なぜあなたは欠陥品なのか
スーパーのセルフレジでピーマンのバーコードが読み込めず、何度か試したのち店員を呼ぶと、その人は備えつけのバーコードリーダー、セルフレジでまず最初に使うパネル状のリーダーではないほうのリーダーを手に取り、一瞬でバーコードを読み取ってくれ、私は私を責めた。バーコードリーダーを替えることすら思いつかない私はひどい欠陥品だ。
買い物を終え、本屋に寄った。立ち読みをする私のそばに中年の男がおり、彼は唐突に店員を捕まえて、「ボールペン字の本ってありますか」店内には検索機が多くあった。この男は自分で検索したのだろうか、と私が思っていると、店員が、少々お待ち下さいと言い残して、ちょっと離れた検索機まで走っていって、操作を始めた。
少し待った。あるとき中年の男がふらふら歩き出した。そして店員の死角に入ってしまった(私からは男と店員の両方が見えている)。男は徐々に遠くへ行く。どんどん離れていき、奥の本棚前で立ち止まって、立ち読みを始めた。
検索を終えた店員が走ってきて、きょろきょろしたのち、男のもとへ。すると店員に気付いた男が、「あ、あったんで」彼の手にはボールペン字の本があった。あ、解りました、と言って店員は去っていき、男は本に目を戻した。そのころには私は、自分がセルフレジでした失敗を忘れており、本を棚に戻し、家に帰ってピーマンを炒めて食べた。
いいなと思ったら応援しよう!
