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串カツ2本と脳MRI。相談業務を考える。
【雑談以上相談未満 困ってなくても相談できる】フリーの社会福祉士(2001年開業)柳田明子です。
今日は「串カツ2本」と「私の脳のMRI結果」から相談業務を考えます。
私はこれまでに脳のMRI検査を2回受けています。
1度目は数年前のこと。当時の私は身の回りにさまざまなことが起こり、精神的に疲弊していました。専門家のカウンセリングを継続して受けていたのですが、いよいよ社会生活に支障がでるほどいろんなことが出来なくなり、念のためにと脳のMRI検査を受けたのです。
結果は異状なし。私のさまざまな症状はストレスによるものと診断されました(今はこのとおり元気です♪)
2度目は今年に入ってからです。腕のしびれが気になったからなのですが、やはり脳に異常はなく、「美しい脳」と褒められました。
(腕のしびれは別に原因があり、今は解決しています)
そんな脳みその私、MRI検査からそれほど日は経過していない今年のある日、ひとりで串カツ屋さんに入りました。
ちょいと小粋な串カツ屋さんで、私はカウンター席へ。
料理人さんというのかマスターというのか分かりませんが、雰囲気的には「大将」っぽい人(以下、大将)が揚げたての串カツを2本ずつ出して説明してくれます。おまかせコースです。
目の前に2本の串カツが並べられました。
大将:「これは鶏つくねをナンヤラで巻いてさらにコーシテアーシタもので、一番左の○○ソースでどうぞ」(ソースは5種類ありました)
私:「はーい」(おいしそう!)
2本目の説明に入ります。
大将:「これはエビをコーデアーデして、コンナフウにしたものです。真ん中のソースが合います」
私:「はーい」(おいしそう!)
・・・・・
私:(あれ?1本目、なんだったっけ?)
串カツは衣に包まれてるから見ただけでは分からないんですよね。
2本目の説明を聞いているうちに1本目のこと、忘れてしまいました。
私:「すみません、1本目、なんでしたっけ?」
大将:「つくねの…(以下省略)」
私:「あ、そうでした、そうでした」
・・・・・
私:(あれ?2本目、なんだっけ?)
・・・串カツ無限なんだっけループ。さすがに何度も尋ねることもはばかられ、次の串カツ2本からはメモをとった私です。
さて。
2本目の説明を聞いているうちに1本目のことを忘れるなんて、いくらなんでもその程度の情報を覚えてられないとは、五十路の柳田の脳の短期記憶領域に何か問題があるんじゃないの?と思われますよね?
いやしかし。
先述したとおり、私の脳はMRI画像で器質的には「美しい」と褒められるくらい何の問題もないんです。
そして今の私は精神的に疲弊もしていない。
社会生活もいちおうスムーズに送ることができている。
つまり、私の短期記憶にことさらの異常はなさそう。
これが年相応なのだとすれば。
50代以上の人間の、これが短期記憶の標準装備なのだとすれば。
ご相談に来られる50代以上の方々も同じだとすれば。
さらにいうなら、ご相談に来られる方々は苦しい状況にあって、私の1回目のMRI検査の時のようにストレスで理解力が低下しているかも知れないならば。
相談者は…
受け取ったたくさんの情報をとうてい頭の中に留め置くことはできない
…ですね。
私たち(社会福祉士)がお伝えする情報は串カツ2本どころの話ではありません。手続きや制度や窓口などふだん聞きなれない言葉のオンパレード。
相談者の、それを収める脳のキャパはなおさら極めて小さく、すぐにオーバーしてしまうでしょう。
ですが、つい私たちは、あれもこれもと情報をてんこ盛りで渡して、それで仕事をしたつもりになりがちです。
私は日ごろから、相談業務について基本的には【1回の相談でお伝えする情報は1コ(まずはコレ!)】と意識しながら厳選してお伝えしているのですが、その方針で間違いないと、覚えられない串カツ2本を前にして再認識したのでした(もちろん基本的には、です。複数の情報をお伝えすることもありますが、その場合は整理して分かりやすくお渡しすることを心掛けています)。
相談業務は私たち(社会福祉士)のアウトプットの場ではないですからね。
本日は以上です。
今日も気持ちの良い一日を!
柳田明子社会福祉士事務所〰聴く・伝える・ともに考える〰(2001年開業)
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