しか受験しないつもりでいた。だけど親は反対していた。第一志望の私立高校に行くのは賛成してくれたけど、その高校に落ちたら公立高校を受けてほしいと言われた。学費も私立高校と公立高校では年間約50〜70万円ほど差があって、公立高校の方が安いし、本気で行きたいと思ってない学校に大金払いたくないのは当然だよね。
私立高校は第一志望の学校と滑り止めでもう一校、計2校を受験した。他に行きたい学校もあったんだけど自分の学力では滑り止めにもならないと言われて、別の学校を提案された。その学校はノーマークだった。調べたら、立地も制服もまあまあいい感じだったから、その学校を受験することにした。
結果、第一志望の高校は落ちた。悔しかったけど、自分の努力不足は感じていたから不合格も納得した。ちなみに滑り止めの高校は合格していた。
そして、親との約束通り、公立高校を受験することに。「公立高校を受験するなら◯日までに私に伝えて、願書を書いてください」と担任の先生に言われた。
絶対に私立高校のキラキラDKになりたかったから、その日先生に声をかけずに帰宅し、願書は書かなかった。今思うととんでもない子供だよね。だけどそれくらい本気だったの。
その日の夕食。家族全員いる中でお母さんが自分に尋ねた。
お母さん「願書は書いたの?」
自分『書いてない』
お母さん「え?書いてないの?公立受験するって約束したよね?」
お母さんは驚いた顔と呆れた顔のちょうど間の表情をしていた。そして会話は続く。
お母さん「ゆうやはどうしたいの?」
自分『絶対に私立に行きたいから、滑り止めで合格した高校に行きたい』
お母さん「…」
パパ『高校行くのはゆうやなんだから、行きたいと思うところに行ったら?頑張って!』
お母さん「パパが優しくてよかったね。頑張りなさい!」
パパ、ありがとう。お母さん、約束破ったのに、受け入れてくれてありがとう。
優しい両親のおかげで自分は晴れて、私立高校のキラキラDKになれた。
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両親にゴネて入学させてもらった高校での3年間はとんでもなく楽しかった。そこでたくさんの素敵な友達や先輩、先生と出会えた。第一志望の学校に入学できなかったのはみんなに出会うためだったのかもと思えるほど、自分にぴったりの学校だった。
第一志望に落ちて本当によかった(今だから言えるけど)。
そして、あの日先生に伝えずに帰って、願書を書かない選択をしてよかった。
だけど自分がその選択を今喜ぶことができるのも、あの時自分の意思を理解して尊重し、高い学費を払って私立高校に通わせてくれた両親のおかげ。
パパとお母さんのおかげで、最高の高校生活が送れて、大切な友達にたくさん出会えたよ。本当にありがとう。