市岡泰さんの器
市岡さんの器は、根津にあるギャラリーLIBREさんで知った。
彼の作品は、茶色、黄色、白色の幾何学的な紋様が特徴的で、その愛らしさが、シンプルなギャラリー空間でとても魅力的に映った。
器を手に取ってみると、土の粗くてぽってりとした肌触りが感じられた。素朴で、プリミティブな世界に吸い込まれるようだった。
私が一番心を掴まれたのは、そのフォルムだ。奇をてらった形ではないのに、新鮮で、それは市岡さんにしか生み出せない形なのだ。…天才だと思った。
私は時が過ぎるのを忘れ、一つ一つの器をゆっくりと手に取っては、色々な角度から眺めた。
見れば見る程、良いものだと納得させられる、不思議な時間を過ごした。
現在、我が家では、市岡さんのポットも、カップも、お馴染みの存在。馴染み過ぎて空気のようである。
改めてこの器と出会った日のことを思い出していたら、惚れ直してしまった。
惚れぼれ、うっとり。
用の美って、こういうものかと、一緒に暮してきた時間も、ありがたく、しみじみと感じ入った。