第12回世界性の健康デー
やなぎー@性の健康イニシアティブ代表、です。
性の健康イニシアティブとして、研修事業やイベント事業などやっているわけですが、毎年9月に事務局を担いつつ開催しているのが「世界性の健康デー 東京大会」です。2012年に初めて運営に参加して以来、ここまで続けてきました。
毎年9月4日は「世界性の健康デー」
2010年に「世界性の健康デー」が初めて提唱されて、今年(2021年)で12年目。
「世界性の健康デー」を提唱したのは、性の分野の世界最大の国際研究者組織WAS(読み方:ワス)。正式名称をWorld Association for Sexual Health(性の健康世界学会)といいます。
毎年WASから世界共通テーマが発表されます。
★毎年の世界共通テーマの一覧 ⇒ https://wshd.jp/history
そのテーマに沿って、世界中のWAS会員が9月4日前後に記念イベントを開催しています。一例として「メッセージカードと一緒にセルフィ―を撮ろう」というストリートキャンペーンをやった都市があったり、日本でいう公民館みたいなところを借りてスピーチコンテストをやって盛り上がった都市があったりと、様々です。
東京も第1回(2010年)からずっと参加していて、会場を借りてトークセッションやシンポジウムなどをやってきました。
2021年のテーマは・・・
2021年の世界共通テーマは「sexual health in a digital world/ネット時代の性の健康」
2020年から始まったコロナ禍で、テレワークの普及含め、世界中のデジタル使用が一気に加速しました。それは性の健康(Sexual Health)に関する事柄も多少なりともそうであるはずで、そのことについて考えてみたいというテーマです。
そのテーマのもと、9月5日(日)に東京大会を企画していて、2つのトークセッションを予定しています。
詳しくは ⇒ https://wshd.jp/in2021
<トークセッション1> インターネットと性の健康~安全とプレジャーを両立する~
ネットにはもともと、リアルの人間関係を補完するという側面があるはずですが、「性×ネット」というとリスクや危険に関する話が連想されやすくなります。触れ合うこと自体が感染リスクになるコロナ禍において、ネットがあったことで人とのつながりを切らさずに済んだ事例はたくさんあるはずです。
そうしたネットのポジティブな面にもっともっと焦点を当てて、「性×ネット」のリスクや危険性というネガティブな側面ではなく、ポジティブな側面をどう最大化するかを考えるセッションにしたいです。
登壇者の先生方がそれぞれに具体的な事例をお持ちなので、それらを紹介してもらいながら、じっくりと話の化学反応を楽しみたいです。聞いた人が「へー!」って思うような、現場の最前線の解像度の高い情報も出て来るかもしれません。危険を排してポジティブな面を最大限享受するにはどうすればいいのかということを、3名の専門家のみなさんと語っていく予定です。
<トークセッション2> 性教育へのICT活用 これからの可能性を探る
性教育がブームになっています。古式にのっとったアナログなやり方だけでなく、様々な新しい手法、デジタルなものを活用した活動の事例も増えています。まだまだICT化することのできる事例はあるだろうと思う一方で、ICT化することが最適解なのかという疑問も忘れてはいけないと考えています。そんなことを、3名の登壇者の方々とともに語ってみたいと思います。
主催者の独り言
トークセッション1に出てくるプレジャーという言葉。これは、2019年にWASが採択した新しい国際文書「セクシュアル・プレジャー宣言」をイメージしてます。
セクシュアル・プレジャーは「性的な喜び」「性的な快楽」などのことです。性の健康を推進するためには快楽が重要な役割を果たすと考えられるようになってきています。
トークセッション2に関しては、(ネタバレっぽくなりますが)私がいつも思っていることは「人の問題を人以外が解決できるのか」ということ。デジタルを活用した施策がはまる場面はたくさんありますが、デジタルに置き換えの効かない人の力の活きる場面も数多くあるはずです。そういう場面についても真っ向から取り上げられたらいいですね。
世界性の健康デーの今後
今年6月にすっごいニュースが飛び込んできたんです。
ヨーロッパの国・ポルトガルが、なんと、「性の健康デー」を国としての記念日にしたというのです。ポルトガルはこれで、国を挙げて性の健康を重要なものと認識した世界で最初の国家になりました。
詳しくは
⇒ ポルトガル:世界で初めて、「性の健康」を国としての記念日にした国
毎年12月1日は「世界エイズデー」ですが、これは国連が公式に認定している国際デーです。
「世界性の健康デー」を提唱しているWASはもともと、それと同じように、9月4日を「世界性の健康デー」として国連に公式に認定してもらうことを目標に活動しています。
ポルトガルの一件があって、この動きはますます加速すると思うのですが、日本でも9月4日を「性の健康デー」という日にする動きがあっていいと思いますし、性の健康イニシアティブはそこに向けた活動にも取り組んでいきたいと考えています。また、都道府県単位や市区町村単位で「性の健康デー」が記念日として認定される未来もあってもいいですよね。
性の健康イニシアティブは「性の健康基本法」という法律を作れないかと妄想してもいます。性の健康という考え方をあらゆる法律の中に入れていくことができれば、もっともっと生きやすい社会になるのに、という気持ちでいっぱいです。
世界性の健康デー東京大会を続けることが、そんなことに一役買えたらいいですね。