なぜあなたは本当に善良な人を見抜けないのか
残念だけど仕事には嫌な思い出しかないし、嫌いな上司と同僚ばかりだ。厳しい人は当然好きになれないし、優しげな人が優しく接してきても、なにか裏があるのではと勘繰ってしまう。
じゃあどうすれば本当に優しい人を見つけられるんだろう?
むかし仕事の飲み会で、苛烈な人は苛烈で嫌なことを喚き、穏やかな人は嘘まみれのおためごかしを飛ばしていた。私はその中で精神をすり減らしていた。「具合悪いの? 大丈夫?」と言われても、その優しさを素直に受け止められず警戒した。
真っ暗な帰り道、ひとりで私は、どうやって本当に優しい人を見抜けばいいんだろうと考えていた。
正面に人影を発見したのはそのときだった。上司だった。さっきまで飲み会で一緒だった、優しい(ように表面上は見える)上司が、ひとりで歩いていた。
その人の両手が、それぞれ外側へ広げられていた。つまりペンギンだ。そんな歩きかただった。
ああ、大丈夫だ、と私は思った。この人のことは信用していいに違いない、と。大して周りを意識していないだろうこの瞬間、あんまりにペンギンらしい姿で歩いている上司は、きっと無害なんだろうと思った。
そこには何のエビデンスもない。でもどんな甘い言葉よりも歩きかたや態度が物語ることがある。そこで判断することはきっとなんら悪くない。
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