【中国動向観察】中国とイランが25年間の戦略的協力協定締結:「雪中送炭」の協力
イラン国営テレビ局によると、同国と中国は27日、25年の戦略協力協定に署名した。協定は石油の採掘からイランの工業推進など各種の活動や農業、運輸分野の協力などで、中国メディアによると協定は4000億ドル相当の内容とのことだ。
中国にとっては米国でバイデン政権が誕生してからアメリカをより良い方向に導くとか、より良い明日とかいいながら、中国などに狙いを定め、ロシアを脅威とみなし、イランは米国の中東における大きな障害であり、イランも同時に反米の急先鋒となっており、イランの人々にとって米国は憎しみの対象となっていたというわけだ。イランが中国と戦略的文書に署名をしたということは、両国関係がさらに一歩格上げされたということのようであり、中国メディアはイランにとっての「寒い中に炭火用の炭を送ってくれる『雪中送炭』」行為だと評した。王毅外相がイランを訪問したのは両国の国交50周年を記念する意味もあったわけだが、さらに四半世紀の戦略的な協力関係を謳ったわけだ。
これに対してアメリカは、中国とイランがこうした協力関係を通じた接近に危機感を抱いていると中国は意気揚々だ。バイデン大統領は28日に中国とイランによる協定について「ずっと心配してきた」と答えている。
このような中国とイランの協力協定はイランの国内で必ずしも歓迎されているわけではないようだ。イランの戦略的輸出品である石油が中国に不当に安い値段で供与されるのではないかとの懸念が強まっているのだ。イランは一時期ロシアからS−300防空ミサイルを導入しようとして、米国の強い反対に遭ったために中国のHQ-9ミサイルの技術を導入したいと考えたことがあった。この際にどうやら石油とミサイル技術をバーター取引したのではないかとされているが、こうした中国との取引でイラン側は不当に安値で石油を渡しているとの疑いが強く、今回もそうした疑念が強まっているというわけだ。イランは兵器装備の自力での開発を強く望んでいるようだが、中国の技術が欠かせないということらしい。
今回の協定における軍事分野の協力は不明であるが、中国が自身の有力カードをいかんなく発揮したであろうことは想像に難くない。米国との対立が強まれば強まるほど中国は米国に配慮する必要を感じなくなりつつあるし、それどころか反米的措置をとることさえも別に不思議ではないのだ(988字)。
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