30代になるのが楽しみで仕方がない話
Chao!!
ハノイ在住、29歳女性。約1か月後に、30歳の誕生日がやってくる。
一般的に、特に女性は25歳を過ぎると誕生日が憂鬱になるものと世間では信じられていて、私もこれまでずっとそうだと信じてきた。
忘れもしない、まだ高校生だったときのこと。当時通っていた作曲スクールの中に、29歳の女性がいて、歌が上手で見た目も可愛らしい人だったが、そんな彼女がある日ポツンと呟いたのだ。
「どうしよう~あと半年後に、私30歳になっちゃう」
その口調から、なんとなく歳を取ることが憂鬱なんだろうな、と察した私は、
「ちあきさん、もうすぐ30歳になるようには全然見えませんよ。すごくお若く見えます。」
とその時思いついた限りの励ましの言葉を口にした(今振り返れば、16歳の高校生に何言われても響かないのだろうな、と思う)が、彼女は
「いや~見た目云々の問題じゃないのよね。谷中ロータスちゃんも私の歳になれば分かるわよ」
と溜息をついて、そんなセリフと悩ましげな表情が何だか「大人の女」っぽくて、当時高校生の私は「もうすぐ30歳になるってどんな気持ちなんだろう」と若干の憧れを含ませながら夢想したものだった。
時が経つのは早いもので、そんな高校生だった私が、もうじき彼女と同じ、30歳を迎えようとしている。
でも、不思議なくらい、当時のちあきさんのように「あぁもう30歳になっちゃう」みたいな憂鬱感がなく、むしろ「30代=大人の女性」のイメージに引っ張られて、「もうじき真に大人の女性になれるのだ」と未知なる自分へ憧れさえ感じてしまう 笑
あの頃抱いていた「30歳=大人の女性」のイメージと、今の自分との間にはやはりギャップもあって、イメージの中の「30歳の女性」は色んなことに寛容で、物事を冷静に受け止められて、精神的にも経済的にも自立していて、常にご機嫌だけれど、現実の自分は、イライラすることもあれば、泣くこともあり、誰かに甘えたくなることもある。
しかし、だ。過去の自分と比べれば、確実に今の自分は逞しくなっている。今思えば、なぜあんなにも繊細で、あんなにも物事を大げさに捉えていたんだろうと首をひねりたくなるような10代。年齢的には大人なのに、やはり色々なことを深刻に捉えすぎていた20代。
いや、もちろん今でも感情に振り回されたり傷ついたりすることはままあるけれど、10年前と比べたら各段に生きやすくなっている。そう、間違いなく、30代になろうとしている今が、これまでの人生で一番生きやすい。
それに10代、20代って、何だか目に見えないレールが敷かれていて、常に周りと足並み合わせなければいけないような感じがしていた。10代であれば進学とか。20代であれば就職とか。置いてきぼりを食らってはいけない、上を目指さなきゃ、ってどこか常に肩に力を入れて生きていた気がする。
それに加えて、特に10代、20代になりたての頃って、可能性が無限にある。無限にあるといえば聞こえがいいけれど、選択肢が多すぎると、逆に何を選んだらいいか分からなくて、自分のチョイスが正しいのか自信が持てずに、何だかいつも迷っていた。目指すものがまだよく分かっていないのに、可能性を潰してはいけないから、とにかく頑張らなきゃ、みたいな感じだった。
それが30代になろうとしている今、ふっと肩の力が抜けてリラックスできるようになった。「もっと自分らしく生きてもいいのかも」と、やっと思えるようになった。
もしかすると、男性の場合は逆に家族を持ってプレッシャーが出てきたりするのかもしれないけど。女性の場合、30代に近づくにつれて、キャリアを追求する友人もいれば、結婚して仕事を辞めたり、キャリアチェンジする友人もいて、何というのかこれまでの決まったレールがなくなって、よりライフスタイルが多様になっていく。
過去の自分と比べて心に余裕が出てきて、肩の力が抜けてきて、それぞれが異なるライフパスを歩み始める30代。そういえば、少し前に「アーユルヴェーダ」の講座を受けた際も、「身体的に大人になるのが16歳、精神的に大人になるのが30歳」と言っていたなぁ。
そう考えると、何だかもう、今から30代になるのが楽しみで仕方なくなってくるのだ。もっと今より自由に、生きやすくなった自分に、出会える気がするから。
こう心から思えるようになったのは、幸運にも魅力的な先輩女性方にたくさん出会えたことも大きいと思う。筆頭が、ノートでも度々登場いただいたヨガティーチャー・アヤコ先生。実年齢40代、見た目30代、そして永遠の少女のような可愛らしさを持つ先生を見ていると、つくづく「実年齢と若さって、必ずしもイコールではないんだな」と感じ入る。
(今日のハノイ。交通量が少なく快晴な日は、まるで西洋にトリップしたみたいな気分)
機会があったら、「30代になったらしたいこと」リストも作ってみたいな。パッと思い浮かべるだけでもたくさんありすぎて、書ききれないかもしれないけれど 笑
それでは今日はこの辺で。Chao~!