平日昼下がりのカフェで
平日昼下がりのカフェ。まったりした時間。色んな人がいて色んな感情が渦巻いている。「ナースとマッチして、LINE交換してさ・・」「バニラアイスにウイスキーを入れると美味しいよ」
若い男の会話。情報が交わる。津山で車が合流するのと同じだ。友人にそう伝えると「ヒトの話に聞き耳立てるなよ」と言われた。確かに。
平日昼下がりのカフェに絶望的な話は存在しない。マッチングアプリで会ったナースがハズレだった話はあっても、家の貯金をパチンコで使い込んで借金をしたあげく、それでもパチンコをやめられない話は存在しない。まったりしてこそ平日昼下がりのカフェだ。
のちにそれは思い込みにだったと知らされる。今、目の前にいる30代前半の女性がパチンコ依存症だと打ち明けている。小柄で可愛らしく、清潔感のある女性が。旦那さんは家にお金がないことも借金があることも知らないらしい。カフェの空気が重たい。
「病気だから病院へ行った方がいい」「自覚がないと同じことを繰り返すことになると思う」「仕事は紹介してあげられるから」「逃げないことが大切だと思う」
そう伝えると「そうね。」と言った。悲しそうだった。
別の日、ハズレ・ナースを引いた大学生がまたいた。常連らしい。「この前人妻抱いてさ。最高だったよ」「いいなぁ」
学校に行けよ。と思ったらリモート授業らしい。「パチンコやめられないらしいぜ」「それで不倫に走るってやばくない?」
カフェは相変わらずのほほんとした雰囲気だ。そういえばパチンコ依存の女性と話したのは日曜日だった。カフェはやっぱり平日昼下がりじゃないとね。