「それって性教育なんですか?」ーはい、そうです
数学教育という教育活動の背後には数学という科学的知見がある。数学科という教育活動を通じてその知見を伝えている。
ならば性教育という教育活動においても「性科学」という科学的知見を背景にきちんと持って、それを伝えるという構造があったほうがいいのではないかと思っています。日本ではここ数年性教育が盛り上がりを見せていますが、性科学がいまひとつ盛り上がらないです。
また、性科学に基づく性教育が施された結果として、性の健康や性の権利といったものが、伝播・継承・拡散されるといいのではないかと最近は思っています。
私は「人間関係の学問」と言われる社会学がバックグラウンドなので、メディカルな話は深くは分からないし興味もそこまでありません。どちらかというと人と人の関係性の中で生まれる相互作用の話とかが好きで、
そういう側面から性の話も絡めて性教育っぽいことを話したりしてきました(そして「それって性教育なんですか??」ってよく言われてきました)。
過去に5年ほど夫婦のコミュニケーションをテーマにした両親学級の講座をやって延べ1000組以上の周産期の夫婦と「夫婦のコミュニケーション」について一緒に考えてきたという経歴があるのですが、これもまさに、「それって性教育なんですか??」と言われていたことのひとつです。
夫婦のコミュニケーションがどのようなものであるかは、夫婦にとっても、その家庭に生まれてくる子どもの一生にとっても、非常に大事なことで、私から見れば性教育の重要テーマです。日本では性教育というと避妊や妊娠、性感染症予防など、メディカル寄りの話題がイメージされやすいので、人間関係とかコミュニケーションといったテーマを持ち出すと、「それって性教育なんですか??」って言われやすいんですけどね。
社会科学的な視点からの性の話というものをこれからも語っていきたいし、いわゆる性の話に留まらない人間関係の悩みにも光を灯せるような話を変わらずに続けていけたらいいなと思っています。