【10分・2人・声劇台本】涙が乾くまで

男1:女1

【演じる上で注意点】

注釈:以下は、読まないでください。
 () 描写(読まないでください)
 [] セリフ読み方
A 男性の名前を入れて読んでください
B 女性の名前を入れて読んでください

【あらすじ】

先輩に振られた女の子は、部屋で泣いていた。そこに高校からの男友達が部屋に押しかけてくる。

【台本】

男「やっほー!お邪魔するよー!!!」
(沈黙)
男「おいおいおいおい!いつまで泣いてんだよ」
女「[泣いている] うるさい、ノックして」
男「ノック?するか、ボケ」
女「ボケじゃないもん」
男「はいはい。で、何があった?」
女「…うん」
男「ん?」
女「うん」
男「いや、「うん」だけじゃわからないよ?」
女「だって…言いたくないもん」
男「言いたくないって、じゃー朝のLINEはなんだよ?」
女「知らない」
男「読んでやろうか?」
女「やだ」
男「えーっと
Aへ、早急にー」
女「[遮るように] まってまってまって!
いわないで…」
男「その手を下げろ」
女「なんで」
男「その枕、投げるだろ」
女「投げない」
男「嘘つけ、試してみるか
えっと、早急にー
うがっ!おい!…投げるなよ」
女「読まないで」
男「はいよ。それで、今日はまだ何も食ってないの?」
女「うん」
男「下でおばさんから何かもらってくるよ」
女「いらない」

(Aは1階に行き、Bの母親から茶菓子を貰ってきた)
男「おばさーん!砂糖、おぼんの上にあったー![1階に向けて]
(少し沈黙)
入るぞー。ほら、好きなクッキーと紅茶持ってきた」
女「ありがと」
男「ベッドの隅から降りてこないと、紅茶届かないよ」
女「取って」
男「いや、ベッドにこぼすよ?」
女「こぼさないから、とって」
男「まぁ失恋記念だ。ベッドにシミがついても面白いか」
女「こぼさない」
男「ほらよ」
女「ありがと」
男「それで、なにがあったかは教えてくれるの?」
女「うん…好きだった先輩、彼女いたらしい」
男「……あーやっぱりね」
女「やっぱり?」
男「あの人、前にも言ったけど、あんまりいい噂聞かないからさ」
女「でも、かっこいいもん」
男「でも服ださくね?」
女「ださくない。おしゃれがわからないんだよ、Aには」
男「はぁ?なわけねーだろ
俺はおしゃれできるけど、
[五輪のおもてなし風に]し・な・い・だ・け。しないだけ~」4
女「[くすっと笑う] 言い訳」
男「はいはい。でも、デートしてなかった?」
女「うん、手も繋いで、キスもした」
男「おーおー、やってんなぁ」
女「にやにやしないで」
男「してないわ!」
女「してたもん」
男「てか、なんで彼女いるってわかったの?」
女「なんか昨日映画見に行って、ごはん屋さん行く途中に、女の人が水かけてきた」
男「だーいぶ、修羅場だな。まぁそれが彼女だったと?」
女「…うん、そしたら先輩が私の事指さして、「こいつは浮気相手でー遊びだからー」って…[泣きそうになる] あぁもうやだぁ~」
男「あっちゃー!それはアウトだな」
女「…(鼻をすする音)」
男「まぁ泣くなって、最悪の事態は避けれたじゃん?」
女「最悪の事態?」
男「ん?ほらー、もしBが先輩と付き合っても、多分浮気が確定演出って感じじゃん?」
女「そんなことないもん」
男「はいはい、言ってろ言ってろ」
女「てかさ、Aは恋愛してないの」
男「んー?し・て・た、が正解かな」
女「え、知らない。なんで過去形なの?」
男「まぁ俺も恋してただけ」
女「なんで言ってくれないの?」
男「いや、Bが恋愛してるから黙ってた。周り見えなくなるじゃん」
女「教えてよ、誰その人」
男「えー、なんでよ」
女「私、失恋したんだから、いいじゃん」
男「んーまぁ、なんていうのかな。俺も失恋したんだよね」

女「え、いつ?」
男「今日の朝」
女「え!直近すぎるでしょ。私の知ってる人?」
男「うん」
女「だ、だ、誰か…聞いてもいいの?」
男「うーん、聞いたところで、どうするの?」
女「私の事、ここまで聞いたんだから教えてよ!」
男「はいはい。今日の朝、ある人からLINEが来まして」
女「うん」
男「その人、好きな先輩に振られたんだよね」
女「え…それって…その…私、じゃないよね?」
男「ボケ、これで違ったら奇跡すぎるだろ」
女「知らなかった」
男「そりゃそーだ。俺、Bが好きだって言ってないからね」
女「ごめん。気づけなかった」
男「別に俺じゃないなって、知ってたからね」
女「でも…その」
男「いいよ。何も言うなって…
それよりさ!」
女「ん?」
男「バイク、乗らない?」
女「なんで?」
男「あれ?俺が二輪の免許取ったの知らない?」
女「うん、聞いたことない」
男「えー?言ったと思うけどなー?」
女「ごめん」
男「いいよ別に、昔から依存癖イゾングセあったろ。
いつも恋愛になると、周りが見えなくなるんだから」
女「ごめん」
男「あーもう!いいから、いいから
とりあえず、下で待ってるから。降りてこいよ」
女「うん。着替えたら行く」
男「じゃ」

(沈黙)

女「おかーさーん!行ってくるー!」
男「いくぞー!元気になったっぽいじゃん」
女「うん!もう、前向く…(Aの肩にノックしながら言う) コンコンコン」
男「ん?なんだよ、肩たたいて」
女「[少し笑って]ノック、仕方わかった?」
男「そゆことか。じゃー、入っちゃだめー」
女「えー?、とか言って、嬉しいでしょ?」
男「うるせ、ほら、メット被れよ」
女「なにこれ、重っ。待ってね」

男「そうそう、シールドは開けたままでいいよ
声聞こえてる?」
女「うん。この透明なのは下すの?」
男「いいよ。開けたままで
めっちゃドライアイになるけどね」
女「え、やだ」
男「その涙乾かさないとだからいいんだよ」
女「そっちこそ、少し目赤いの知ってたんだからね」
男「うるさい。いいから乗れよ。」
女「うん。ねぇ、A?」
男「ん?」
女「そばにいてくれて、ありがとね。」
男「はいはい。バイクかっ飛ばすぞ!涙が乾くまで!」


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