2015.12.03 新宿西口ロータリーで見たイチモツは忘れない

少し前、K子が彼氏と別れた。
当然だ。
アイツはロクなヤツじゃなかった。

急にK子の家に転がりこんできて(しかもガングロの子分付き)、
無職の間は家政婦のように働きK子に尽くし、
私が遊びに行ったら下ネタでこれを歓迎、
嗚呼子供たちには聞かせられないカンバセイション、
子分のM男もガングロ(それでも最近は白くなった)だけど実はイイヤツだった、
お互い性欲が湧かない唯一の存在として絶妙なポジショニングを確立していた、
思い返せばすごくロクなヤツだったじゃないか。

どうして別れてしまったんだい。
K子!いいのかK子!彼はもう定職(コンビニ勤務・29歳)についているんだよ!
家事だってあんなに上手だったじゃないか!
プレイラブだったのかい、そうだったのかいK子。
いや、あれはプレイ用の男ではない、向いてない。
でも・・・イイヤツだったよ。

分からない事があるんだね、二人以外には。
もう埋められない溝が出来てしまっていたんだね。
気が付かなかったよ。

あんなに“ついに私のサードアイが開眼した”と豪語していたのに、
全然見えてなかったよ、てか発言がイタいよ、どうしたんだよ私、
K子つっ込んでよ、たしか“謎のシックスセンス発動”みたいな事も言ってたよ私、
アイツもM男も笑ってたね、夏だったかな。

昨今の若者の発育事情や床事情、
巨根ウォッチや街角筋肉番付も一緒に出来ないんだね。
新宿西口ロータリーで見たイチモツは忘れないよ。
スーツがパンッパンだったよね、M男と思わず声をあげて追いかけたよね、
変態ストーカーズだったね、捕まんなくてよかった。

もうああやって4人で集まる事は多分、ないんだろうね。

何処にいても俺ら友達だよ、なんてドラマみたいな台詞は言えない。
気休めな事を言っても変わっていく関係だとみんな知っているから。
だからみんな、何も言わなかった。

K子の“うちら別れよ”で一家は離散となり、
K子の元彼は実家(千葉)へと帰り、
M男は彼女の元へと去り、
K子自身は、地元の岡山へと戻る事になった。

アイツらはいい、百歩譲って友達だったとしてもアイツらはいい、
けどK子が東京からいなくなる事は、
私に、胸がよじれるばかりの日々を要求し、
至る所が入り乱れ、
傷口にソーダを塗り込まれたらば1000メートルを猛ダッシュ、
先生がいいと言うまでトラックをぐるぐる、
前を走る彼女に手は、届かない、少しも、さわれない。

空港に見送りに行った。

K子『羽田めっちゃ遠くて萎える、すでに死亡』
やん「それよりもK子がいなくなることのが死亡」
K子『大丈夫だよ、LINEもあるし』
やん「あっちで何するの?」
K子『んー?決めてない。でも実家に住むし家賃要らないから、お金気にしないで好きな事して過ごす』
やん「そっか、楽しみ?」
K子『うん、けっこう楽しみ』

K子がK子だけの人生を楽しみながら歩んでいこうとする姿が、
心の真ん中の不鮮明な何かを洗い流してくれたような気がした。

K子『やんも好きな事しなね。やんなら出来るよ。何でも』
やん「うん!うん!そうだね!そうだよねああぁぁRIS@./,.@\p-riga#4・・・っっ」(大号泣
K子『お互い死なない程度に頑張ろう!』
やん「うん!死なない!」
K子『そう、死なない事!それ大事だから!』
やん「(大事MANブラザーズ熱唱)」
K子『(長渕の乾杯を熱唱)』

にわかFNS歌謡祭。
ステージで熱く抱擁する二人。

K子『次は(老人)ホームで会おうぜ!』
やん「おう!ホームで巨根をヒィヒィ言わせるぜ!」

千切れるくらい手を振った。
50年後どこかの老人ホームで、
また抱きしめあえる日がくると信じて。

【おわり】



『って、そんな元気ならホーム入る必要ないし、お前が実家(高知)に帰省する途中でウチ(岡山)寄ってけばいいって話だよね!なんか釣られて泣いちゃったけど、すっげー無駄泣きだったわwww』

私の臭い〆の言葉を両断するLINE。
ザッツライト!さすがK子!
やっぱYOUのこと・・・好きだZッ!

【おわり、なんてないよね二人には】

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