キアスム [chiasme] 出演者/プログラム紹介 渡辺研一郎 南方隼紀
3月17日のキアスム [chiasme] 公演直前となりました。
本記事ではピアニスト、指揮者として共演する渡辺研一郎さん、南方隼紀さんのお二人について私的な目線からご紹介していきます。
まずはこの方。
渡辺研一郎(ピアノ)
公式プロフィール
古楽〜バーバーショップ、ポップスまで唯一無二の感性でうたいあげるアンサンブル歌手であり、そして合唱の世界でも広く目覚ましい活躍をみせはじめているピアニストでもあり、「何でも出来すぎ!」と同業仲間を畏怖させる(?)存在の研一郎君。
彼には僕が指揮を務めるvocalconsort initiumでうたっていただいたり、またemulsion、サリクス・カンマーコア、ヴォーカル・アンサンブル カペラなどでお互い「歌い手」としてその場を共にすることが多いなか、今回は指揮・ピアノという立場でご一緒できることが嬉しくてたまりません。
(参考)研一郎くんの紹介記事を一昨年別イベントのためにこちらでも書きました。もしよろしければ。
そんな特別な嬉しさがある一方、リハーサルを重ねるたびにある種不思議な感興として残るのは、いま指揮とピアノで関わり合っているということを一瞬忘れるというか、あるいは一緒にバーバーショップやポリフォニーをうたうときと、殆ど同じ感覚で音楽をしているなということ。あまりにもすんなりとくるので湧き水を飲んでいるような感覚でもあるのですが、これはおそらくとても幸福なことなのだろうなと。
そんな彼は、前半プログラムではValentin Silvestrovというウクライナ人作曲家によるピアノ作品を、gemma、in high gleeのアカペラ合唱作品と交互に「唱い交わす」形で演奏します。静謐で繊細で、厳しくあるにもかかわらず聴き手の心にすっと寄り添うような作品たちです。
Valentin Silvestrov氏本人による演奏
言及するか迷うことでもあるのですが、ウクライナということがあまりにもタイムリーさを帯びているし、「今」のすべての音楽活動がそのことへ思い致すことと関係なくあれるはずもない、のですが、そのことを強く思うからこそ、舞台上の「唱い交わし」のことだけに静かに集中してその音を共有したい。今はそんなふうに思っています。
後半演奏曲については、gemma、in high gleeの紹介ページでそれぞれ女声、男声の作品を紹介しました。加えてもうひとつ最後に混声合唱とピアノの作品がありまして、それが三善晃作曲 空という作品です。
先日のリハーサルより抜粋
後半の三善プログラムは、ピアノと合唱の交わることのありかたが三者三様で、前半の「唱い交わし」を体験することでそのことへ耳が開かれることを目的としているのですが、空はその意味で既に重なり合ったところからその響きを生かし始める側面があり、ある種さっぱりした作品ではあるのですが、本公演の最終プログラムにふさわしい作品であると考えています。
ぜひ現場でそのプロセスを確かめていただければ。
そんな研一郎くんからのメッセージ!
南方隼紀(指揮)
公式プロフィール
南方君はin high gleeのメンバーとして一緒にうたってくださってもいて、個人的な付き合いとしてももう16年近くになる(今数えた、時間こわい)合唱仲間です。僕の留学と同時期に合唱指揮者としての研鑽を積まれ、今では埼玉を拠点とする代表的な若手指揮者のひとりとして活躍されています。前述の研一郎くんも、最初の出会いは僕の留学前、アマチュア合唱団でセカンドテノールをうたう姿だったので、留学を終えると玉手箱を開けたように立派になったお二人がいらしたことは改めて本当に感慨深いし心強いことです。
そんな実力派指揮者の南方君ですが、そういう素振りをまったくみせないフレンドリーで実直なプローベが歌い手を和ませ、それでいて深みのある素敵な響きをもたらしてくれています。
本公演では前半の最後、彼の指揮でgemmaとin high gleeによる合同アカペラでOlivier Messiaen作曲 O sacrum convivium!を演奏します。
深みのあるFis-Dur+7が最高(動画やや音量注意)
前半の「唱い交わし」のラストを包み込んでくれるメシアンのサウンドにご期待下さい。
南方くんからのメッセージ!
この2人に興味を持ったら、もしよろしければ以下の対談動画もご覧になって下さい。
コンサートまでついに後1日となりました。