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『語りえぬ言葉』大谷浩一作品展 2023.9.2-10.1

ギャラリー暮 展覧会記録
《展示作品》
「生の根源」(油絵)
「石倉真理さん」(油絵)
 石倉真理さんの詩

展覧会期間 2023.9.2 〜 10.1
於 上野桜木あたり カタテマ、ギャラリー暮

「生の根源」
大谷さんの根源といえる作品

「石倉真理さん 2023年制作」
共同アトリエに通っている、画家仲間の石倉真理さんの肖像画

《展覧会について》
(作者である大谷さんから絵について詳細の説明はなかった。以下は企画者である暮の見解として記録する。)
「生の根源」は、激しい色彩表現で、作者自らの生命エネルギー、あるいは業のようなものを描き出した作品に見える。
中央の大きな勾玉形状の塊は、いくつもの赤で描かれており、血や肉体、生きる時の熱量、怒りに近い激しい感情などが感じられる。
さらに周囲を浮遊するように、何かが散らばっている。複雑な深層心理を捉えているように見える。精魂を奮い大きな画面に生の根源を投影させた作品である。

そして、石倉真理さんの肖像画は、優しくおとなしそうな女性を青を基調に清々しく描き出した作品である。
今回、この絵の隣に石倉真理さんが書いた詩も展示した。肖像画の雰囲気とは対象的に、彼女の内面が辛辣に綴られた詩集であった。
そこには、彼女の内面の葛藤が、丁寧に、真摯に、言葉で紡ぎ出されており、生命の雫に触れるようであった。

そして、この2作品が"語りえぬ言葉"という言葉で繋がった。
日常では見ることがない、人それぞれが持っている深い精神の宇宙のような広がりを、観覧者の心が捉える。そらは心と心が、一瞬交信するような感覚であり、観覧者たちはその未知の体験に触れ、長い時間絵の前で立ち尽くしていたようであった。

言葉で表現できる領域を越えた先にあるもの、そこに触れる。
『語りえぬ言葉』は、絵画が持つ特性である、"人々が精神の共鳴を起こす可能性"を、体現する展覧会となった。

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