2014.05.10 陰毛に対する伐採問題を議論すべき

今一番なりたいものは?と聞かれたら、
私は迷わずこう答えるであろう。

『パイ✩パン-PAIPAN-』

新しい映画のタイトルのようだが、勿論そうじゃあない。
言わずもがな、あのパイ・パンだ。
つるつるでテカテカ、嗚呼よみがえる幼少期よ、
のあのパイ・パンである。

以前から陰部脱毛問題に関しては度々議論してきたが(あくまで私一人で)、
「次の給料が入ったら必ず!」
「好きな人がつるつる志向なら即刻!」
とかなんとか言いながら今日まで延ばし延ばしにしてしまっていた。

だがやはり物事には“限界”というものがあり、
ご多分にもれず私のこの陰毛にも、その“限界”が訪れていたのだ。

手持ちのどのパンツからもはみ出す具の数々。
四方八方に乱れ舞う陰毛の子供たち。
そもそもパンツとは陰毛及び陰部を隠すためにあるのではなかったか。
これほどまでに陰毛が飛び出していてはパンツの意味なんてないんではないか、
むしろ穿いてないも同然、猥褻物飛び出し罪でチ〇コ…
じゃなかった禁固10年とかになるんではないか。
いけない、このままではイケない。

しかも最近仕入れた情報によると、

『お互いがパイ☆パン同士だとセックスが格段に気持ち良くなる』

らしいのだ。
これは実体験に基づく情報なので、間違いはなかろう。
なんということだ。
そうとなれば早急に取りかからねばならない。

いやしかし待てよ、金だ、金がないんだった。
パイ☆パンにするには勿論金が必要で、
自己処理でやろうとするとジャリジャリで痒くなって
パンツからチクチクしたヒゲのような毛が飛び出してきてマジで最悪、
と誰かが言っていた(はて、あれは自分だったか)。

じゃあどうすればいいんだ。
いちおう今月中旬からまた働くことにはなったが、
その給料が入るのも早くて来月、というとこだろう。
私はしたい、“今”したいんだ!

はやる気持ちを抑えつけながら、
どうにかしてなんとかならんものかと徹底的にネットサーフィンをしまくった。

『ハイジニーナ(←最近ではこう言うらしい)コースがなんと〇〇円!』
『通い放題〇〇円!つるつるVラインで輝く私!』
『ハイジニーナで夏を満喫!お値段据え置き〇〇円!』

と、とりあえず店に行って処理したまえよ、みたいなサイトばかりが並び、
やっぱり来月まで待つしかないか…と思ったら、どこの誰だかは知らないが、

『私はとても剛毛で量も多く、でもパイ☆パンには踏み切れないけどきちんと処理はしたい。そんな時、知人に聞いた陰毛処理方がコレ、“線香処理”だったんです。線香で陰毛をジリジリと燃やすだけ!たったこれだけなんです!』

というブログ記事を発見。舐めるように見まわすと、

“線香処理だと毛がチクチクしないで量を調節でき、しかもお値段も線香代のみでいいのでとても助かる”

とのことであったので、ヤルしかない、とりあえず今はコレしかない、
と一縷の望みをかけて近所の100円ショップに走った。

棚には3~4種類の線香が陳列されており、
私はその中の“煙の少ない線香~花の香り~”をセレクト、
フローラルな香りに包まれて、
パンツにすっぽりと収まった陰毛ちゃんたちを想像しながら家路についた。

そして“ただいま”も言わず強引に線香の箱をブチ破ると、
まずはその1本に火をつけ陰部に当ててみた。

チリチリ…チリチリ…。

燃えている。
ささやかに、儚く、まるでホタルが囁いているが如く、
ほのかな熱をもって縮れてゆく陰毛。

チリチリ…チリチ…

ああ!ダメだよ!陰毛の量が多すぎて線香の火が消えちゃったじゃないか!

私はヤケクソになって線香箱からガバっと10本ほど線香をつかみ、
ボッ!と火を着けたかと思うと、
これでもかー!これでもおまえらは燃えんのかー!と、
自分で自分にケンカを売り強引に陰毛キャンプファイヤーを行った。

さっきより格段に縮れ度が増してゆく陰毛たち。
それに伴う煙の半端なさ。

くさい!マジでくさいよ!涙出てきちゃったじゃん!もう無理だよ!しかも熱いよ!

…結局私は負けたのだ。
いや、始めから勝とうとしていた事がおこがましいことだったのかもしれない。
毛は必要だから生えているのだ。
無駄な毛なんて1本もないのだ。

頭の毛は大切にするのに、なぜ下の毛は大切にしないのだ。
国連ももっと陰毛に対する伐採問題を議論すべきだ。

部屋中に立ちこめる線香臭から花の匂いなどはするはずもなく、
立ち上る煙にむせながら、変に縮れた陰毛を見下ろす。

「ご愁傷様です…」

そんな声が、遠くから聞こえたような気がした。

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