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社会福祉士の専門性を数値化したい。難しさと必要性。
今日は、社会福祉士の専門性を数値化したい理由と、だけどそれが難しいのはなぜかを書きます。
社会福祉士の可能性を探求し、社会福祉士自身が元気であることを望み、世の人々の心が軽くなり、そして私の収入もアップすることを考え続けて23年、フリーの社会福祉士(2001年開業)柳田明子です。
下記記事で、
①社会福祉士の専門性の数値化の難しさ(でも必要!)
②社会福祉士が自身の専門性に気づく時(これ重要!)
の2点をまとめたいと書きました。
今日はその①です。
私は、社会福祉士の専門性を数値化したいと強く願っています。
その理由は、社会の中で社会福祉士が果たしている役割の重要性を分かってもらいたいからです。
誰に分かってもらいたかというと、
国や法人、組織の上層部の方々、
端的に言うと、
社会福祉士の報酬額(給与・加算)を決める立場にある方々
に分かってもらいたいのです。
なぜかというと、社会福祉士の報酬額(給与)が他の専門職に比べて低い現実があり、そのことが理由で社会福祉士が辞めていくのなら、その組織におけるソーシャルワークの経験値が積みあがらず、すなわち日本のソーシャルワークが衰退し、日本の将来にマイナスの影響を及ぼすから、と考えるからです。
報酬額をあげるには根拠が求められます。そのためには数値化が必要。
「社会福祉士がこのように関わった結果、笑顔がこんなに増えました」的なエピソードではなく、数値が意味を持ちます。
だけど、それが難しい。
なぜ数値化が難しいかというと、
①原因と結果が明確ではない
②未然に防いでることの証明ができない
③評価のゴールを定めにくい
というソーシャルワークならではの理由があるからだと考えました。
それぞれ説明します。
①原因と結果が明確ではない
歯科を例に出してみますと、【虫歯が治った】という結果は【歯科医の治療や指導によるもの】とその因果関係は明白です。
ですが【Aさんの生活状況が改善した】(ざっくりしてますが便宜上こう表現します)という結果は【社会福祉士が関わったから】とは言い切れないです。
それがソーシャルワークであるかぎり。
社会福祉士はソーシャルワークを展開しますから、Aさんにいろんな社会資源をつなぎます。
【Aさんの生活状況が改善した】として、それがそこに至る過程で社会資源Bとか知人Cが大きな影響を及ぼした結果だとしたら、その【改善した】という結果に社会福祉士の関わり(きっかけ)がどれほどのパーセンテージで影響したのかを分析したり、評価することは困難です。
②未然に防いでいることの証明ができない
日本全国を見渡せば、社会福祉士がその専門性を発揮して丁寧に関わっているからこそ重大な事態(虐待や心中など)を「防いでいる」場面はたくさんあると思います。
マスコミで報道されるのは「防げなかった」ケースです(もちろんそれは報道されてしかるべきですし、その結果は真摯に受け止めて同じことを繰り返さないようにしないといけませんが)。
その逆は報道されません。つまり、
社会福祉士がこんな関わりをしたからこそ虐待を防ぐことができた!
というのはニュースになりません。
だって、そんなこと、誰にも証明できませんから。
また歯科で例えてみますけれど【まだ虫歯になっていないうちから歯科検診を定期的に受診している群】と【歯科検診なんて受けてない群】を比較すれば、前者がどれくらい虫歯罹患率を低下させることに有効かを数値で示すことができるでしょう。
だけど【社会福祉士が関わった群】と【関わらなかった群】を比較して、前者がどれくらい虐待を回避させることができたか、を調査研究することなんておそらく不可能。その調査対象をどうピックアップするのかからして現実的ではありません。「防いだ」と結論づけるということは「虐待という未来があった(けれどもそうならなかった)」と想定するということ。その想定を科学的に証明するのは極めて困難です。
パラレルワールド(映画でよくありそうな設定)で社会福祉士が関わった場合とそうではない場合を見てみる、なんていう絵空事でしか証明のしようがないとさえ思います。
③評価のゴールを定めにくい
また歯科で例えますが、歯科の場合は「痛みがなくなって、しっかり食事がとれるような口内になる」というふうに着地すべきゴールが明確です。あるいは虫歯の本数などでもゴールを設定できるでしょう。そしてそれは集計したり、データ化できます。
ですがソーシャルワークは目指すゴールが人それぞれですし、しかもそれはその人の価値観によりますし、時の経過とともに変化もしていきます。
ゆえに何をもってゴールとするのか、何を基準にどうカウントするのかを決めることができません。
数値化してデータにすることは困難です。
以上をまとめますと…
社会福祉士の専門性であるソーシャルワークの特徴こそがソーシャルワークの数値化を阻んでいるというジレンマと矛盾
なんですよね…。
なんとかならないかなと思うけど、私、研究者じゃないし、これ以上はもう考えられないです…。
私たち(現場の社会福祉士)はせっせとバッターボックスで打球を打ちまくるから、どれがどんなヒットにつながったかをスコアづけして分析してくれる人、いないかなぁ…
社会福祉士の専門性が評価されないことの危機感は募るばかり。
数値化して客観的に表したいと思うけど、それが難しいところが社会福祉士の専門性なんだという堂々めぐりの、さいごはちょっと他力本願な締めくくりとなりました。
本日は以上です。
今日も気持ちの良い一日を!
柳田明子社会福祉士事務所〰聴く・伝える・ともに考える〰(2001年開業)
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