人が辞めずに仕事を続けやすい職場はどうやったら作れるのか?を知りたい
「男性育休義務化」がはじまる
今年(2022年)4月から、「男性育休義務化」となります。この言葉だけ聞くと、「子どもが生まれた年代の男性は必ず育休を取らねばならない」というふうにも聞こえますが、「雇用主である企業が育休制度の周知をしたり本人に意向を確認したりしないといけない」「大企業における育休取得率の公表が義務化される」など、「育休促進の義務化」の色合いが強い制度になります。
「男性育休義務化」に関する法律や制度の全体像や解説などはほかの記事に譲ることにします。「男性育休義務化」で検索するとかなり多くの記事がヒットしますので、ご興味のある方はそちらをご覧ください。
ある記事についた多様なコメント
昨年(2021年)の夏ごろにこの「男性育休義務化」に関する記事が、Yahoo!ニュースに載りました。Yahoo!ニュースの楽しみ方は、記事そのものを読むこと以上に、読者からのコメントを読むことだと思います。「男性育休義務化」の記事にも実に多様な意見が挙がっていました。
・男性の育休が推進されることを歓迎する女性の声
・男性の育休が推進されることに反対する女性の声(「夫がかつて育休を取ったがまったく役に立たず迷惑だったので、男は働いてお金を持ってきてくれさえすればいい」というような主旨の意見)
・男性の育休が推進されることを歓迎する男性経験者の声
・非当事者の声(「育休が推進されて家族揃って子育てができるように環境が整っていくことは歓迎だが、それによって仕事のしわ寄せを食らうのはいつも自分たち単身者。そのことについてももっと丁寧に議論してほしい」というような主旨の意見)
など、どれもこれもよく分かるし、最もな意見だと思う内容ばかりでした。
産休・育休の取りやすさを、子どものいない人が支えているとしたら、それは違うのではないかと思った
こういった話題に対して、様々な立場の人が様々なことを感じるのは当然のことだと思うし、議論が活発になることも当然だと思います。
私自身が感じたことを書いてみたいと思います。
まずは、上記にもある非当事者の方の「育休が推進されて家族揃って子育てができるように環境が整っていくことは歓迎だが、それによって仕事のしわ寄せを食らうのはいつも自分たち単身者。そのことについてももっと丁寧に議論してほしい」という趣旨の意見に対する共感です。
産休・育休の議論のなかでは、産休・育休を取る当事者にとっての取りやすさに焦点が当たりがちです(それは当然に大切なことです)。それと表裏なのは残って仕事をする人たちのこと。残る人にも自分の生活はあるのだ、という視点を忘れてはいけないと思うのです。
私は性の健康(※下記参照)を推進しており、選択の重要性ということをいつも考えています。その選択の中には「子どもを持つか持たないか」も含みます。つまり、子どもを持たない選択もアリだと思っています。
そう考えた時に、産休・育休の取りやすさの結果、残る人(主に、フットワークのいい単身者や子どものいない人)にしわ寄せがいくことを当然のように扱ってしまうことは、「子どもを持たない選択は子どもを持つ選択より軽く扱っていいものだ」という無言の意思表示になるのではないか、その背後に(無意識的にでも)「あなたたちもいずれは子どもを持った時に同じことをやってもらうんだから、今は我慢して」という思想が隠れているとしたら、それは子どもを持たないという選択自体を否定していることになるのではないか、と感じられるのです。
というところまで考えた時に、でもこれは産休・育休の話、子どもを持つか持たないかの話に限定されるものではなく、どういう事情・状況があっても、働く人がどれだけ働きやすいかを追求すれば解決する可能性のある話だと思ったのです。働く人が働きやすい環境や、その環境を実現するための制度はどうやったら作れるんだろう?と思いました。
自分もいずれ制度を作る側としての当事者になる可能性があるから、今から学びたい
私は昨年(2021年)から「性の健康イニシアティブ」という組織を主宰しています。2009年から行ってきた「若者世代にリプロヘルスサービスを届ける会Link-R」という活動を改め、事業内容などを一新してスタートしました。
日本ではまだなじみの薄い「性科学」や「性の健康」を推進し、ミッションである「どこに行っても性の健康を享受できるように社会環境をアップデートする」を実現しようと思っています。
そのために様々な事業を行っていますが、ひとりでやるのは難しいです。志を同じくする優秀な人たちと組織だって動いていきたいと思っています。つまり、将来的には組織を作りたいし、組織を作れば多かれ少なかれ上記のような「働きやすい組織」を作る必要が出てきます。それは制度という形に落とし込むことで実現できるものかもしれないし、風土や文化のような無形のものを実現していくことでたどりつけるものなのかもしれません。
ただひとつ確かなことは「働きやすさは勝手には出来上がらない」ということです。だから今のうちから何をどう考え、何をしないといけないのかを知りたい、ヒントをつかみたいと思いました。
というわけでイベントを企画しちゃいました
なので、イベントを企画してみちゃいました。
働きやすい職場作りを実践しているスタートアップの人事責任者の方と、キャリアコンサルタントの方をゲストスピーカーにお招きしたイベントです。
イベントの詳細・申込⇒こちら
働きやすさは仕事の続けやすさ(持続可能性)につながると考えており、どうしたらそういう職場を作れるのかを知りたいという自分の欲求があり、そういった実践を既にしている人や、専門家としての知見を持っている人にお話を聞きたいと思ったのです。もしかするとそういう話は、自分以外にも興味があって聞いてみたい人がいるかもしれないとも思いました。そこで、ひとりでこっそり話を聞きにいくのではなく、イベントの形にして参加者のみなさんと一緒に聞こうと思い立って、イベント化してみました。
私は性の健康を推進する事業をしています。性の健康というのは、「生涯にわたる性的な事柄全般においての幸福・良好な状態」のことです。何が幸福・良好なのかは人によって異なります。だから、「自分が何を幸福・良好だと思うか」を自ら理解して、(その状態を得られるように)「自ら選ぶ(自己決定)」ことが大事です。そして「自ら選ぶ(自己決定)」ためには、選べる環境が必要です。職場もまた環境で、そのなかで働きやすさを選ぶことができるかどうかが大事だなと思います。
そういった意味では、今回テーマとなっている「働きやすさ」や「続けやすさ(持続可能性)のあるのある職場の環境づくり」は、私が自分の専門領域として推進している「性の健康」とも一定の親和性のある話題でもあると感じています。
働きやすさや働きやすい環境について考えてきたイベントは今までもありました。でも、性の健康のエッセンスを採り入れた視点から考えてきたイベントはなかったかもしれません。今回はそういう視点も採り入れた質問をゲストスピーカーのおふたりに聞いてみるようなイベントを開催してみたいと思います。
イベントの詳細・申込⇒こちら