「私もOK、あなたもOK」を意識するとけっこう色々な問題が収まっていく
昨年(2022年)末から「私もOK、あなたもOK」プロジェクトという名前で、人間関係について考えるプロジェクトを進めています。
この「私もOK、あなたもOK」は新しい考え方ではなく、アサーションの考え方です。
この言葉、ポイントは「あなたもOK、私もOK」という順番ではなく、「私もOK、あなたもOK」(つまり、私が先)というところです。
「自分のことを大事にしてほしかったら、まず他人を大事にしなさい」など、自分のことよりも他人のことを先に考えることが良好な人間関係の秘訣であるという発信を時々見ることがあります。
人間心理の働きとして、自分に良くしてもらった相手に良いことを返すという返報性の法則はありますが、尊厳や権利の文脈ではこの考え方は適切ではありません。「自分の尊厳や権利は後回しにしてでも相手を立てなさい」というメッセージに通じてしまうからです。
健康的な人間関係とは対等な人間関係のことで、それは「私もOK、あなたもOK」な関係性のことです。「あなたはそれでいい(OK)かもしれないけど、私はOKじゃないので」や「私はこれでOKなんだけど、あなたはOKとは言えない感じだよね…」というような、どちらかがOKではない関係性は、どちらかが我慢を強いられている関係性です。
我慢には限界があるので、どこかのタイミングで爆発すると、すべてが吹き飛んでしまいます。我慢の中に「自分は大事にされていない」「自分の尊厳が尊重されていない」といった感覚が含まれていればなおさらです。
そうではなく、「お互いに、これならOK」となる時に、良い関係性ができるのだと思います。
「私もOK、あなたもOK」は、シンプルなのに意識するだけで他者との関係性が良くなります。でも、いつもこの状態でいられるとは限らないのも人間です。「私もOK、あなたもOK」でいられない時に自分や相手を責めず、そういうこともあるよね、と捉えられるゆとり(寛容さ)も持っておきたいところ。
また、「私もOK、あなたもOK」を別の角度で見ると、「自分に害がなければ、相手が何でも(何をしても、何を好きでも、どんな在り方の人でも)いいよね」という考え方につながっていき、これはまさに多様性の話なのですが、それはまた別の機会に書きたいと思います。
自分の生まれついた在り方が生きづらさの理由になるのではなく、誰もが「自分は自分に生まれてよかった」と思える世界をビジョン(実現したい世界像)に掲げる「性の健康イニシアティブ」の立ち上げ人/代表です。ビジョンに共感してくださる方はリアクションお願いします。