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キアスム [chiasme] プログラムノート・訳詞・出演者紹介

本日はキアスム [chiasme]にご来場くださり、誠にありがとうございます。最後までどうぞお楽しみください。また終演後はぜひアンケート記入にご協力いただけますと幸いです。

プログラム紹介・訳詞

前半─「唱い交わし」

渡辺研一郎演奏によるValentin Silvestrovのピアノ作品と、gemma、in high gleeによるアカペラ合唱作品が、交互に、継ぎ目なしに演奏されます。時間と空間に横たわる響きの世界をお楽しみ下さい。なお、曲間での拍手はご遠慮いただきますようお願い申し上げます。(柳嶋)

Valentin Silvestrov: Der Bote - 1996
渡辺研一郎(ピアノ)

Pekka Kostiainen: Regina angelorum
gemma(合唱)
柳嶋耕太(指揮)

Valentin Silvestrov: 3 Bagatellen op. 1-1 Allegretto
渡辺研一郎(ピアノ)

Sven-David Sandström: Tre Stycken för Manskör
I. Kyrie
II. …Och Åter Tomhet
III. Agnus Dei

in high glee(合唱)
柳嶋耕太(指揮)

Valentin Silvestrov: Hymne - 2001
渡辺研一郎(ピアノ)

Olivier Messiaen: O sacrum convivium!
gemma(合唱)
in high glee(合唱)
南方隼紀(指揮)

訳詞

Pekka Kostiainen: Regina angelorum
天使たちの女王よ
太祖たちの女王よ
預言者たちの女王よ
殉教者たちの女王よ
使徒たちの女王よ
処女たちの女王よ
証聖者たちの女王よ
全ての聖人たちの女王よ
われらのために祈り給え
アーメン
(ロレートの連祷より)

Sven-David Sandström: Tre Stycken för Manskör
I. Kyrie
主よあわれみ給え
キリストよあわれみ給え
主よあわれみ給え
(ミサ通常文)

II. …Och Åter Tomhet
コヘレトは言う、空の空、空の空、いっさいは空である。
日の下で人が労するすべての労苦は、その身になんの益があるか。
世は去り、世はきたる。しかし地は永遠に変らない。
日はいで、日は没し、その出た所に急ぎ行く。
風は南に吹き、また転じて、北に向かい、めぐりにめぐって、またそのめぐる所に帰る。
川はみな、海に流れ入る、しかし海は満ちることがない。川はその出てきた所にまた帰って行く。
すべての事は人をうみ疲れさせる、人はこれを言いつくすことができない。目は見ることに飽きることがなく、耳は聞くことに満足することがない。
先にあったことは、また後にもある、先になされた事は、また後にもなされる。日の下には新しいものはない。
(コヘレトの言葉1:2-9)

...窓から眺める女の目はかすむ。
通りでは門が閉ざされ、粉ひく音はやむ。鳥の声に起き上がっても、歌の節は低くなる。
人は高いところを恐れ、道にはおののきがある。アーモンドの花は咲き、いなごは重荷を負いアビヨナは実をつける。人は永遠の家へ去り、泣き手は町を巡る。
白銀の糸は断たれ、黄金の鉢は砕ける。泉のほとりに壺は割れ、井戸車は砕けて落ちる。
塵は元の大地に帰り、霊は与え主である神に帰る。
なんと空しいことか、とコヘレトは言う。すべては空しい、と。
(コヘレトの言葉12:3-8)

III. Agnus Dei
世の罪を除き給う主の子羊よ、われらをあわれみ給え。
世の罪を除き給う主の子羊よ、われらをあわれみ給え。
世の罪を除き給う主の子羊よ、われらに平安を与え給え。
(ミサ通常文)

Olivier Messiaen: O sacrum convivium!
おお、聖なる饗宴よ!
我らがキリストを拝領する聖餐よ。
受難の記憶が思い起こされ
心は優雅に満たされる。
我々に来たるべき栄光の証が与えられた。
アレルヤ。

後半─三善晃作品集

後半は、三善晃の合唱とピアノを伴う作品から厳選された3曲をお聴きいただきます。
3曲は作曲年代順に並べられており、それを通して書法の変遷に思いを馳せることもできましょう。また女声合唱、男声合唱、混声合唱という編成の違いから声のバラエティを楽しむこともできましょう。ピアノパートと合唱パートのその関係性、可能性の多様さを実感することもできましょう。詩が「語ること」に歌をとおして感動することもありえましょう。

──しかしそういったことがあった上で、いささか逆説的ではありますが、それらをあえてすべて忘れて、そこに在る/現れる響きだけに耳を傾けてみる、というのはいかがでしょう(そしてそのご提案こそが、このキアスム[chiasme]という公演企画の肝かもしれません)。どうぞお楽しみ下さい。(柳嶋)

女声合唱のための「三つの抒情」
gemma(合唱)
柳嶋耕太(指揮)
渡辺研一郎(ピアノ)

二群の男声合唱とピアノのための「路標のうた」
in high glee(合唱)
柳嶋耕太(指揮)
渡辺研一郎(ピアノ)

混声合唱とピアノのための「木とともに 人とともに」より『空』
gemma(合唱)
in high glee(合唱)
柳嶋耕太(指揮)
渡辺研一郎(ピアノ)

出演者

渡辺研一郎 ─ ピアノ

4歳よりピアノを始める。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。東京藝術大学院音楽研究科修士課程音楽学専攻修了。グレゴリオ聖歌の初期の記譜法である「譜線無しネウマ」に関する研究論文により修士号取得。
ピアノを小倉郁子、志村泉、林苑子、E.D.ヴァイスハールら、クラヴィコードを高橋尚子、中世・ルネサンス期の教会音楽の演奏法を花井哲郎、声楽を花井尚美の各氏に師事。
アルベルネ・ユーゲントコール、立教トリニティコール、行徳混声合唱団、混声合唱団「水曜会」、等のピアニスト。ヴォーカル・アンサンブル カペラ、サリクス・カンマーコア、emulsion、vocalconsort initium、企(とも)、等のメンバー。フォンス・フローリス古楽院講師。

柳嶋耕太 ─ 指揮

合唱指揮者。ドイツ・ザール音楽大学指揮科卒業。2015年にドイツ音楽評議会・指揮者フォーラム研究員に選出され、ベルリン放送合唱団をはじめとするドイツ国内各地の著名合唱団を指揮。2017年秋完全帰国。以来、vocalconsort initium、室内合唱団vox alius、横浜合唱協会をはじめとする多数の合唱団で常任指揮・音楽監督を務めるほか、(株)コーラスカンパニー主催の合唱指揮講座講師を務めるなど後進の育成にも力を入れる。合唱指揮をゲオルク・グリュン、指揮を上岡敏之の各氏に師事。ザールブリュッケン室内合唱団、アンサンブル・ヴォカペラ・リンブルク、エマルシオン、サリクス・カンマーコアなどに所属するアンサンブル歌手としても活動を拡げる。

南方隼紀 ─ 指揮

1988年生まれ。合唱指揮者。早稲田大学高等学院、早稲田大学政治経済学部卒業。合唱指揮を安積道也、笠置英史、古楽を花井哲郎、辻康介、ピアノ・和声法を松本望の各氏に師事。早稲田大学コール・フリューゲル在籍時より一般の合唱団で指揮活動を開始し、現在は埼玉県と東京都を中心に10を超える合唱団を指揮している。日本合唱指揮者協会員。埼玉県合唱連盟事務局次長。

gemma ─ 女声アンサンブル

2020年結成の女声アンサンブル。名前の由来はラテン語の「宝石」。宝石のように鮮やかなアンサンブルサウンドを体現したいという思いが込められている。2021年、台湾国際合唱コンクールにてデビュー、ヴァーチャルクワイア部門で2位受賞。

in high glee ─ 男声アンサンブル

2018年結成の男声ヴォーカルアンサンブル。in high glee(至上の喜び)を名称とし、他者と交わり合う充実を追求しながら音楽・飲酒活動に勤しむ。2021年にはinitium ; auditoriumにて武満徹「芝生」のリモート演奏を映像作品として出展。

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合唱指揮者 - 柳嶋耕太(やなぎしまこうた)
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